キャデラックが日本にXT5クロスオーバーを導入してから1周年。そんなXT-5をメインとしたオールラインナップ試乗会が開催された。会場には他にもATS、CT-S、エスカレードも用意されていた。当日は生憎の天気だったが……、最新キャデラックの印象はいかに?
カッティングエッジな存在感がある
プレミアム系アメリカ車としては、日本市場で唯一存続しているキャデラック。だが、プレミアムといっても欧州車とは位置づけが少しばかり異なるとのこと。伝統的な貴族社会がないアメリカにおいて、プレミアムとは無限の可能性を秘めたブランドを意味する。
実際に、キャデラックはブランドの再構築を図っている。アメリカンドリームを成し遂げた成功者の証といったゴージャスなイメージから抜け出し、もっと自由でスタイリッシュでいてクールな、欧州車や日本車とは一線を画すカッティングエッジな存在感がある。
すでに、2018年4月のニューヨーク・ショーでキャデラックとしては初となるコンパクトSUVのXT4を発表。さらに、2021年までに5モデルが投入されるそう。その先駆けとなったのが、2017年10月に日本市場に上陸したXT5クロスオーバーだ。
ヒット作となったミドルSUVのSRXの後継モデルであり本国ではキャデラックの主力モデルとしての役割を担う。もはや、フルサイズのラグジャリーサルーンがキャデラックの象徴ではないわけだ。ただ、サイズ的な大らかさはアメリカ車らしくミドルクラスとしてはかなり立派に見える。それでいて、エクステリアの多くはシャープなラインで構成されているので軽快な印象も与える。
走りは、まさにアメリカンラグジャリー。ペダル操作やステアリング操作に対する応答性は、いい意味で穏やかであり滑らかだ。あいまいな反応を示すこともないだけに、気がつけば心持ちまで穏やかになっている。しかも、優れた静粛性を発揮し、日常的な場面では低回転域から充実したトルクが確保される3.6リッターのV型6気筒エンジンの音が耳に届かない。ちなみに、アクセルを踏み続け高回転域に達すると想像以上にパワフルな加速も楽しめる。話を戻せば、路面によってはロードノイズが大きめに感じることもあるが、室内に響くことがないので耳障りではない。
リアルタイムダンピングサスペンションがもたらす乗り心地も快適であり、ボディにブルッという感じの振動が残ってもすぐに消える。それだけに、前席だけではなくスライドとリクライニングが可能な後席にも最高レベルのくつろぎ感が提供できるはずだ。