
大ヒット作が進化を加速、新型デリカミニついに登場
三菱自動車は2025年9月18日、軽スーパーハイトワゴンの新型『デリカミニ』および『eKスペース』を10月29日より発売すると正式に発表した。2023年5月の発売以来、月販3000台を超える大ヒットモデルとなり、2023-2024日本カー・オブ・ザ・イヤーで「デザイン・カー・オブ・ザ・イヤー」を受賞するなど、三菱の国内販売を牽引してきた『デリカミニ』が、わずか2年強という異例の速さでフルモデルチェンジを果たす。8月の概要発表で大きな話題を呼んだが、今回ついにその全貌と価格が明らかになった。
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中村副社長「軽の既成概念を破壊するクルマ」
同日開催された取材会に登壇した三菱自動車 代表執行役副社長(営業担当)の中村達夫氏は、新型デリカミニが担う役割の重要性を強調した。中村氏は、厳しい自動車業界の変革期において三菱が持続的成長を遂げるため、国内市場での収益と人材確保が不可欠であると説く。その上で、「2030年に向けて販売規模を今の1.5倍ぐらいにしていきたい」と意欲を見せ、その鍵を握るのが、これまで取りこぼしていた層へのアプローチだと語った。「30代から40代のファミリー層や、あるいはその中でも女性のお客様に対して、しっかりと三菱車を選択肢に入れていただくことがとても重要だと思ってます」と述べ、まさに新型デリカミニがそのための重要な戦略車であると位置づけた。
中村氏は新型デリカミニの魅力を「軽自動車の既成概念を破壊するクルマ」と表現。さらに「デリカミニか、それ以外か」と、その自信を覗かせた。自身も普段は「アウトランダーPHEV」に乗っているという中村氏は、新型デリカミニを試乗した際の驚きを隠さない。アウトランダーと同じ遮音フィルム入りのフロントガラスが採用されている静粛性や、カヤバ製の高性能ショックアブソーバー「プロスムース」がもたらす上質な乗り心地に触れ、「アウトランダーPHEVから乗り換えてもいいなと思うぐらい」とその完成度を絶賛。規格は軽自動車でありながら、その内容はもはや軽ではない、「クラスレスなクルマ」であると強調した。
見た目も中身もタフに進化した「頼れる相棒」
その言葉を裏付けるように、新型デリカミニは全方位で進化を遂げている。「進化したアクティブで頼れる相棒」をコンセプトに、エクステリアは半円形のLEDポジションランプを大型化し、より凛々しく親しみやすい表情となった。フロントバンパーとテールゲートガーニッシュには立体的な「DELICA」ロゴが配され、存在感を高めている。ボディカラーにはキャンプギアと調和する「サンドベージュパール」などを新たに追加した全15色が用意される。
インテリアは、インパネ中央に12.3インチのGoogle搭載インフォテイメントシステムと7インチ液晶メーターを一体化させた「モノリスディスプレイ」を採用し、先進性と視認性を向上させた。室内長は従来比で115mmも拡大され、より広々とした空間を実現している。
走りにおいては、軽自動車として初となるドライブモードセレクターを搭載。「POWER」や「GRAVEL」「SNOW」など5つのモードを選択でき、路面状況に応じた最適な走りを提供する。滑りやすい路面での発進をサポートする「グリップコントロール」や、急な下り坂で車速を一定に保つ「ヒルディセントコントロール」も軽スーパーハイトワゴンで唯一採用し、悪路走破性にも磨きをかけた。
安全性能も大幅に強化され、運転支援機能「三菱e-Assist」には、軽初となる後側方衝突防止支援システムや、交差点での衝突回避を支援する機能が追加されている。
新グレード「DELIMARU Package」は“全部載せ”
そして今回の目玉として、これら最新のインフォテイメントや運転支援技術などを標準装備とした新グレード「DELIMARU Package」が設定された。まさに新型デリカミニの魅力を存分に味わえるグレードと言えるだろう。
車両本体のメーカー希望小売価格(税込)は、新型デリカミニが196万4600円~290万7300円、同時にフルモデルチェンジした新型eKスペースは174万9000円~194万5900円(消費税10%込)となる。
先行予約は8月22日から開始されており、すでに累計で4000台を超えているという。中村氏は発売日までに「1万3000台の予約注文を受け取りたい」と高い目標を掲げる。異例の速さでのフルモデルチェンジは、大ヒットモデルの勢いをさらに加速させ、三菱ブランドを象徴する一台として確固たる地位を築こうという強い意志の表れだ。軽自動車の枠を超えた「頼れる相棒」が、再び市場に大きなインパクトを与えることは間違いないだろう。
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