スタッド(スパイク)タイヤの尖りっぷりはケガするレベル!?
すっかり春めいてきた今日この頃ですが、今回は冬の北欧ラリー行脚第一弾、ラリー・スウェーデンの模様をお伝えします。
4年前に初めて行ったラリー・スウェーデンは暖冬の影響で雪が無くてステージはぐちゃぐちゃのぬかるみだったりで、ステージキャンセルが相次ぎました。おまけに氷で足を滑らせて右手を骨折するっていう惨事に見舞われたりと散々な目に。その後も毎年行くたびに機材が壊れたり歯茎が腫れたりと、ボクにとってスウェーデンは鬼門中の鬼門。果たして今年は無事に帰国できたのでしょうか?今、これを書いてるってことは帰国してるんですけどね。
ではここでラリー・スウェーデンについて簡単にご説明しましょう。
開催場所は中部ヴェルムランド地方にあるトーシュビューという小さな街周辺です。ラリーでもなきゃまず行くことはないだろうなあ。日本から行くなら、ストックホルムからクルマで約4時間ちょっと走るか、鉄道か飛行機でカールスタードまで移動してクルマ。もしくはノルウェーのオスロからでもアクセスできます。オスロの方が若干近いかなって感じ。
楽なのは断然鉄道です。早めに予約するとびっくりするぐらい安いし、広軌なので日本の車両よりも広くて快適! 鉄道のことを語りだすと止まらなくなるのでこの辺で。まあとにかく、雪がなければストックホルムやオスロからレンタカーで走ってもいいんですけど、吹雪いたりするとペースも落ちるし何より疲れるので、僕は鉄道で移動するほうが好きかな。
WRC唯一の完全なスノーラリーで、スタッドタイヤを使うラリーです。モンテカルロでもスタッドタイヤを使うけど、スウェーデンで使うスタッドタイヤはタイヤサイズやスタッドの数が違うんです。
昔は細いタイヤを使ってましたが、今はグラベル用のホイールを使えるサイズになったのであそこまで細くないんです。以前、現場でタイヤを撮影する機会があって、タイヤを少し移動させようとうっかりスタッドに触れたら指を切ったぐらいとんがってます。雪のラリーだからそんなに速度は出ないのかなあって思うかもしれませんが、むしろ逆。平均速度がやたらと高くて、それゆえ馬力や空力が重要です。
去年は近年稀に見ぬ雪の当たり年で、キレイな雪景色の中でのラリーだったんですが、今年は若干少なめ。昼間の気温は東京と変わらないぐらいでした。とは言え、夜は氷点下に下がるので、昼間に溶けた雪が夜に再び凍って路面は最悪。レンタカーもスタッドタイヤ付きなんだけど、気温の高い昼間はおっそろしいぐらい滑ります。
あの路面なら日本のスタッドレスのほうが効くんじゃないのかなあ? ステージにアクセスする枝道も、いつもの冬ならなんてことのない道なんだけど、気温が高くて路肩が緩んでスタックする車が続出。ギャラリーもメディアもみんなそろってスタックしまくり。細い道なので1台がハマるともうどうにもならないので、周囲の人たちと協力して脱出させます。あんなにクルマを押したり引いたりしたのは久々でした。
今年のラリー・スウェーデンには久々にラリーに帰ってきたドライバーが。プジョーやフォードで活躍したフィンランド人、マーカス・グロンホルムがヤリスWRCで参戦したんです。すっかりおっちゃんになったグロンホルムですが、あいかわらずスマートな体型でカッコいい!
ヒュンダイのローブ、併催のヒストリックラリーに参戦したペター・ソルベルクもいたので、歴代チャンピオン揃い踏みですよ。リザルトは残せなかったけど、年齢を感じさせない走りで、すぐにでも現役復帰できそうな勢いでした。
さてさてラリーのほうはというと、路面のコンディションと出走順が明暗をわけました。気温が高くて雪が緩いところにきて、ヒストリック部門の車が作った轍がイマドキの車とはまるであわず。早い出走順の選手達には厳しいコンディションでした。
オジェやヌービルのタイムが伸びず、オジェにいたってはデイリタイア。最近、飛ぶ鳥落とす勢いのトヨタのタナックが堅実な走りでラリーをリード。2位のシトロエンのラッピに1分近い差をつけて優勝しました。
タナックはこの勝利でポイントリーダーに!予想していたとはいえ、完璧な戦いっぷり。この速さは本物ですね。
次回はWRC以上に盛り上がるヒストリッククラスの様子をお伝えします。ボクはむしろヒストリックのほうをメインに取材したようなもの。お楽しみに~。
この記事を書いた人
身長159cm、体重47kgの業界最小フォトグラファー。ラリー取材は内外問わず経験豊富。放浪癖あり、撮り鉄、阪神ファン、プジョー106キチガイ。