コラム

「種車」で「キャラバン」注目度急上昇「マイルーム」と二刀流で構える日産キャンピングカー新戦略とは?

キャンピングカーショー 2025

トヨタハイエースの長納期によりキャラバンの巻き返すか!?

今年で20回目を迎えた「ジャパンキャンピングカーショー」(2025年1月31日〜2月3日、於:幕張メッセ)。その規模は今やアジア最大級となった。史上最多の183社・423台の車両が集結した中で、ひときわ目立っていたのが日産ブースだ。
日産のキャンピングカーといえば、「キャラバン」に次いで「NV200バネット」にも設定された「マイルーム」がある。日産関係者に話を聞くと「NVH(ノイズ・バイブレーション・ハーシュネス:音・振動・路面からの突き上げ)ついては、通常の新車基準で企画、設計、実験をしています」と自動車メーカーならではの高い品質を強調する。
車内の作り込みでも、部品同士の『合わせ』を新車基準としており、一般的なカスタムカーとは一線を介しているのが分かる。筆者は以前に、「キャラバンマイルーム」で旅に出たことがあるが、NVHへの対応を含めて、実に運転がしやすく長距離移動でも疲れが少ないと痛感した。

そんな日産ブースの様子が、今回はこれまでとは大きく違っていた。マイルームの隣に、「キャラバン」の「種車(たねしゃ)」展示があったのだ。「種車」とは、カスタマイズするためのベース車を指す。キャンピングカービルダーは通常、日産販売店経由で新車を仕入れた後、内装などを自社で剥がすなどして独自のカスタマイズを行う。
こうした手間を省くために、後席や荷室部分の部品装着をしない状態で、新車最終組立ラインからラインオフさせ、その状態で販売店経由で市場に流す。「種車ビジネス」で成功したのが、ステランティスだ。コロナ禍の2022年、フィアット「デュカト」を「種車」として販売。大手や中堅のキャンピングカービルダーがステランティスの正規販売店となったことで、流通経路が明確になり、さらにユーザーのクルマ本体に対する安心感も高まったからだ。今回のショーでも、デュカトベースの最新キャンピングカーが数多く登場した。
一方で、キャンピングカービルダーを悩ませているのが「ハイエース」の長納期だ。「最低でも1年半ですが、トヨタ販売店からは正式な期日は提示されていない状態」だという。ハイエースはトヨタ車の関連企業である岐阜車体(岐阜県各務原市)で製造されているが、半導体不足など部品購買の関係で生産能力が落ちているようなのだ。
日産としては「キャラバン・種車」にとっての好機として捉え、B2B(事業者間ビジネス)に積極的な姿勢を、展示ブースで見せたと言える。これで一気に、キャラバンベースのキャンピングカーが増えるのか、注目である。

桃田健史

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専門は世界自動車産業。その周辺分野として、エネルギー、IT、高齢化問題等をカバー。日米を拠点に各国で取材活動を続ける。日本自動車ジャーナリスト協会会員。一般誌、技術専門誌、各種自動車関連媒体等への執筆。インディカー、NASCAR等、レーシングドライバーとしての経歴を活かし、テレビのレース番組の解説担当。海外モーターショーなどテレビ解説。近年の取材対象は、先進国から新興国へのパラファイムシフト、自動運転、EV等の車両電動化、情報通信のテレマティクス、そして高齢ドライバー問題や公共交通再編など。

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