モーガンを新次元に導いた美しきバルケッタ
モーガン・モーター・カンパニーは、英国マルバーンにあるピッカーズリー・ロード工場において、限定50台となる特別モデル「ミッドサマー」の最後の1台の生産を完了したことを、2026年3月12日に発表した。
【画像42枚】芸術品レベルの職人技をその製造工程から窺い知る!
伝統の木材×最新技術の結晶。
「ミッドサマー」は、ピニンファリーナとの協業によりデザインされた限定生産のバルケッタ(オープンカー)である。モーガンの伝統的なコーチビルド(車体製造)技術を称え、その普遍的なシルエットを再定義するという特別プロジェクトとして発表されてから約2年が経過しており、2024年7月から同工場にて生産が続けられてきたものだ。
生産された50台は、まさに全てがワンオフモデルとなっている。各オーナーはモーガンのデザインチームと複数回にわたる個別のコンサルテーションを行い、特注のステッチパターンや塗装色、寄木細工の突板、ピンストライプ、専用の計器盤アートワークなど、多彩なリクエストが反映された。
このプロジェクトは商業的な成功を収めただけでなく、職人の技術向上や社内体制の強化にも寄与したという。通常のモデルより手作業による成形要素が多く、複雑な構造を持っていたため、デザイン、エンジニアリング、そして熟練の職人たちとの間でかつてないレベルの連携が求められた。ここで培われた技術や品質向上の成果は、「スーパースポーツ」や「プラス・フォー」といった主力モデルにも還元されたとのことである。
モーガン・モーター・カンパニーのマネージング・ディレクターを務めるマシュー・ホール氏は次のように述べている。
「最後のミッドサマーの生産完了は、モーガンにとって重要な瞬間となります。私たちのコーチビルドの伝統を祝うことから始まった本プロジェクトは、同時に私たちのチームに対し、クラフトマンシップ、デザイン、エンジニアリングの新たなレベルを探求するという挑戦を与えてくれました。最後の車が工場を出発するにあたり、ミッドサマーは私たちの物語における画期的な章として位置づけられ、将来の特別プロジェクトへの道を切り開く助けとなりました」
最高執行責任者のポール・ハンド氏は生産現場の視点から次のようにコメント。
「ミッドサマーの製造は、生産チームにとって驚くべき事業でした。職人たちはその課題を受け入れ、伝統的な技術を最新のエンジニアリング手法と共に応用し、50台の真に個性的な車を世に送り出しました。ここで得られた経験は生産能力の強化に役立ち、モーガンの中心にあるクラフトマンシップをさらに強固なものとしています」
なお、生産されたミッドサマーのうち最後の1台は、プロジェクトの記念およびピッカーズリー・ロードの卓越したクラフトマンシップを示す展示車両として、マルバーンに残される予定だ。一方で、「スーパースポーツ」、「プラス・フォー」、「スーパー3」といった通常モデルのラインナップについては、引き続きフル生産体制で世界中の顧客に向けて製造が続けられている。
【ル・ボラン編集部より】
最新のアルミプラットフォームに強力なパワートレインを積む現代のモーガンだが、市場が彼らに求めるのは、やはり連綿と受け継がれるアッシュ材の骨格と手作業の温もりである。本機「ミッドサマー」は、ピニンファリーナによるモダンな意匠と、英国の伝統的コーチビルドという一見相反する要素を見事に調和させている。特筆すべきは、単なる好事家向けの懐古主義にとどまらず、ワンオフ製造で得た知見を主力モデルへ還元するしたたかさだ。孤高のスポーツカーメーカーが遂げた進化の証明として、高く評価したい。
【画像42枚】芸術品レベルの職人技をその製造工程から窺い知る!











































