燃料の水素は工場から排出されるものを再利用!
トヨタは、燃料電池自動車(FCV)の「MIRAI」に搭載されている燃料電池システム(FCシステム)を活用した定置式のFC発電機を開発。愛知県豊田市の本社工場敷地内に設置して、このほど実証運転を開始した。
今回導入したFC発電機は、MIRAIに搭載されているFCスタック、パワーコントロールユニット(PCU)、2次電池などのFCシステムをそれぞれ2セット使用。MIRAIのFCシステムを活用することで、より高性能で安価な機器の製造を目指してトヨタとトヨタエナジーソリューションズが共同で開発したものだ。
実証運転では、この発電機で発電した電力を本社工場内で利用するため、定格出力を100kWとして毎日、24時間連続で運転。水素使用量当たりの発電量などのエネルギー効率、発電出力の安定性、耐久性、メンテナンス性などの検証、評価を行なう。
今後は実証結果を踏まえ、工場での自家発電設備としてFC発電機の導入を拡大するとともに、水素の効率的な活用技術の開発と導入を進めていく予定とのこと。なお、すでに燃料となる水素はFC関連部品の製造工程、評価・試験工程から排出される水素を再利用している。トヨタでは、2015年に発表した「トヨタ環境チャレンジ2050」のひとつである「工場CO2ゼロチャレンジ」の実現に向け、製造段階でのCO2排出量低減に着実に取り組んでいくという。
また、FCV開発で培ったFCシステムの活用拡大の一環としてFC発電機の実用化を視野に、エネルギー効率や耐久性向上・コンパクト化・コスト低減などの商品力強化に向けた研究・開発とビジネスモデルの検討を進めていく予定だ。
FC発電機の基本スペック
・横幅×長さ×高さ:2.3×4.5×2.5m
・MIRAIから流用した主なFCシステム:FCスタック、PCU、2次電池、エアーコンプレッサー
・定格出力:100kW
・発電効率(送電端):50%以上(目標)
・定格電圧/相数/周波数:AC210V/三相三線/50/60Hz
・燃料電池の種類:固体高分子形
・水素純度:純水素(99.97%)
・起動時間:40秒(定格出力到達時間)