フォルクスワーゲン・ティグアン TDI 4MOTION R-Line 雪上試乗記
2024年に日本へ上陸し、プレミアムな領域へと質感を高めた3代目フォルクスワーゲン・ティグアン。今回は長野県戸隠の雪道へ、ディーゼル四駆モデル「TDI 4MOTION R-Line」を連れ出した。通常時から後輪へトルクをかける「5%の先読み」でスリップを封じる賢い四駆システムと、新サスペンション「DCC Pro」がもたらす、安心と痛快のウインタードライブの真髄をお届けする。
【画像18枚】クラスを超えた上質感。緻密な面構成と大型モニターを備えた3代目ティグアンの内外装を網羅
クラスを超えた動的質感。MQB evoがもたらす走りの進化
2024年に日本上陸を果たした3代目ティグアンは、あらゆる面でクオリティが高まった。ボディのチリ(外板同士の隙間)はきっちりと詰められていて、洗練された滑らかな面構成によるSUVらしい塊感を強調。キャラクターラインは主張しすぎず、けれども効果的に使われて、とくにリア・フェンダーなどは迫力がある。
インテリアも質感が高くなるとともに、モニターが大型化された。MIB4と呼ばれるインフォテインメント・システムはユーザービリティが相当に高まっている。さらに、先代に対して進化したMQB evoプラットフォームによって走りも進化。フォルクスワーゲンは、マス・ブランドとプレミアム・ブランドの中間的なキャラクターだが、ティグアンはプレミアム方向に明らかにシフトした。それでも価格はリーズナブルに抑えられている。
ラインアップが豊富なのもティグアンの美点だが、なかでもディーゼル・エンジン+AWDのTDI 4MOTIONが用意されているのが嬉しい。頼もしい走りと低燃費を両立し、悪路走破性が高いことは、SUVらしいアクティブなカーライフの味方になるからだ。今回は雪道にティグアンTDI 4MOTION R-Lineを連れ出して、その性能を存分に味わった。
40cmの新雪もリラックスして走破。進化したオンデマンド式AWDの実力
一晩で40cmほどの積雪があった長野県戸隠近辺は、除雪の行き届いたドライ&ウエットから圧雪路、所々にアイスバーンが顔を出す路面など様々なシチュエーションがあったが、スタッドレスタイヤを履いたティグアンは安心感が高く、リラックスして走れた。4MOTIONはFFを基本として必要に応じて後輪にも駆動力を配分し、前100:後0~前50:後50まで連続的に可変するオンデマンド式だ。第5世代のハルデックスカップリングは、電動で油圧を発生させてクラッチを制御し、駆動力配分するのに加えてABSやESC(横滑り防止装置)とも統合制御される。
滑りやすい路面での発進もじつにスムーズでタイヤのスリップは最小限に抑えられている。通常時は前100:後0で燃費性能に寄与するが、駆動時は約5%のトルクがあらかじめ後輪にかかったプレチャージ状態となるためスリップが少なく、後輪への駆動力配分のレスポンスも素早い。
ドライブモードは「エコ」「コンフォート」「スポーツ」「カスタム」とオンロード主体のモードの他、「オフロード」「雪」といったSUVらしいモードも用意される。デフォルトの「コンフォート」でも安心感のある走りだったが、「雪」に切り替えるとさらに安定性が高まる。部分的に滑りやすい路面に遭遇したときなどに、ESCが早めに介入して姿勢を制御するからだ。
限界を超えても破綻させない。賢いドライブモードが叶えるアグレッシブな走り
今回はクローズドの特設コースがあったので、タイヤの限界を超える走りを試してみたが、「雪」を選択しているとわざと滑らせるのが困難なほど安定していた。ただし、フカフカの新雪からの発進などはトラクションコントロールが介入して、ゆっくりとしか進めない。そこで「オフロード」に切り替えると制御の介入が大幅に軽減されて、グイグイと走れるようになる。コーナーでも「オフロード」は痛快で、ある程度のテールスライドを許容。アクセルワークで向きを変えていくアグレッシブなドライビングも可能になる。ただし、カウンターステアが当たって角度が付いてくると、ESCがスムーズに介入してきて安定方向に持っていく。楽しく走れるが、安全性は担保される。そんな賢いモードだ。
雪道でもスタッドレス・タイヤの能力を存分に引き出しているのが「DCC Pro」だ。電子制御で減衰力を可変させるショックアブソーバーだが、従来のDCCとは異なり、2バルブ構造とすることで縮み側と伸び側を独立制御できる。ドライブモードの切り替えによって自動的にセッティングが変わり、雪道ならば「スノー」や「コンフォート」ならば合っている。その他、任意に15段階ある減衰設定を選択することもできる。伸び側も縮み側もソフトにセットすると、凹凸の多い雪道でもスムーズな乗り味で接地性も高い。速度域が高い場面では伸び側を少しハード方向にすると、ボディの動きが落ち着いて走りやすかった。
「DCC Pro」と大トルクTDIの融合。雪道で「鬼に金棒」となる最適解
雪道ではエンジンは低回転を使う場面が多いため、1750-3250rpmという幅広い回転域で400Nmもの大トルクを発生するTDIはじつに扱いやすい。タイヤをスリップさせないよう、微細なアクセルコントロールをしているときでも応答性が着実で、欲しいトルクを欲しいだけ引き出せるからだ。
ティグアンTDI 4MOTION R-Lineの、最新のディーゼル・エンジンに4MOTION、そしてDCC Proの組み合わせは、雪道でまさに鬼に金棒。どこまでも走って行きたくなる、頼もしい相棒なのだ。
【SPECIFICATION】VOLKSWAGEN TIGUAN TDI 4MOTION R-Line
フォルクスワーゲン・ティグアン TDI 4モーション Rライン
■車両本体価格(税込)=6,664,000円
■全長×全幅×全高=4540×1860×1655mm
■ホイールベース=2680mm
■車両重量=1750kg
■エンジン種類/排気量=直列4気筒DOHCインタークーラー付きターボディーゼル/1968cc
■最高出力=193ps(142kW)/3500-4200rpm
■最大トルク=400Nm(40.8kg-m)/1750-3250rpm
■燃料消費率(WLTCモード)=15.1km/L
■燃料タンク=61L(軽油)
■トランスミッション形式=7速DSG
■サスペンション形式=前:ストラット、後:4リンク
■ブレーキ=前:ベンチレーテッドディスク、後:ディスク
■タイヤ=前後:255/40R20
■公式ウェブサイト:https://www.volkswagen.co.jp/ja/models/tiguan.html





















