モデルカーズ

あの名作プラモをよりリアリスティックに!東京マルイ製「初代スターレット」をカスタマイズ【モデルカーズ】

フリーチョイスな小型スペシャリティ

トヨタのラインナップにおいてはカローラよりもさらに身軽な大衆車として、長らく親しまれたスターレット。今は消えてしまったスターレットだが、その前身であるパブリカまで含めると、その歴史は約40年に及ぶ。スターレットの名は、1973年、パブリカの上級モデルであるパブリカ・スターレットとして登場したのが始まりである。

【画像63枚】印象を一新したマルイ製スターレットとその制作工程を見る!

その発売は1973年4月のことで、当初はボディ形式が2ドア・クーペのみということもあり、性格としては大衆車クラスのスペシャリティカーを標榜したものだ。スペシャリティといえばセリカが思い浮かぶが、このパブリカ・スターレットにもセリカ同様のフルチョイス・システム(を簡略化した、フリーチョイス・システムと呼ばれるもの)が導入されており、好みの外装や内装、エンジンを組み合わせて自分好みの車両が作れる、というのも売りであった。

スタイリングは直線を基調としたシャープなもので、当時は異彩を放った。その頃の国産車には、丸みのある面を強調することで豊かさを表現した車種が多かったためである。この初代スターレットのスタイリングは初期段階をジョルジェット・ジウジアーロが担ったという逸話もあり、それを念頭に置くと、サイドウィンドウとウェストラインの関係、形状などに、同時期に彼が手掛けたロータス・エクラ(1975年)などとの共通性も窺える。

搭載エンジンは、基本的にはパブリカと共通の直4 OHV 1Lと1.2L。すなわち、1Lの2K(58ps)、1.2Lの3K(68ps)、そして1.2Lツインキャブの3K-B(77ps)の3種類である。サスペンションはフロントがストラット、リアがリーフリジッド、レイアウトはもちろんFR。ツインキャブの3K-Bを積むのはイメージリーダー的存在のSR、そしてSTだが、特にSRはセリカの1600GT同様にフリーチョイスの範囲外となっており、インテリアも「R」タイプという専用のものが組み合わされていた。

1973年10月には4ドア・セダンを追加、車名からパブリカが外れて単にスターレットとなった。1976年2月のマイナーチェンジでデザイン変更を行うとともに、排ガス規制適合のためエンジンを1.2Lの3K-U(64ps)に一本化。1978年2月にはフルモデルチェンジで二代目となった。ちなみに、この時までパブリカも存続しており、しかもバンとピックアップはこの後も継続して販売、特にピックアップは1988年までラインナップされるという、非常なロングライフモデルとなっている。

そんな初代スターレットであるが、きちんとしたスケールモデルとしてプラモ化したのは東京マルイのみ。これはレース仕様のスターレットを再現したもので、さらにその内容は「街道レーサー」として族車キットに転用されている。ここでお目にかけているのは、この街道レーサー仕様のスターレットをベースに、もうすこし現実味を加味した作品として制作したものだ。これについて、作者・棚瀬氏に具体的なところを語っていただこう。

法規を満たすよう自分なりに想像して改修
「二代目パブリカのスポーティな上級シリーズとしてデビューした初代スターレットは、レースをはじめとしてラリー、ジムカーナ、ダートトライアル等のモータースポーツで大活躍した。マルイのキットは、元々はマイナーツーリングレースでサニーやシビックとのし烈なバトルを繰り広げた、トヨタ純正のスペシャルエンジンを搭載したトムスやクワハラ自動車のワークスカーを再現したものである。

今回使用したキットは、その後『街道レーサー』として、成型色を変えて発売されたものである。このキットを含め、過去にマルイが発売したクルマのキットは名作ばかりで、近年再販がなされていないこともあり、中古市場ではかなりの高値が付くものが多いのだが、なんとかならないものだろうか。今回の制作にあたっては、さすがにキットそのままでは公道を走れないので、自分なりに法規を満たすよう想像しつつ仕様を改めてみたところである。

当時はリアスポイラーやドアミラー、60扁平タイヤなんてのもご法度だったそうだ。もっとも、ウィンドウパーツがスモークのかかったものなので、実車でこの仕様ならフロントウィンドウが着色されているということですぐに警察に呼び止められそうなものではある。キットのボディ形状は実車よりも少し瘦せており、各所にヒケも見られるので、それを修正したいこともあって、最初はブリスターフェンダーを切り離しノーマルボディに戻すこととした。

しかしやはり幅広のタイヤを履かせたいと思い、他キットからオーバーフェンダーを流用して制作した。このように、違うクルマのキットからパーツを持ってきて、似合う似合わないをチェックしながらモディファイを試みるのも、模型制作の楽しみのひとつではないだろうか。また、古いキットではよくあることだが、各パーツの端部の成型が甘く、厚みや幅が均一でない部分が多く見られるので、プラ板やパテを使用して修正し、工業製品らしく見えるよう気を付けたい。

もちろん、模型の世界に法規制はないので、今回のように縛りを設けず、自由な発想でカスタマイズすることも問題はない。皆様もお手持ちのキットを箱から出し、想像を形にしてみてはいかがだろうか」

作例制作=棚瀬和重/フォト=羽田 洋 modelcars vol.221より再構成のうえ転載

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