国内試乗

ポルシェ・パナメーラ・ターボS E ハイブリッド【国内試乗】史上最強のPHVサルーン現る!

はてさて、シリーズ史上もっともハイパワーでもっともゴージャスで、もっとも電気色が強い。ますますこのクルマの存在が混沌とした中での試乗となった。

後席には専用コンフォートヘッドレストを標準で装備。

心穏やかに走行している限り、ほとんどEVである。バッテリー残量が許されれば……という注釈付きだが、アクセルペダを床踏みでもしない限りエンジンが目覚めることは稀だ。モーターは相当に力強く、高速道路の合流も余裕。箱根の山道でさえ内燃機関の助けを借りることなくグイグイ登っていく。EV走行の最高速度は140km/hと、ガソリンを一滴も消費せずにガレージからハイウェイまでが守備範囲だ。

カラー液晶を備えた5連メーター。

一方、室内の静粛性も折り紙付き。EV走行中の室内は静まり返り、ハーシュネスも抑えられている。2.3トンの車重は、鈍重さではなくほどよい重量感に感じ、VIPが後席でくつろぐ空間としても極上の仕上がり。

12インチタッチ式スクリーンとカラー液晶を備えた5連メーターは、ポルシェ最新世代モデルが採用するアドバンストコクピット。

とはいえ、ポルシェのDNAを備えることは、680psを目覚めさせればわかる。積極的なドライビングに挑めば怒涛の世界だ。

ステアリングの走行モード選択ダイヤルを「EV」から「スポーツ」にアジャストすれば、いきなりエンジン始動で臨戦態勢に。「スポーツ+」にセットすればさらに回転が上がってスタンバイ。

そこからは、初速からトルクがマックスに転じるEVのそれではなく、内燃機関らしく回転系の針の上昇に比例してパワーが積み重なっていく感覚だ。

左右にウイングを広げる独特なリアスポイラーも標準装備だ。

モーターはあくまで控えめに、エンジントルクの苦手な回転域をサポートするに過ぎない。ゆえに、激しく速いのだが、ドライビングプレジャーも残されている。もちろんコーナリングフィールは地を這うがごときだ。試乗を終えた印象は、なんと贅沢なモデルかということ。すべてにおいて「史上もっとも」が枕詞。それでいて、性能がすべて整っているのである。

911カレラに通じるマッシブなリアビューはエンドパイプが左右デュアル出しだ。リアフェンダー右が給油口、左が充電ソケット。

Specification
ポルシェ・パナメーラ・ターボS E ハイブリッド
車両本体価格(税込):28,310,000円
全長/全幅/全高[mm]:5049/1937/1427
ホイールベース[mm]:2950
トレッド(前/後)[mm]:1657/1637
車両重量[kg]:2310
最小回転半径[m]:5.7
乗車定員[名]:4
エンジン型式/種類:─/V8DOHC32V+ツインターボ
内径×行程[mm]:86.0×86.0
総排気量[cc]:3996
圧縮比:10.1
最高出力ps(kW)/rpm:550(404)/5750-6000
最大トルクNm(kg-m)/rpm:770(78.5)/1960-4500
モーター型式/種類:─/交流同期電動機
最高出力ps(kW)/rpm:136(100)
最大トルクNm(kg-m)/rpm:400(40.8)
燃料タンク容量[L]:80(プレミアム)
バッテリー種類:リチウムイオン電池
燃費(10・15/JC08)[km/L]:-/-
ミッション形式:8速DCT
変速比:1)5.970、2)3.240、3)2.080、4)1.420、5)1.050、6)0.840、7)0.680、8)0.530、R)5.220、F)F3.310 R3.150
サスペンション形式:前 ダブルウィッシュボーン/エア、後 マルチリンク/エア
ブレーキ 前/後:Vディスク/Vディスク
タイヤ(ホイール):前275/35ZR21(9.5J)、後325/30ZR21(11.5J)

リポート:木下隆之/フォト:郡 大二郎/ル・ボラン2018年9月号より転載

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