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ポルシェのレース活動になぜ「ワーゲンバス」が? 明かされた歴史的ルーツと、未来の体験拠点「PECシンガポール」構想

F1ウィークのサプライズ、主役は一台の「ワーゲンバス」

ポルシェは2025年10月6日、F1ウィークで沸くシンガポールにて、将来のポルシェ・エクスペリエンス・センター(PEC)シンガポールの最終コンセプトを発表した。この発表に際し、ブランドの豊かなモータースポーツの歴史を象徴する、意外な一台の車両がシンガポールの街を駆け巡った。それは、フォルクスワーゲン「タイプ2」(T1、通称“コンビ”/“ワーゲンバス”)であった。

【画像21枚】シンガポールの街並みに映える、赤い「レンディーンスト」バン。そのディテールと「PECシンガポール」を写真で見る

ポルシェのレース史を支えた「レンディーンスト」という名の功労者

ポルシェとVWタイプ2。一見すると結びつきが薄いように思えるこの2台だが、その関係はポルシェの輝かしいモータースポーツの歴史の奥深くに存在した。今回シンガポールの街に現れた「ワーゲンバス」は、クラシックなポルシェ・レンディーンスト(Renndienst)、すなわち「レースサービス」のカラーリングをまとっていた。このレンディーンストバンは、かつてタルガ・フローリオやミッレミリアといった伝説的な公道レースや、ヨーロッパ中のサーキットでポルシェのレースカーを追いかけ、必要不可欠な工具やスペアパーツを運び続けたサポートカーであった。それは、ヨーロッパのレースパドックではおなじみの光景だったのである。

ポルシェのレースのルーツは、1951年のル・マン24時間レースにおける356SLでのクラス優勝にまで遡る。以来、3万回を超える勝利を積み重ねてきた歴史は、まさに「レース生まれ(Raceborn)」と呼ぶにふさわしい。

今回、シンガポールでその伝統を再創造すべく、「レンディーンスト」バンは限定版の冊子『レースボーン』を配布しながら島内を巡回した。この冊子には、ル・マンを彩った有名なカラーリングから、レースで培われ公道へとフィードバックされた数々の技術革新、そしてアジア太平洋地域のレーシングパーソナリティの物語まで、ポルシェのモータースポーツのルーツが詳細に記されている。

2027年開設、PECシンガポールの全貌

そして、この冊子のヘッドラインを飾ったのが、2027年にオープンを予定するPECシンガポールの最終コンセプトイメージの初公開であった。公開されたレンダリング画像は、コミュニティイベントのための広場や、ポルシェとして世界初となる、建物を突き抜けて加速カーブへと突入する「ドライブスルー・トラックエクスペリエンス」といった、大胆なデザイン要素を明らかにしている。さらに、最大限の注意深さが求められるテクニカルなダブル「S字カーブ」、緊急車両制御を学ぶエリア、アンダーステアとオーバーステアの基本を学ぶ低摩擦ハンドリングトラック、そして最大1.4Gもの横Gを体験できるバンクコーナーなど、スリリングな施設が予告されている。

ポルシェ・アジアパシフィックのマーケティングディレクター、ヤニック・オットは「PECシンガポールは、ポルシェのモータースポーツDNAが、ユニークなドライビング体験と活気あるコミュニティの祝祭と出会う場所になります」と語る。往年のレースシーンを陰で支えたレンディーンストの伝統復活と、未来の体験施設への展望。今回の発表は、ポルシェの揺るぎない情熱と革新の精神が、過去から未来へと確かに受け継がれていることを示すものであった。

【画像21枚】シンガポールの街並みに映える、赤い「レンディーンスト」バン。そのディテールと「PECシンガポール」を写真で見る

※この記事は、一部でAI(人工知能)を資料の翻訳・整理、および作文の補助として活用し、当編集部が独自の視点と経験に基づき加筆・修正したものです。最終的な編集責任は当編集部にあります。
LE VOLANT web編集部

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