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【新型eスカイ初試乗】スズキの大本命軽EV! 航続310kmを生む軽量化技術と“あえてのトールワゴン”の真価

スズキが導き出した軽EVの“最適解”。激戦区に「あえてのトールワゴン」で挑む

日産サクラが口火を切った軽EV市場。その後ホンダ、BYDが続き、軽トップシェアを誇るスズキが「e SKY(eスカイ)」を引っ提げてようやく参入する。カテゴリーはワゴンRと同じトールワゴン。その出来栄えはいかに──?

【画像56枚】スズキが満を持して放つ新型軽EV「e SKY」の驚異的な完成度と“軽さの秘密”

ライバルとは違う独自路線! スライドドアを持たない新世代EV

スズキが満を持して、その主戦場となる軽自動車カテゴリーにピュアEV「eスカイ」を投入。そのプロトタイプモデルを袖ヶ浦フォレストレースウェイで試した。ボディは全長/全幅を規定枠いっぱいまで使い切った2ボックス形状。そして全高は1625mmと、トールワゴンに収まっているのが興味深い。というのも輸入車としてこのカテゴリーに初参入したBYDは、スーパーハイトワゴンであることを必須条件として「ラッコ」を開発したからだ。対してスズキは、スライドドアを持たず、5ドアで市場に臨んだ。

“EVである前に、軽自動車である”をコンセプトに開発されたe SKY。往年の「スズライト」を彷彿とさせるショルダーラインも特徴のひとつとなっている。

サクラやラッコを凌ぐスペック。小容量バッテリーで長距離を走れる秘密

そんなeスカイのパワーユニットは、モーター/インバーター/減速機が一体化された3-in-1構造で、駆動方式は前輪駆動。最高出力は自主規制枠を超えず47kW(64ps)だが、最大トルクは133Nmと、ターボ車以上の出力を発揮している。ちなみに軽EVで一番の力持ちは日産サクラ(195Nm)だ。eスカイはサクラより40~60kgほど軽い1013kgのボディだが、トルクウェイトレシオでは7.62kg/Nmとやや及ばない。しかし航続距離は310kmとサクラ(180km)を大きく上回り、ラッコの320kmに迫っている。

フロントに搭載されるモーターは最高出力64㎰、最大トルク133Nmを発生。一充電当たりの航続距離は310kmを実現している。

バッテリーはBYD傘下のフィン・ドリームスが供給するLFP(リン酸鉄リチウムイオン)。容量は26kWhと小さいから、この航続距離にはスズキならではの軽量化技術が生きていそうだ。またその交流電力消費率は97Wh/kmで、軽自動車のみならず国産EV最小とのことだった。充電時間は普通充電3kW(200V16A)で約8時間、6kW(200V30A)で約4.5時間、50kWの急速充電だと警告灯点灯から80%までを約25分で充電する。

急速&普通充電ポートは右リアフェンダー部に備わる。

サーキット試乗で判明。トールワゴン形状がもたらす極上の高速安定性

ということで実際に走らせた印象だが、プロトタイプと言いながらもかなり出来栄えはよかった。確かに加速に過激さはないが、コーナーからの立ち上がりは軽やかで、100km/h加速には伸びがあり、広いコースでもストレスを感じないのだ。感心したのは高速域の安定性で、ここにEVの魅力を感じた。具体的にはターンイン時の操舵がピタッと定まり、ターンミドルでの挙動も危なげなかった。ならばと90km/h付近でダブルレーンチェンジを試したが、ヨーの収まりがいい。こうした領域で165/65R14サイズのタイヤが腰砕けせず仕事をこなせるのは、セダン形状を選んだ効果だ。フラットな路面ゆえ乗り心地や振動・騒音には言及できないが、この高い安定感は軽自動車の質感を高めるだろう。

独特な4本スポークデザインのホイールには、165/65R14サイズのダンロップeエナセーブが組み合わされる。

インフィールドでの細かい切り返しやクランクでは、4.4mの最小回転半径がもたらす取り回しの良さを確認できた。またeビターラで感じた操舵系の剛性感不足や、電動パワステの追従性の悪さもなく、スムーズにステアリングを操作することができた。

ラゲッジスペースも使い勝手は良好で、日常の買い物から週末のレジャーまで多彩に活躍しそうだ。

オーソドックスだからこそ使いやすい。EV普及の鍵を握る戦略的モデル

運転席のメーターと10.1インチモニターを、黒いパネルでつないだ手法は、一見すると一枚の液晶パネルのようで見事だ。それを受け止めるトレーのようなダッシュボードも、コントラストが効いている。高価な素材を使わずともチープに見せないデザインはセンスが良く、愛らしくもスマートな外観とトーンが合っている。

水平基調で視界の広いインストルメントパネル。センターには10.1インチのディスプレイを配置し、操作系のレイアウトも使い勝手は良好だ。レザー調のステアリングホイール(ヒーター付き)や、音声での運転サポート機能、コネクトナビなど装備も充実。シートのかけ心地も良く、快適に移動することが可能となっている。

総じて第一印象はかなり良かったスズキ「eスカイ」。あとは価格だが、スーパーハイトのラッコが上級仕様でも250万円を切っている現状に対して、スズキはどう挑むのか。まずはオーソドックスなトールワゴンで初手を打ちEVの普及を狙ったスズキの戦略が、うまくいくことを期待している。
※編集部注:2026年秋に日本での正式発表が予定されている。

■新型「e SKY」専用サイト:https://www.suzuki.co.jp/car/esky/
【画像56枚】スズキが満を持して放つ新型軽EV「e SKY」の驚異的な完成度と“軽さの秘密”

photo=相澤隆之/T.Aizawa、スズキ/SUZUKI
山田弘樹

AUTHOR

自動車雑誌「Tipo」の副編集長を経てフリーランスに。編集部在籍時代からレース活動も始め、ロータスのワンメイクレースやスーパー耐久、フォーミュラスズキ隼やスーパーFJなどに参戦。この経験を活かし、モータージャーナリストとして活動しつつ、ドライビングスクールでの講師も行う。A.J.A.J.(日本自動車ジャーナリスト協会)会員。

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