追加投入の高性能SUV生まれ故郷はサーキット
インテリアはMスポーツ仕様とほとんど違いはないが、速度ゲージは330km/h、レッドゾーンは7200rpmにまでスケールアップ。サポートのしっかりした硬めのスポーツシートに身体を預けてスタートボタンを押せば、キャビンにまで直6の咆哮が轟く。
レザーとカーボン、アルミ素材で構成されたコクピット。本革巻きスポーツステアリングには、Mカラーの3色ステッチが施される。シートはスポーツタイプが標準で上質なヴェルナスカレザーやメリノレザーを用意。
走り出せば、すべての操作系が男らしい頑固なスポーツモデルという雰囲気を醸し出す。しかも、そのダイナミック性能は驚くばかりで、ハイペースで流れるハイウェイに怯まず飛び込める。加速後は、しっとりしたステアフィールでクルージングが楽しめるのだが、大径タイヤと締め上げられたスポーツシャシーは硬く、たとえ「コンフォート」を選んでも、北米の高速道路でしばしば見られる裂け目や穴を避けないと、ショックが身体にダイレクトに伝わってくる。
シフトセレクターで変速レスポンスが変えられるほか、エンジン、シャシー、ステアリングの特性をそれぞれ任意でセットアップでき、その設定をメモリーできるM Driveボタンをステアリング左右に備える。
一方、サーキット試乗ではこのスポーツシャシーが抜群のパフォーマンスを発揮。コーナリングでは後輪のトルクをきちんと路面に伝え、しっかりしたグリップ性能でラインをトレースする。こうしたコーナーからの脱出は、Mが仕立てたフルタイム4WDの極み。そのままバックストレッチで加速すると、今度は無類の直進安定性を発揮して約200km/hに届く。わずか数ラップの試乗であったが、やはり「M」の生まれ故郷はサーキットであることが確認できた。