
ブランドのデザインマニフェスト
ランボルギーニは2025年8月15日、開催中のモントレー・カーウィークにて、新たな限定モデル「フェノメノ」を発表した。ランボルギーニのデザイン部門「チェントロ・スティーレ」の設立20周年を記念して生み出されたフェノメノは 、わずか29台のみが生産される「Few-Off」モデルである。自然吸気V12エンジンと3基のモーターを組み合わせたハイブリッドシステムは合計1080psという驚異的なパワーを発揮、「史上最速のランボルギーニ」の称号に相応しい。
V12の咆哮と電動化技術が融合した心臓部
フェノメノのパワートレインは、6.5L自然吸気V12エンジンと3基の電気モーターで構成されている。エンジン単体で最高出力835ps/9250rpmを発生(なお最高回転数は9500rpm)、これに3基の電気モーターが245psのパワーを上乗せし、システム合計で1080psという圧倒的な出力を実現した。
トランスミッションは新開発の8速デュアルクラッチ(DCT)であり、モーターの1基が統合されている。残る2基のモーターはフロントアクスルに搭載され前輪を駆動。これにより四輪駆動を実現すると同時に、トルクベクタリング機能によってドライビングダイナミクスを最適化するという。
この強大なパワーにより、フェノメノはランボルギーニ史上最高のパフォーマンスを達成、0-100km/h加速は2.4秒、0-200km/h加速は6.7秒、そして最高速度は350km/h以上となる。パワーウェイトレシオはランボルギーニ史上最高の1.64kg/ps(ランボルギーニ史上最高)を達成。これらの数値は、フェノメノが単なる美しいだけのマシンではなく、究極の性能を追求した結果生まれたものであることを物語っている。
「宇宙船」のようなデザインとエアロダイナミクス
フェノメノは、ブランドのデザイン哲学を極限まで突き詰めた「デザインマニフェスト」として位置づけられている。デザインディレクターのミィティア・ボルケルト氏が「予期せぬほどエレガントな宇宙船」と表現するように、そのスタイリングは未来的かつ洗練されたものと言えるだろう。
パワートレインは、航空宇宙工学に着想を得たシャシー「モノフューサラージ」に収められている。これは、完全にマルチテクノロジー・カーボンファイバーで作られたモノコックというだけでなく、フォージドコンポジットによるフロント構造も特徴とするもの。これは、Few-Offの先駆けであるレヴェントン(2007年)以来使用されてきたものだ。
空力性能も徹底的に追求されており、フロントにはダウンフォースを生成する「S-Duct」システムを搭載。リアの可動式ウイングは特殊な「オメガ」形状で、高速走行時の安定性を最大化する。
新しいドアのデザインも重要な空力的な役割を担っており、初代カウンタック以来ランボルギーニのデザインを唯一無二のものとしてきたNACAダクトの新解釈がもたらされている。これによって量産型ランボルギーニV12と比較し、側面冷却が30%以上効率的になったという。
レース直系のテクノロジーを公道へ
前述のとてつもないパフォーマンスを裏打ちすべく、フェノメノには、レースで培われた最先端技術が惜しみなく投入されている。たとえばブレーキは、LMDhレースカーと同様の技術を用いた「CCM-R Plus」カーボンセラミックブレーキシステムを搭載。公道とサーキットの両方で最高の制動力を保証するという。
また車両制御には車両の重心近くに設置された「6Dセンサー」を採用、これによりピッチ、ロール、ヨーを含む6軸の動きをリアルタイムで検知。あらゆる状況で車両の挙動を予測し、最適な制御を行うとされる。タイヤは、ランボルギーニのパートナーであるブリヂストンが専用開発した「Potenza Sport」を装着、これには、パンク後も一定距離を走行可能なランフラット技術も採用されている。
伝説を受け継ぐ「現象」
車名の「フェノメノ」は、2002年にメキシコのモレリアで戦い、その並外れた資質から助命された伝説的な雄牛の名に由来する。イタリア語とスペイン語で「現象」を意味するこの名は、まさにこのモデルが技術とデザインの粋を集めた特別な存在であることを示している。レヴェントン(2007年)やシアン(2019年)といった歴代のFew-Offモデルの系譜に連なる、新たな伝説の誕生と言うことができるのではないだろうか。
【SPECIFICATION】ランボルギーニ・フェノメノ
寸法:全長5014mm×全幅2076mm×全高1161mm
ホイールベース:2779mm
エンジン排気量:6498cc
ボア×ストローク:95×76.4mm
最高出力 @ rpm(ICE):835ps@ 9250 rpm
最高出力(ICE+EE合計):1080ps
最大トルク @ rpm(ICE):725Nm @ 6750 rpm
比出力:128ps/l
最大回転数:9500rpm
圧縮比:12.6:1
トランスミッション&ギアボックス:8速デュアルクラッチギアボックス
ブレーキ:フロント420×40mm/リア410×32mm
最高速度:350km/h以上
0-100 km/h:2.4秒
0-200 km/h:6.7秒
100-0 km/h:30m
乾燥重量/パワーレシオ:1.64 kg/ps
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※この記事は、一部でAI(人工知能)を資料の翻訳・整理、および作文の補助として活用し、当編集部が独自の視点と経験に基づき加筆・修正したものです。最終的な編集責任は当編集部にあります。