Garage Life

セキュリティを考えた窓のないガレージハウスは、中庭から光を取り入れた純白の明るい家に設計【ガレージライフ】

純白なエクステリアが印象的なガレージハウスは、細かな光と影を計算して設計された

神奈川県横浜市。商業地域にある67坪の高低差がある敷地。ここにUさんは、先祖代々受け継いできた住まいを壊して、ガレージハウスの建築を考えた。Uさんは、お兄様の影響でレーシングチームに参加したり、乗り継いできたシトロエンの国際イベント参加のために20回以上も足を運んだりする、エンスーのなかのエンスー。当然、新居にはガレージを望み3台を収納することとしていた。

そこで知人の建築家に声をかけては相談もしたが、なかなか自分の考えと合う建築家と出会えなかったという。そこで、気晴らしに足を運んだのは住宅展示場。1軒のシンプルな真っ白な展示場が、U夫妻の目に飛び込んできた。もともとUさんのコンセプトは「La Maisson Blanch」。フランス語で「白い家」がテーマ。展示場のたたずまいとディテールが気に入り、土地の話をしながら簡単な図面の依頼をしたのが、プロジェクトのスタートだった。

【写真15枚】ホワイトを基調としシンプルな色づかいの光いっぱいのガレージ 

Uさんはクルマ3台のほか、商業地区に建築するガレージハウスのため防犯、および視線制御のため窓がない安全な家を希望していた。そこで、設計の依頼を受けた「AQレジデンス」の建築家・大松さんは、商業地域は大型マンションが建設される可能性も高いため、それで明るさの環境が大きく変化しないように、と配慮しながら採光をどのようにするかを考えた。その結果、天空光を最大限に取り入れるために外壁には窓を設けず、中庭をプランニングして採光させる方法を採用した。

サッシを壁面ギリギリに納まるディテールを、現場監督、大工職人と煮詰め、影ができないようにミリ単位で検討したほか、実際に窓を設けて天井が暗くならないように配慮。壁面に反射した光がリビングに差し込むように考えた。ガレージは外壁のホワイトに合わせて「日本ドアコーポレーション」製スチール製ガレージドア、防火設備対応TXタイプを採用。スラットが大きいのでデザイン性に優れているほか、静粛性にも優れホワイトの外壁とのマッチングからこのオーバースライドドアが選ばれた。

ガレージにはホール天井に設けた窓からも反射させて光を回し込み、ガレージまで光が入るように工夫した。ガレージの床面はクラシックカーを入れてもオイル漏れで困らないための対策として塗装をしたが、とにかく暗くならないよう、ここにも明るいカラーを選んでいる。またガレージには必要な水道を設けたほか、高低差を考えながら約3度の傾斜を設けている。また自転車の出し入れも考えてスロープも設けられた。

U邸のインテリアはカラーリングもシンプルに、ホワイトを基調としてシンプルな色を使うように配慮した。空調の配線はすべて隠したほか、テクスチャーの少ないホワイトのクロスの採用をすることでフラットに。床面に採用したのはリアルフィニッシュアトム石目カラー。ウッドデッキに採用したのはグレーと色を統一させることでUさんの要望に応えている。また奥様ためにグランドピアノのためのピアノ室を設け「AQレジデンス」に依頼することで、設計、施工を統一させることでまとまりのある理想の家となった。

注文住宅でありながら、既製品の中で最大限のものを採用してコストバランスを調整。2020年12月に竣工となった。これまで暮らしていた家と比較して、居心地がよくなり過ごしやすくなったと奥様は語る。将来はガレージには英国製ヒストリックカーを納めてクルマの整備も楽しみたいという。デザインが美しいホワイトな家は、玄関を開けると光美しい空間が広がっていた。

◆Planning Data
 施 主:Uさん
 構 造:木造軸組工法
 外壁/内装仕上げ:ジョリパット/クロス
 敷地面積:222.4平米
 ガレージ面積:47.79平米
 愛 車:2005年式ポルシェ911 カレラS Type997
     2003年式ルノー・セニックRXT ほか

◆Owner’s Check
・ここがお気に入り
希望を理解していただき、シンプルなデザインに設計してもらえたほか明るい部屋でありながらも、近隣からの視線も気にならずセキュリティも守られているところがすごいですね。
・ちょっと失敗
グランドピアノの搬入に手間どり、中庭からクレーンで吊ることになってしまったのは致し方ないところ。
・これからの夢
英国製のライトウェイトスポーツカーを手に入れ楽しみたいですね。

◆Comment from a Builder 大松篤郎さん
無柱並列駐車の上階にグランドピアノを設置するピアノ教室を配置など、構造的なハードルが高い課題を構造事務所と協同作業で構築しました。このように、木造建築でもダイナミックな空間を生み出すことができます。細かなディティールに対して応えてくれる監督と職人に支えられ、以前設計事務所を主宰されていたU様の審美眼に応えられる様に社内外よりチームを編成し、皆で楽しく家造りを積み重ねさせていただきました。周囲から切り取られた、「ここだけの豊かな時間」をご提供させていただきます。お気軽にご相談ください。

AQレジデンス 東京都港区赤坂7丁目1-15 アトム青山タワー
Phone:03-3470-8250 http://www.aq-r.jp/ 

『ガレージのある家 Vol.46』掲載

photo / Hiroyuki KONDO(近藤浩之) text / Jun ISHIHARA(石原 淳)

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