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悪党どもには鬼より怖い、セドリックのパトカーじゃ!アオシマ製プラモ「YP430型パトロールカー」を本気で作る【モデルカーズ】

Lニッパチを搭載した強力ポリスカー

現在では、パトカーの代表車種といえば何であろうか? 長らく、パトカーと言えばクラウンかセドグロという状態が続いていたのは事実であり、トヨタ・クラウンについて言えば先代S220型系まで採用例があるが、新型ではどうなるであろう。もう一方の日産セドリック/グロリアは、車種そのものが消滅してしまっただけにこれからの採用はありえないが、最後のY31型セダンまでパトカーとして活躍していた。

【画像63枚】大型バンパーでいかついPCと、その制作工程を見る!

歴代セドリックの中でもパトカーの印象が強いモデルと言えば、五代目・430型が挙げられるだろう。この時期は、現実にはスカイラインのパトカーが多かったので、実際の430はパトカーの中でもそこまで極端な多数派ではないと思われるが、430=パトカーの印象は、当時全盛の刑事ドラマなども手伝って形成されたのではないだろうか。

430型系セドリック/グロリアは1979年にデビュー、1983年まで生産・販売された。ボディ形式は従来の4ドア・セダンと4ドア・ハードトップをそのまま引き継ぐ一方で、2ドア・ハードトップが消滅している。これは、追って登場した新規車種レパードにその地位を譲ったというかたちにもなっている。そして、もうひとつのボディとしてバンが存在、先代では消えていたワゴン仕様も復活している。

先代330型のボディスタイルは、いかにも1970年代的な抑揚が強く丸みのある複雑なものであったのに対し、430型では直線基調のクリーンなものへと一気に変化。同時期のクラウンと比べるとセドリック/グロリアの方が若干ロングノーズ・ショートデッキ的なプロポーションで、ハードトップでは、ピシッと折れ曲がった形で側面に回り込んだリアウィンドウも特徴であった。ハードトップ、セダンともに、オペラウィンドウを持つ6ライト・スタイルが採用されている。

ボディサイズは基本的に先代・330型系と同様で、ホイールベースも同一だが、サスペンションはリアがリーフリジッドから5リンクに変更され、フロントはダブルウィッシュボーンを継承しつつテンションロッドを追加している。エンジンのラインナップは先代同様に直6 OHCのL型が基本で、3ナンバー用にはL28E(2.8L)、5ナンバー用にはL20E(2L)を主力とし、廉価モデル用にL20S(2L、シングルキャブ)も設定。このほかSD20とSD22の直4ディーゼル、そして営業車用のLPG仕様としてZ20P(直4)とL20P(直6)が用意されていた。

430型で特筆すべきは、国産市販車初のターボエンジン搭載車がラインナップされたことである。これはモデルチェンジ翌年の1980年に追加されたもので、前述のL型2Lにターボチャージャーを装着したL20ETを搭載。日産では高性能よりむしろ省エネ・高効率をアピールしていた。これより後、日産に限らず国内様々なメーカーからターボ車が続々と登場、1980年代はターボの時代となったものである。

肝心のパトカー仕様であるが、型式ではYP430、車名は「セドリック・パトロールカー」となる。特徴はL28を搭載していることで、このためかフロントバンパーは3ナンバー用の大型タイプが組み合わせられている。基本的にはスタンダードと共通の外観を持つもので、丸目4灯ライトのグリル、Cピラーのガーニッシュ(オペラウィンドウを塞ぐもの)などを装着。リアバンパーもスタンダード用であったが、後期型ではフロント同様に3ナンバー用の大型タイプを採用。テールレンズはスタンダード同様に後期型でも前期用のものを取り付けている。

前期型に改造、点灯ギミックも仕込む
プラモデルの世界においては、430型系セドリック/グロリアの人気は高く、デフォルメものも含めるとかなり数があるが、セダンを1/24スケールでキット化したのは、実車現役当時においてはオオタキのみであった。しかし、実車生産終了から30年後にあたる2013年、あのアオシマが突如製品化。これは例の刑事ドラマ劇用車の人気をあてこんだものでもあったが、国産セダンや旧車好きにとっては嬉しいサプライズとなった。

当初リリースされたのは、グロリアのスタンダードとセドリックの後期GLであったが、その後タクシーとパトカーをバリエーションとして追加している。アオシマのパトカーは後期型を再現したもので、大型のバンパーや散光式警光灯、室内の無線機などの専用装備をもらさずパーツ化、非常に熱気のこもったキットとなっていた。ただし、リアバンパーが5ナンバー用となっていたのが残念とも言えるが、あるいはそういうタイプの実車も存在したのかもしれない。

ここでお目にかけているのはそのパトカー仕様のキットを制作した作品だが、ただの素組みではない。まず外観を前期化しているのだが、この改造にあたっては前後バンパー等をグロリア・スタンダードから流用し、フロントは3ナンバー用の大型タイプに作り替えた。さらにルーフ上の警光灯にはLEDキット(かつてアオシマから発売されていたもの)を組み込み、点灯可能としている。残念ながら写真では分からないが、回転灯がきちんと回っているように光るのは楽しいものである。

作例制作=小田島俊介/フォト=羽田 洋 modelcars vol.221より再構成のうえ転載

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