サステナビリティを掲げるもうひとつのランボルギーニ
ランボルギーニのサスティナビリティ? それって”マユツバ”ものでしょう」
そんな思いを抱いて向かったサンタガタータ・ボロネーゼでは、朝から晩までギッシリとスケジュールが詰まった盛りだくさんのメニューが用意されていた。
【写真5枚】高性能を追求するだけじゃない、ランボルギーニのサステナビリティをギャラリーで見る
朝一番で向かったのはペイントショップ。ここではウルスのペイントが行なわれているのだが、塗料の実に95%が水性とのこと。これだけなら珍しくないかもしれないが、塗装のプロセスで混ざった塗料と水を丁寧に分離し、それぞれリサイクルしている点には驚かされた。ちなみに、ペイントショップで用いられる水はすべてリサイクルされているほか、一般的な塗装に比べて25%もエネルギー消費が少ないそうだ。
リサイクルといえばもうひとつ、レザーやカーボンコンポジットのリサイクルも積極的に行なわれている。ランボルギーニのインテリアを美しく飾ってくれるレザーだが、シートなどに必要な形を切り抜くと、どうしても無駄になる部分が出てくる。これらを集めてレザー職人に託し、キーホルダーやバッグといったアクセサリーに作り替え、販売しているのだ。
これにも増して驚いたのがカーボンのリサイクルだ。いまやスーパースポーツカーになくてはならないカーボンコンポジットだが、とりわけ成型後はリサイクルが難しいというのがこれまでの定説。しかし、ランボルギーニは熱や溶剤などでレジンを溶かし、その繊維を取り出して吸音材などに活用する方法を研究しているのだ。ちなみに、成型前のプリプレグは姿を変えてブレスレットやミニチュアカーに生まれ変わるという。
本社工場の近くにあるランボルギーニ・パークでは、樹木の成長とCO2を吸収する能力の関係について研究したり、60万匹のミツバチを飼って地域の環境破壊を監視している。ミツバチは巣の周囲3〜4kmを飛び回って花のミツや花粉を持ち帰るので、もしもそのなかに有害物質が含まれていると死に至る恐れがある。それらを注意深く解析することで、周辺の環境変化を見守っているのだ。
昨年、発表した電動化戦略では、2025年までに製品が発生するCO2を半減させる目標を定めたランボルギーニ。しかし、製品だけでなく企業活動全体で生み出すCO2を限りなくゼロに近づけるために、ここで述べたような活動に取り組んでいるのである。