ヤリすぎ感さえあるC220dの強大なトルク
メルセデス・ベンツCクラスも、日本市場への導入以来5年が経過しているが、2018年にマイナーチェンジを実施。それに際して、C220dは新開発のエンジンを搭載している。従来型と比べ排気量が2.2Lから2Lとなったにもかかわらず、最高出力は24psも上乗せされ194psに到達。もはや、ディーゼルはトルク重視なのでパワーは二の次という一般論は過去の事実となったわけだ。
体感としても、アクセルを踏み続けると高回転域でパワーの頭打ちがなく最高出力を発揮する3800rpmを軽々と超える。そして、9速ATをDレンジにしたままでも4200rpmでシフトアップが繰り返される。しかも、いかにも爆発圧力が高そうな鼓動感があるエンジン音を響かせる。
むしろ、数値上の最大トルクは400Nmと従来型から変わらない。だが、低回転域でもアクセルを少し踏み足せば力強さの充実ぶりが確かめられ周囲の流れをリードできる。それどころか、走行モードを「スポーツ+」にすると2000rpmからトルクがカタマリになりドカッという感じで飛び出してくる。ただ、刺激的ではあるが少しばかりヤリすぎだ。
走りを楽しむ場面でも「スポーツ」が頃合いで、切れ味がスムーズなステアリングの手応えに少しだけ重さが加わる。コーナー進入時の応答性が正確であり、コーナリング中は4輪が路面をバランスよく接地する実感がある。メルセデス・ベンツは直進性を重視しているという一般論は間違いではないが、いまや山岳路を駆けぬける場面も得意としている。
プジョー508が積む2Lエンジンと組み合わせる新世代の8速ATは、なかなかに相性がよい。なぜかといえば、最大トルクの400Nmを発揮する回転数が2000rpmとディーゼルとしては高めなことに合わせ、市街地ではその直前を維持するシフト制御がされるからだ。それだけに、アクセルを踏みぎみにすれば力強さが速やかに立ち上がる。同行モデルが1000rpmの前半を保つことが多いため燃費への影響が気になるが、JC08モードではクラスの平均レベルは達成している。
508で特徴的なのは、ダンパーの減衰力を連続可変制御するアクティブサスペンションを備えることだ。走行モードが「コンフォート」なら、路面のうねりを通過する際にフワッという感じの縦揺れを起こすことがある。だが、次の瞬間にはそれが収まり乗り心地の快適さが印象に残る。しかも、走行モードを変えずに手応えがやや重めなステアリングを切り込みながらコーナーへ進入しても、ロールが大きすぎるといった横揺れを感じることもない。体を優しく包み込むようにフィットするシートを含め、いかにもフランス車らしいしなやかな乗り味が感覚に染み入ってくる。
いかがだろうか、ディーゼルは力強さや燃費などの機能性の高さが魅力となる。ただ、こうして乗り比べてみると、ブランドや国柄により特徴の感じさせ方が異なることが明らかになった。つまり、それだけ味わい深いわけだ。なおかつ感じ方は人それぞれなので、ぜひとも乗って確かめてほしい。