自動車型録美術館

フィアット・アバルト131ラリー/ハコ好きにとって特別な存在である131アバルト【自動車型録美術館】第23回

ハコ好きにとって、やはりフィアット・アバルト131ラリーは特別な存在です。もちろん、3.5リッターのV6を搭載した、更に過激なSE031も素敵なのですが、残念ながら031の資料は目にしたことがありません。131ラリーのカタログは、ご覧のようにタイプ打ちのような文字フォントに代表されるように、じっくり読ませるタイプのものです。なかでもお薦めは表3。蛇足ながら、表3とは裏表紙の裏側のこと。そこにまとめられた表は、一瞥に値する内容だと思います。SEの開発コードがついたクルマでは、有名なSE037のランチア・ラリーや038のランチアS4の資料があります。どちらも見応えのある内容なので、いずれご紹介したいと考えています。

FIAT ABARTH 131 RALL/フィアット・アバルト131ラリー

第19回の自動車型録美術館でフィアット・アバルト124ラリーをとりあげた際にお約束していた、124ラリーの後継車である131ラリーです。

車名表記について

車名表記で悩むことがあります。フィアット・アバルト131ラリーのような長い名前の場合、どのように表記するのが正しいのか考えこんでしまうのです。世の中ではフィアット131アバルトラリーと記している例が多く見られます。ここで大切なのは、メーカー自身がどのようにしているかです。124も、そして今回の131も、メーカーによる刊行物では、それぞれフィアット・アバルト124ラリー、フィアット・アバルト131ラリーと表記されています。

今回はご紹介できませんでしたが、フィアットの発行した、ラリー活動を写真で綴った冊子には、131アバルト、との記述があります。どうも、フィアットから始まるフルネームと、フィアットを省略する場合で、フィアット社は表記方法を分けているようです。

カタログの見所について

長々と表記について書いてきましたが、このカタログでは文字情報が何より重要なのです。カタログには、写真などのビジュアルで魅せるものだけでなく、このフィアット・アバルト131ラリーのように記述内容で読み手を惹きつけるものも存在します。大体はビジュアルと文字情報がバランスよく配されているのですが、今回紹介するフィアット・アバルト131ラリーの資料は、明らかに文字情報偏重です。

文字中心の地味なカタログは131ならではです

上でも書いているように、このカタログは文字情報が命です。フィアットでは、ラリーシーンの写真で構成された、ビジュアル主体の小冊子も用意しています。同時に紹介すると、こちらのカタログが霞む恐れもあったため、今回は掲載を見送りました。そちらは、131レーシングやヴァルター・ロール仕様、そしてアバルトの名を冠した131ボルメトリコといった131の派生車ファミリーと併せ、機会をあらためてご紹介する予定です。

●サイズ(縦×横)298mm× 210mm ●全20ページ

 

Text:板谷熊太郎 /Kumataro ITAYA カー・マガジン475号(2018年1月号)より転載

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