フォルクスワーゲン

【FIRST PICTURE】CESのプレビューから数週間、遂に全貌が明らかに! 新型VWゴルフがワールドプレミア!

1月24日にオンライン上でワールドプレミアを果たしたゴルフ8.5。その後日、実車とゴルフRプロトタイプがオーストリアで初お披露目された。対面した新型ゴルフの印象をリポートしよう。

外観は精悍さが増しインフォテインメントも強化

1974年のデビュー以来、世界で累計3700万台以上が販売されたコンパクトカーの代名詞フォルクスワーゲン・ゴルフは、今年で生誕50周年を迎えた。また1月24日には現行モデルであるゴルフ8のマイナーチェンジ版ゴルフ8.5がオンラインでワールドプレミアを果たした。フォルクスワーゲンは、ゴルフ50周年と新型ゴルフの発表を記念して、1月27日にオーストリアのツェル・アム・ゼーで開催されたアイスレース「FATアイスレース」に参加。新型ゴルフのお披露目や、エグゼクティブやデザイナー、レーシングドライバーによるトークショーの他、イベント当日に発表された新型ゴルフRのデモランなどが行なわれ、来場者を大いに楽しませた。

2019年秋のデビューから4年強で改良が加えられたゴルフ8.5は、会場内に設営されたフォルクスワーゲンのホスピタリティに実車が展示された。新型は、LEDヘッドライトやLEDリアコンビランプ、フロントバンパーなどのデザインが変更され、ひと目見ただけで精悍さが増した印象だ。

細かいところでは、フロントのVWエンブレムのVおよびWの文字輪郭が自発光式となった。これはヨーロッパ市場向けのモデルでは初採用となり、ひと目で新型と判るポイントでもある。

インテリアは、新しいインフォテインメントシステムの中心となるディスプレイ周りが新デザインへとアップデート。

第4世代モジュラー・インフォテインメント・システム「MIB4」をベースに開発された新インフォテインメントシステムは、標準のReady 2 Discoverが10.4インチ、上級のDiscover Version2では12.9インチのディスプレイが備わり、新しいグラフィックスとメニュー構造によって、操作性が大幅に改善されたという。

さらには、AIベースのチャットボットであるChatGPTを統合し、抽象的な要望でも文脈から意図を推測するLLM(ラージ・ランゲージ・モデル)を備えたIDA(アイーダ)音声アシスタントによる会話形式のコミュニケーションにより、ナビやエアコン、電話、各種車両設定にとどまらず、天気予報や一般知識、最新のエンタメ情報に至るまで、極めて多彩な要望に応えることを可能にした。

インパネ周りはセンターディスプレイを中心に新デザインとなった。標準のReady 2 Discoverは10.4インチ、上級のDiscover Version2は12.9インチのタッチディスプレイを装備。10.2インチのデジタルメーターパネルは全車標準装備となる。

今回展示されていた車両は試作モデルということもあり、実際に試すことは出来なかったが、ChatGPTの統合は、インカーエンタテインメントの可能性を格段に広げてくれそうだ。ゴルフに限らず、近年のフォルクスワーゲン各モデルは、インフォテインメントシステムの出来が評価を下げていただけに、果たしてどれだけ進化しているのか、大いに期待したいところである。

最上級のトリムレベルであるスタイルとRラインには、「アートヴェロア」と呼ばれる人工皮革のスポーツコンフォートシートが標準装備される。運転席には14Wayの電動調整機能が備わる。

2024年末発売予定の次期型“R”も大いに期待

パワートレインは、マイルドハイブリッド車が1.5L直4ターボの1.5eTSIに集約され、1L直3ガソリンターボの1.0eTSIが消滅した点が、日本市場にとっては注目すべきポイントだろう。燃費を考えれば3気筒の方が良さそうに思えるが、新型の1.5eTSIは気筒休止機能を備えることで、優れた効率を実現したのだという。

前後のLEDライトは新デザインに。

また、eハイブリッドとGTEの2タイプが用意されるPHEVは、可変ジオメトリーターボ(VTG)を備えた1.5TSI evoを搭載したほか、バッテリー容量が従来の10.6kWhから19.7kWhに拡大。新たに50kWまで対応するDC急速充電機能を備え、EV航続距離も約100kmに伸び、約1000kmものロングレンジを実現した。そろそろPHEVの日本上陸にも期待したいところだ。

オプションのパフォーマンス・ヘッドライトを装着すると、ラジエターグリル内の水平LEDストリップと照明付きVWエンブレムが備わる。

ノンハイブリッドの1.5TSIは、115psと150psの2タイプが用意され、どちらも6速MTが組み合わされる。2025年には、従来より14psアップの204psを実現した2.0TSIも登場し、こちらは標準で4WDの4モーション仕様となるだけに、気になる人も多いはずだ。
GTIに搭載される2.0TSIは、従来から20psアップの265psを達成。一層スポーティな走りを期待していいだろう。

GOLF GTE/272psの1.5TSI evoを積む高性能PHEVであるGTEも、EVレンジ約100kmを実現。

日本でも好評の2.0TDIも継続され、6速MT車が115ps、7速DSG車は150psと、こちらは従来どおりのスペックとなっている。
今回プロトタイプが公開された次期Rは、開発エンジニアによれば「まだ詳しいことは言えないけれど、確実に進化する」と、自信に溢れた表情で語っていた。噂では、2.0TSIは限定モデルのゴルフR 20 Yearsに搭載された、333ps仕様が標準になるとも言われている。発売は2024年末頃になる模様だ。

GOLF GTI/GTIは、従来比20psアップの265psを発揮する2.0TSIを搭載。トランスミッションは7速DSGのみで、6速MTは用意されない。

今回のゴルフ50周年&8.5お披露目へのフォルクスワーゲンの力の入れようを見る限り、ゴルフは同ブランドにとってまだまだ重要なモデルであることを実感した。次世代(つまりゴルフ9)は、BEVになると公言しているが、BEVの販売が失速している現状を鑑みると、「ゴルフこそ最後までICEを継続するべきでは!?」と思えるのも事実。ともあれ、最後のICE搭載のゴルフは、日本上陸を楽しみに待ちたいところだ。

GOLF VARIANT/ヴァリアントはPHEVおよびGTIを除く全車に設定される。

【INTERVIEW】フォルクスワーゲン・ブランドCEO/トーマス・シェーファー「ゴルフには今後も多くのことを期待しています」

フォルクスワーゲン・ブランドCEO/トーマス・シェーファー

新しいゴルフ8.5はマイルドハイブリッド、PHEV、ディーゼル。またGTE、GTI、そしてRと幅広いラインナップが用意されます。現行世代にはBEVはありませんが、次世代はフルエレクトリックになります。その前段階として、100kmを超えるEVレンジを実現した新しいPHEVは、とても良いオファーだと思います。

イベントでは、当日公開された新型ゴルフRプロトタイプのデモランも行なわれた。スペックは未公表だが、2.0TSIは
333psが標準になると言われている。その豪快な走りは進化を期待させるに十分なものだった。

コンパクトカーは今後も重要であり続けると考えています。世界中でSUVがトレンドになっていますが、ハッチバックモデルは特にヨーロッパ市場では欠かせません。GTIやRのようなパフォーマンスモデルも、エモーションの点でとても重要です。

会場内のVWホスピタリティの前には、ゴルフ8.5の各モデルの量産前プロトタイプが展示された。ヨーロッパでは間もなく受注がスタートし、夏頃にデリバリー開始となる見通しだ。

我々にとってゴルフは、最も重要なモデルであることは疑いようのない事実です。日本でも同様だと思います。地域によって電動化の進捗に差があることは当然です。そのような現状であっても、50年の伝統を誇るゴルフには、まだ多くのことを期待しています。

デモランでは伝説のドライバーであるハンス=ヨアヒム・シュトゥック(左)がゴルフRのステアリングを握った。

日本市場はとても重要で、素晴らしい歴史があり多くのファンもいます。BEVにおいて、まだまだ難しい市場ですが、ID.ファミリーを用意しつつ、今後もICEモデルも提供し続ける考えです。しかし今後5~6年で大きく変化することを期待しています。

会場内のVWホスピタリティの前には、ゴルフ8.5の各モデルの量産前プロトタイプが展示された。ヨーロッパでは間もなく受注がスタートし、夏頃にデリバリー開始となる見通しだ。

 

フォト=フォルクスワーゲンAG ルボラン2024年4月号より転載
竹花寿実

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