当時S600のミニカーはこの金型のみでしかないため貴重な存在
今回はダイヤペットNo.131ホンダS600のご紹介です。1963年にS500が発売され、今年でホンダスポーツ生誕61年目となります。ちなみに、1962年の弟9回全日本自動車ショーにてS360と一緒に展示されたS500の試作車は、S360の車幅のまま、リアオーバーハングを伸ばした仕様で、市販車より車幅が狭いそうです…
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このダイヤペット製は、1964年7月に発売された大盛屋 ミクロペット・チェリカフェニックスシリーズPHE-38の金型を流用して1965年9月に発売されました。当時ミニカーが発売された直後の1966年1月に実車S800が発売されたため、このミニカーは短命に終わり、貴重な存在となっています。
チェリカフェニックス(以下PHE)とダイヤペット(以下DP)の外見上最も大きな違いはホイールの形状と大きさです。PHEのホイールは普通車のタイヤをそのまま流用しているので、ボディサイズに対し径が大きく見えますが、DPは小型車用のホイールを使用しているため、サイズ的にマッチして見えます。
また、ホイールのホワイトウォール部分の形状も異なります。また、開閉するボンネットの機構も異なります。PHEはボンネット裏側とステーとの半田付け部分は、ステーとフードが直に付けられていましたが、DPではステーの周りにシャフトのカバーを巻いて溶接されています。
つまり、ステーとフードが動くようになっているので、ボンネットを閉めた時にボディとの隙間が調整できますが、PHEはフードが少々浮き気味の状態になってしまいます。また、ステアリングの造形も異なります。
最後にボディカラーのバリエーションですが、PHEは赤ボディにアイボリーのシート、やや緑色掛かったクリームボディに赤いシートの2色でしたが、DPは赤ボディに黒の艶消しシート(輸出用サンプルの存在あり)、クリーム ボディに赤シート、シルバーメタリック ボディに赤シートのバリエーションが存在します。
もともと実車の特徴を巧みに捉えたディテールはとても素晴らしい出来栄えで、また、当時発売されたS600のミニカーはこの金型のみでしか存在しないため、貴重な存在です。
尚、今回ご紹介するミニカーは、全てウィンドウが複製品(オリジナルとは形状違い)、ステアリングも一部ノンオリジナルのパーツを装着しています。
※写真のタイヤの径が大きいミニカーは、ダイヤペットのベースとなった、大盛屋 ミクロペット・チェリカフェニックスシリーズPHE-38のホンダS600です。
この記事を書いた人
モデル・カーズ 「丸餅博士のヴィンテージ・ミニカー天国」並びにRM MODELS 「TRAM&CARS」に執筆中。愛車は1987年から所有している丸餅(’71 FIAT500L改)と1999年から使用している’91 メルセデス・ベンツ300E-24 (W124-031)。ヌォーヴァ・チンクエチェントと50年以上コレクションし続けているミニカーの啓蒙と伝道が使命。