
「サバス」プロジェクト第3弾は静岡鉄道とコラボ、“ご当地サバス”が誕生
引退した路線バスを移動可能なサウナとして再生させるプロジェクト「サバス」。その待望の3号車が、地域パートナーである静岡鉄道とタッグを組んで静岡県に誕生した。静岡名産の「お茶」をテーマに掲げ、地域の魅力を満載した「ご当地サバス」として、これまでにない特別なサウナ体験を提供する。
【画像14枚】車内に広がる“茶畑”!? 静鉄復刻デザインが光る移動式サウナ「サバス3号車」の内外装を徹底チェック
引退した路線バスが「サウナ」に生まれ変わる
引退した路線バスに新たな命を吹き込み、移動可能なサウナとして再生させる――そんなユニークな試みが、移動式サウナバス「サバス」プロジェクトである。サウナ愛好家が集う専門ウェブサイト「サウナイキタイ」と、株式会社リバースが共同で推進するこの取り組みは、役目を終えたバスをただ解体するのではなく、人々に癒やしと楽しみを提供する特別な空間へと生まれ変わらせることを目的としている。
これまでにも数々のサウナファンを熱狂させてきたこのプロジェクトから、待望の3号車が静岡県で誕生した。今回は地域パートナーとして静岡鉄道株式会社が参画し、地域の魅力を満載した「ご当地サバス」として、新たなサウナ体験を提供する。
静岡県産木材を贅沢に使用した、茶畑モチーフの独創的キャビン
この「サバス3号車」は、静岡県中部地域を中心に乗合バス事業を営む「静鉄バス」が運行していた路線バスの車両を改造し製作された。その最大の特徴は、静岡県が全国に誇る名産「お茶」をテーマに据えている点だ。車内に足を踏み入れると、美しい茶畑の畝(うね)をイメージした段々構造のベンチが目に飛び込んでくる。この独創的な設計は、利用者が座ったり、あるいは横になったりと、自由な姿勢で心からリラックスしながらサウナを楽しめるようにとの配慮から生まれたものである。
ベンチのスノコ部分には静岡県産の木材が贅沢に使用されており、木の温もりとともに、地域の豊かな自然を感じることができるだろう。さらに、車窓からは霊峰・富士などの絶景を寝転がりながら楽しむという、これまでにない特別なサウナ体験が可能となっている。
こだわりの“装備”たち。降車ボタンは「蒸気」噴射スイッチに
サウナ室の広さは、これまでのサバスシリーズの中で最大を誇る。その心臓部にはフィンランド製のパワフルなストーブが鎮座し、本格的で質の高いサウナ環境を実現している。さらに、台湾のサウナから着想を得たという可動式の給気口がドアに設けられており、車内に新鮮な空気を取り入れながら、常に快適なコンディションでサウナ浴を堪能できる工夫が凝らされている。
サバスの名物として知られる「蒸気おりますボタン」も健在である。3号車ではこのボタンを押すと、広大な茶畑への水やりを彷彿とさせる、霧のように優しく柔らかな散水ロウリュが楽しめるという、遊び心あふれる演出が施されている。
外装デザインは、昭和20年代から40年代にかけて実際に静岡の街を走っていた静岡鉄道のバスの復刻デザインをベースに、サウナ仕様へと巧みにアレンジされており、レトロでありながらも新しい魅力を放っている。
2025年9月より運行開始予定、まずはお披露目イベントへ
運営は静岡鉄道が担い、2025年9月1日の運営開始を目指している。この新しいサウナバスをいち早く体験できるイベントもすでに複数予定されている。まず、9月4日(木)には静岡市の「東静岡天然温泉 柚木の郷」にて「サ活の輪 2025 〜新サバス試蒸会〜」が開催される。ここではサバス3号車に加え、バレルサウナやガレージサウナも楽しむことができる。
続いて9月13日には「御殿場プレミアム・アウトレット」の特設会場で「サバス誕蒸祭」が行われ、富士山を眺めながらサウナバスやテントサウナなど多彩なサウナを体験できる。さらに9月27日と28日には大阪の「クリエイティブセンター大阪」で開催される都市型フェス「OSAKA SOUND BARTHE」にも登場。サバス1号車から3号車までが一堂に会し、音楽やアートと共にサウナを堪能できる貴重な機会となる。
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もとよりサウナバスは、その唯一無二のコンセプトで好評を博してきた。そして今回、その新たな拠点が静岡県となったことは実に興味深い。静岡県といえば、サウナ界の聖地として全国にその名を轟かせる「サウナしきじ」を筆頭に、多くのサウナファンを魅了してやまない名施設が多くひしめく地域である。このユニークなサウナバスの登場をきっかけに、静岡が「サウナ県」として広く、そして強く認識されることになるかもしれない。今後の展開から目が離せない存在だ。
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