モデルカーズ

日産創立50周年を祝う「300ZX」をプラモで再現!フジミとタミヤの「Z31型フェアレディZ」を合体して北米仕様を制作【モデルカーズ】

V型エンジン搭載で新時代に適応した三代目

新型・RZ34の登場で今また注目が集まっているフェアレディZ。この新型で六代目となるZだが、日産の誇るこのスポーツカーは今から50年以上前、1969年に登場した。2代目へのモデルチェンジは1978年に行われたが、スタリングのイメージや、L型エンジンなどは初代からそのまま引き継がれていた。そこにガラリと変化が加わったのは、1983年登場の三代目であろう。

【画像57枚】独特のボディが特徴の北米仕様Zとその制作工程を見る!

三代目フェアレディZ(Z31型系)は1983年9月にデビューした。その狙いは「欧州の高性能スポーツカーを凌駕する」というもの。何よりもスタイリングに「生まれ変わった」という印象が強く、ロングノーズのファストバック・スタイルという点では先代同様だが、そのボディシェイプは直線的に研ぎ澄まされたものへと変化。ヘッドライトも角型になったばかりでなく、半格納式の”パラレルライジング・ヘッドランプ”を採用し、Cd値は0.31と空力的にも優秀なものであった。ボディは先代同様に2シーターと、4人乗りの2by2を設定。

エンジンは直列6気筒のL型から、先にセドリック/グロリアでデビューしていたV型6気筒OHCのVG型へと変更。トップグレードの300ZXには3LターボのVG30ET(最高出力230ps)が、これ以外の2Lモデル(ZG、ZS、Z)には同じくターボのVG20ET(170ps)が、それぞれ搭載された。これらバリエーション全てに2シーターと2by2の2種類のボディが組み合わされる。サスペンションは先代同様に前ストラット/後ろセミトレだが、どちらも新設計されたもの。全車に、減衰力を3段階に調整できる3ウェイ・アジャスタブル・ショックアブソーバーが装備されている。

デビュー後、1984年2月にはTバールーフ車を追加、1985年10月にはツインカム・セラミックターボを新設定。これは、すでにスカイラインで採用ずみの直6DOHCターボ、RB20DET(180ps)を搭載したものである。さらに1986年のマイナーチェンジでは後期型へと進化。これはNDI(日産デザインインターナショナル)のデザインにより外観を大幅に変更した「エアロ・グラマラス・フォルム」が何よりの特徴となる。このとき2LのV6は廃止となり、また3LのV6にはDOHCエンジンのVG30DE(190ps)を加えている(300ZR)。そしてこの3年後、フルモデルチェンジで四代目・Z32へと生まれ変わった。

パズル的な制作法で前期・後期の折衷的なボディを再現
さて、Z31のプラモデルはタミヤとフジミの2社から発売されていた。タミヤは1/24スケールの前期型300ZX、フジミは1/24の後期型300ZRと1/48の前期型300ZXで、現在容易に入手できるのはフジミ1/24後期型のみとなる。ここでお見せしているのは、このタミヤとフジミの1/24スケールのキットを組み合わせ、北米仕様の300ZX、しかも日産創立50周年記念限定車として制作したものだ。これについて、以下、作者・飯塚氏による説明をお読みいただこう。

「以前仕事で赴任していたサンディエゴ。かの地では朝晩、海側から流れ込む霧でもやが掛る。そんな朝もやの中、サイドマーカーをぼんやりと灯しながら走り去っていったZ-car。その凛々しさが今でも鮮明に脳裏に焼き付いている。今回は3代目Z31、その中でも1984年の北米限定モデル300ZX 50 Anniversary(以下:アニバーサリー)を制作させて頂いた。まず、北米仕様のZ31について説明しよう。これには大きく分けて3タイプのボディが存在した。

①1983年デビューの初期型
②1986年のみ販売された中期型(初期型を基本に後期型と同じ造形の前後ブリスターフェンダー)
③北米拠点のNDIによりリデザインされた後期型

今回制作したアニバーサリーは、初期型を基本に中後期型のフロントフェンダーを具え、リアには別体のオーバーフェンダーが付くという、独特の存在感を持つボディが特徴である。また、前後スポイラーとサイドステップも標準装備されていた。これを再現するため今回は、プロポーションの良いフジミの後期型に、タミヤの前後パートとボンネットを移植し、プラ板にてリアフェンダーを構築するという、少し遠回りしたパズル的な方法で制作を行った。

同車はタミヤの300ZXベースでももちろん制作可能で、その場合は今回行ったアニバーサリー特有の改造のほかに、フロントフェンダーの造形、Tバールーフの追加工、サイドモールの削り取りを行えば、比較的簡単に対応できる。どちらのキットを使用するかは、制作者の好みによるだろう。さて、今回の作例で最もこだわったのは、国内仕様とは異なる、北米モデルらしさを表現するためのレンズ類のアレンジである。

①ヘッドライトは北米の法規に沿って規格型のH4とドライビングランプを別々に制作
②バンパーウィンカーは分割されていないため、くり貫いてレンズとハウジングを新規制作
③前後フェンダーにマーカーを追加。中央のバルブ穴が透けて見える表情をデカールの細切りで再現。またフロントサイドはクリアーオレンジの上に偏光パールイエローを吹き、反射板効果を出してみた

その他、インテリアにも手を加えた。アニバーサリーの専用シートはタミヤのZ31を流用したが、背もたれの幅が狭すぎるため、一度ばらしてサイズを拡大するとともに、独特のシックスパック腹筋のようなパターンもプラ板の貼り合わせで表現。専用ハンドルスポーク部もプラ板から制作、デジパネは自作デカールで表現している。純正ホイールは、フィンの本数こそ違うが後期型の純正パーツを加工して制作。タイヤは北米を意識し、タミヤ製70スープラのグッドイヤー・イーグルをおごってみた。

こうして完成したアニバーサリー、模型になってもその独特な存在感と魅力は変わることがない」

作例制作=飯塚健一/フォト=服部佳洋 modelcars vol.233より再構成のうえ転載

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