キャラクターは正反対だが同得点のフシギな2台!
「よく頑張って作りましたね」と褒めたいところだが、実際の乗り味は価格に見合っているとは思えなかったシビック・タイプR。ターボの大トルクを受け止めるには駆動系全体の剛性が足りておらず、40.8kg-mのトルクを扱うにはクラッチ容量も不足している。ベースはフィットなので、リアサスペンションはベーシックなトーションビームだし、ドライビングポジションも高めだ。さらに、先代のシビック・タイプRのエンジンがターボ化されただけで、シャシーやボディが時代の要求に合わせてアップデートされていない。それでも、ニュルで速く走れるのだから、目的は達したのだろう。
そもそも、このクルマが人気なのはホンダが愛されているブランドだから。ダメンズが女性にモテる心理と同じかもしれないが、他のメーカーではやらないようなヤンチャな企画を実行してしまうところに、ホンダの面白さがある。そういう意味では、ここ最近で最もホンダらしいクルマがシビック・タイプRといえるだろう。
また、ホンダは3モーターの9速DCTを持つNSXを2000万円ほどで市販化する予定もある。「思いついたら作っちゃえ」的ないまのホンダは、戦略やマネージメントとは無縁なメーカーとも思えてしまうが、だからこそ愛されるし個性が際立つのかもしれない。