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読みごたえのあるショートショート10編を集録、その名も「未来製作所」

デンソーが小説を?

自動車サプライヤー最大手のデンソーが、ユニークなPR戦略を展開している。出版社の幻冬社とのコラボレーションにより未来のモビリティやモノ作りをテーマとした小説を発刊。「未来製作所」と名付けられたこの本には、5人の作家がデンソーを取材して書かれた10編のショートショートが集録されている。

クルマ関係の企業が舞台となったコラボ小説は「小説・本田技研」など今までもいくつか刊行されているが、その企業の販促ツール的なものが多く、内容は楽しく読めるもののPR色の強いものがほとんどだった。

一方でこの未来製作所は、あまり一般には馴染みのないデンソーという企業がバックアップしつつ、未来のクルマ社会のあり方を描いたもので、いわゆるゴーストライターではなく、作家自身がデンソーに潜入取材!?して執筆したところも新しい。また、大手出版社が手がけ、書店などで一般読者向けに販売する点も注目される。

自動運転やバーチャルリアリティ(VR)といった最新のネタを散りばめ、今までのPR小説や実録ものとは違った面白さがこの本にはあるが、クルマ好きの人や、あるいはクルマ離れといわれる若い世代がこういった小説を読んでどう思うのか興味深いところ。戦後まもない時代には電気自動車を製作して市販した実績もあるデンソーが、この小説で何を示したいのか。興味のある人は手に取ってみるといいだろう。

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