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車重205kgの合成皮革ボディ! メッサーシュミットから乗り換えた超希少3輪車、旧チェコスロバキア製「ヴェロレックス16/250」【愛車群像】

ヴェロレックス16/250
ヴェロレックス16/250

1956年式ヴェロレックス16/250

上信越・北陸エリアを代表するヒストリックカー・イベント「日本海クラシックカーレビュー」。これは2026年9月で35回目となる、全国的にも知られた歴史あるイベントだが、諸般の事情から惜しまれつつも今回が最後の開催。今後はその役割をゴールデンウィークに開催される「クラシックカーミーティング」と11月の「糸魚川クラシックスポーツカーフェスタ」に引き継いでいくということなので、今後も新潟県糸魚川市が“ヒストリックカー・イベントの聖地”であることには変わりないだろう。

【画像6枚】車重わずか205kg! パイプフレームにヤワ製2ストエンジンを積む「ヴェロレックス16/250」の全貌を見る

イセッタ、メッサーシュミットを経て辿り着いた「バブルカー趣味の極致」

ともあれ、今回の日本海クラシックカーレビューも例年同様、いや、むしろ例年以上に粒ぞろいのクルマたち130台がエントリーリストに名を連ね、まさに老舗イベントのラストを飾るにふさわしい質・量ともに充実した内容となった。会場となったフォッサマグナミュージアムの駐車場は、毎年常連のクルマたちと新たなエントラントとが程よくバランスしながら展示されるが、今回イベント初参加組のなかでひときわ目を引いていたのがこちらのスリーホイーラー。その異形に思わず立ち止まる。

「旧チェコスロバキアのヴェロレックス(Velorex)というメーカーのクルマです」と語ってくれたのは、オーナーの伊藤博之さん。JAPAN BUBBLE CAR CLUBのメンバーにしてバブルカー趣味の大ベテランだ。

「このヴェロレックスの他にイセッタ300ブライトンも所有しています。このヴェロレックスは、それまで30年以上乗り続けていたメッサーシュミットKR200を次のオーナーに譲り、それと入れ替える形で手に入れたものです」
2026年の今となっては、メッサーやイセッタでも十分に珍車の部類だろうが、それにしてもヴェロレックスとは! バブルカー趣味もここに極まれり。
「ナンバー付きで公道を走れる個体は日本ではこの1台だけじゃないですかね」

英国モーガンにインスパイアされた、旧チェコスロバキア生まれの3輪車

ちなみにヴェロレックスとは、人々に軽便で安価なモビリティをと目論んだフランティシェク・ストランスキーとモイミラ・ストランスキー兄弟によって、旧チェコスロバキアのソルニツェで戦前の1936年に創業されたメーカー。2人がインスパイアを受けたのは英国のモーガンと言われる。

ただ、その後1938年にはナチス・ドイツによるズデーテン地方併合、さらに1938年から1939年にかけてチェコスロバキアの解体、そして第二次世界大戦の勃発から終戦という歴史の荒波に飲み込まれた同社が本格的に生産を始めることができたのは、大戦が終結した1945年以降のこと。

戦前以上に人々の移動手段が必要とされた大戦終結直後、軽便で安価なヴェロレックスはそれなりの需要に支えられ、1950年代半ばには月産40台のペースで量産されたと言われる。

パイプフレームに合成皮革の外板! 9馬力の2ストエンジンで走る205kgの超軽量ボディ

搭載されるエンジンやホイールサイズなどの変遷・改良はありつつも、パイプフレームの後方に、旧チェコスロバキアのヤワ(Jawa)やドイツのDKWといったオートバイのエンジンを搭載するという構成は同社の歴代モデルに共通。そして何よりユニークなのはボディ外板に合成皮革を用いていることで、このことがヴェロレックスの外観上の大きな特徴となっている。

伊藤さんのヴェロレックスはエントリーリストによれば1956年式ということなので、エンジンは9馬力を発生するヤワ製の2ストローク単気筒250cc。その独特の構造もあって車重は205kgと超軽量だ。

「この個体は2006~2007年ごろには東京にいて、その後、次のオーナーの元に嫁いでしばらくは京都にいたものを、メッサーと入れ替える形でつい最近手に入れました。それが今年5月のことです。クルマに限らず昔から古いものが好きなので、メンテナンスも苦にしません。入手直後は調子の悪い箇所もあったのですが今はおおむね快調です」

往年の日活アクションコメディ映画『危いことなら銭になる』の劇中に登場したメッサーシュミットを見て以来という、年季の入ったバブルカー・フリークがたどり着いた究極の1台。老舗イベントのラストを飾るにふさわしい貴重な1台を見せていただきました。

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フォト=長尾 循/Jun Nagao

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