
プジョー308が、デザインと電動化技術の深化を果たして新たな章へ
プジョーは2025年8月26日、Cセグメントの主力モデルである「308」およびステーションワゴンの「308SW」の改良新型モデルを発表した。今回の改良では、プジョーとして初採用となるイルミネーションエンブレムを備えた新しいフロントフェイスをはじめ、特に100%電気自動車である「e-308」「e-308 SW」の性能向上が図られているのが最大のトピックだ。受注開始は2025年秋を予定しているという。
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プジョーの新たな象徴、光を放つライオンエンブレム
今回のフェイスリフトで最も目を引くのは、そのエクステリアデザインの進化である。現行308は登場時、新しいプジョーエンブレムを初採用したモデルであったが、改良新型ではさらにその先へと進み、ブランド史上初めてエンブレム自体が光を放つ「イルミネーションエンブレム」が採用された。この新しいエンブレムは、刷新されたフロントエンドの中央に鎮座し、ブランドの存在感を力強く主張する。なお、先進運転支援システムに不可欠な近接レーダーは、エンブレムの裏に巧みに隠されており、安全性とデザイン性を両立している。
エンブレム上部には、グリルを横切るように光のラインが追加され、新デザインのヘッドライトへと繋がることで、ワイドで安定感のあるスタンスを強調する。グリル自体も最新のプジョーのデザイン言語に沿って、ボディ同色でシームレスに統合されたデザインへと変更された。グリルのパターンは、中央部分の開口部を広く取ることで冷却効率を高め、サイドに向かうにつれて密度を高めることで視覚的な力強さを表現している。このイルミネーションフロントエンドは、スポーティなGTトリムに標準装備される。
ヘッドライトもまた、改良新型308の表情を大きく変えた要素である。3本の細いLEDクロー(爪)を配した新しいライトシグネチャーは、デイタイムランニングライトとシーケンシャルウインカー(GT/GT Exclusiveトリム)の機能を兼ね備え、プジョーのアイデンティティを明確に示している。ヘッドライト本体(ロービームとハイビーム)は、従来よりも低い位置のバンパー内に、非常にコンパクトなモジュールで統合された。これにより、消灯時にはその存在がほとんど分からなくなり、クリーンなフロントフェイスを実現している。ヘッドライトには、Style、Business、AllureトリムにPEUGEOT FULL LEDテクノロジーが、GTおよびGT ExclusiveトリムにはPEUGEOT Matrix LEDテクノロジーが採用される。
リアデザインも、全トリムで3本のLEDクローを備えた最新のテールランプシグネチャーが採用され、洗練性を高めている。エクステリアカラーには、308ハッチバックに洗練された新色「ラゴア・ブルー」が、308SWにはブランドの象徴的なカラーである「インガロ・ブルー」が追加された。
パワートレインの主役、航続距離を450kmに伸ばした「e-308」
今回の改良の核心は、電動パワートレインの進化にある。100%電気自動車の「e-308」および「e-308 SW」は、パワートレインの効率を徹底的に見直すことで、WLTP複合サイクルにおける航続距離を最大450km(ハッチバック)へと伸長させた。これは従来モデルから34kmの延長となり、CセグメントEVの中でもトップクラスの性能を誇る。
この航続距離延長を支えるのは、最高出力115kW(156ps)、最大トルク270Nmを発生する電気モーターと、総容量58.4kWh(使用可能容量55.4kWh)の400V高電圧バッテリーの組み合わせである。また、ドライバーがより積極的にエネルギー回生を行えるよう、ステアリングホイール背面のパドルで3段階に調整可能な回生ブレーキシステムが搭載された。最も回生レベルの強いモードでは、アクセルペダルを離すだけで強い減速G(-1.8m/s²)を発生させ、エネルギー回収を最大化する。
充電性能も向上しており、標準装備される11kWの三相オンボードチャージャーに加え、最大100kWのDC急速充電に対応。これにより、バッテリー残量20%から80%までを約32分で充電することが可能だ。
さらに、電動モビリティの利便性を高める新機能として、充電ケーブルを接続するだけで車両認証から支払いまでが完了する「Plug & Charge」機能と、車両のバッテリーから外部の電化製品へ電力を供給できる「V2L(Vehicle-to-Load)」機能(最大3.5kW)が新たに追加された。
多様なニーズに応えるプラグインハイブリッドとハイブリッド
プジョーは、完全電動モデルだけでなく、多様なニーズに応えるパワートレインを用意している。第2世代となる新しいプラグインハイブリッド「Plug-in Hybrid 195」は、150psを発生する1.6L 4気筒ターボエンジンに、92kW(125ps)の電気モーターと17.2kWhのバッテリーを組み合わせ、システム合計で195psの出力を発揮する。これにより、WLTPサイクルで最大85kmのゼロエミッション走行が可能となった。
また、電動化への第一歩として最適な選択肢となる145psのハイブリッドモデルも設定される。このモデルは、走行中に自動でバッテリーを充電し、発進時や加速時にモーターアシストを行うことで、ダイナミックな走りと優れた燃費性能(4.7~5.1L/100km)を両立。都市部では走行時間の最大50%を100%電動モードで走行することが可能である。これらの電動化パワートレインに加え、長距離走行を得意とする1.5L BlueHDiディーゼルエンジン(130ps)も引き続きラインナップされる。
上質さとコネクティビティを磨いたインテリア
インテリアは、定評のある「PEUGEOT i-Cockpit」をさらに洗練させた。ドライバーの視線移動を最小限に抑えるヘッドアップディスプレイ式のデジタルインストルメントクラスターには、オプションで新たな3Dグラフィックスが採用され、視認性と先進性を高めている。センターの10インチタッチスクリーンの下には、エアコンやナビゲーションなど好みの機能へのショートカットを設定できる「i-Toggles」が配置され、直感的な操作を可能にしている。
コネクテッドサービスも強化され、TomTom製の高性能ナビゲーションやChatGPTを統合した音声アシスタントを備える「PEUGEOT i-Connect Advanced」システムが用意された。スマートフォンアプリ「MyPeugeot」を使えば、メンテナンス予約や車両位置の確認、充電のスケジュール設定やエアコンの遠隔操作などが可能となり、利便性が大幅に向上している。
フランスのミュルーズ工場で生産される改良新型プジョー308/308SWは、デザイン、性能、そして利便性の全てにおいて大きな進化を遂げ、競争の激しいCセグメント市場における存在感を一層高めることになるだろう。
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