清水和夫のDST

シビック・タイプR vs VWゴルフGTE、性格が正反対な2台の真っ向勝負!【清水和夫のDST】#68-1

一方で、優等生を絵に描いたようなフォルクスワーゲン(VW)だったが、ディーゼルスキャンダルで化けの皮が剥がされた。ただこれは、VWというよりも、調子に乗りすぎたドイツメーカー全体に神様の怒りが舞い降りてきたのかもしれない。各社がディーゼルでガンガン攻めていた時代も、VWはEVに力を入れていた。だが、ハイブリット化には消極的だった。

今回のスキャンダルで更迭されたウルリッヒ・ハッケンベルグ博士がVWの開発責任者だった当時、ハイブリッド化に消極的な理由を聞いてみたところ、「EVを含めた様々なパワートレインに対応する柔軟なプラットフォームが必要。そのためにMQBを開発した」と語っていた。そのとおりに7代目ゴルフで登場したMQBプラットフォームは、天然ガス、PHEV、ディーゼル、ガソリンと、どんなパワートレインも搭載できる汎用性の高いモジュールを実用化していた。ひとつゴルフに苦言を呈したいのは、ゴルフVIの時代はオルガン式だったアクセルペダルが、MQBを採用したゴルフVIIから吊り下げ式になってしまったことで、これは残念でならない。

ただ今回ゴルフGTEの走りが予想以上に良かったのは、やはりMQBが要因だろう。前後重量配分は最適化されボディ剛性も高い。

どちらを選ぶかでその人の性格が分かって面白い

突然変異か思いつきで生まれた未完成なシビック・タイプRと、頭脳的な戦略で作られた完璧なゴルフGTE。そのキャラクターは 前者が古典的な肉食系で、後者が前衛的な草食系。価格は近いが、あまりにもキャラクターがかけ離れている。シビック・タイプRは今回だけで終わってしまうのか、第2章があるのかが気になるところだが、6速MTをDCTにしたり、FFを4WDにしたりと発展の余地はまだまだある。

総合的な点数は引き分けとなったが、シビック・タイプRとゴルフGTE、どちらを選ぶかでその人の性格が分かって面白いかもし れない。私なら? 迷わずダメンズの前者を選ぶだろう。

RESULT

個性は違うが同評価。選択はユーザー次第だ
●フォルクスワーゲン ゴルフGTE:16.0/20点
●ホンダ シビック・タイプR:16.0/20点

ル・ボラン 2016年4月号より転載
CARSMEET web編集部

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