清水和夫のDST

加速はホンダ・インサイトが優位、減速はプジョー308が骨太な制動力を発揮!【清水和夫のDST】#103-2/4

清水和夫のダイナミック・セイフティ・テスト(Dynamic Safety Test)
Number103(SEASON.12):プジョーが得意なディーゼルモデルにホンダの最新ハイブリッドが挑む!

プジョー308 GT ライン・ブルーHDi vs ホンダ・インサイト EX/Test01:加減速テスト

テストの「方法」「狙い」
●加速テスト:静止状態からフル加速し、100km/hに到達するまでの時間から平均加速Gを算出。非力なクルマは0.15G程度、高性能車では0.6Gに達するクルマもある。エンジン、トランスミッション、トラクションのかかり方といった、パワートレイン全体の能力をみる。
●ブレーキテスト:100km/hからフルブレーキング、停止するまでの時間から平均減速Gを算出する。減速Gはどんなクルマでも0.8G〜1.2G程度だが、加速Gに対応した減速Gを持っていることが重要。そうでないクルマは危険といえる。

【DST】ホンダ インサイトEX vs プジョー 308GT Line BlueHDi(加速編)【DST♯129-01】

【DST】ホンダ インサイトEX vs プジョー 308GT Line BlueHDi(減速編)【DST♯129-02】

加速ではインサイトが優位、減速では308が骨太な制動力を発揮

HONDA INSIGHT EX

加速:0.29G(★★★★☆)減速:0.86G(★★★☆☆)

インサイトは、シビックのプラットフォームにi-MMD(2モーターハイブリッド)を搭載したモデルだ。ハイブリッド専用車という位置付けだが、このハイブリッドはプリウスよりも電気で走る領域が広く、感覚的にはEVに近い。スペックを見るまでもなく、走りはとても快活である。実際に0→100km/h加速(2回平均で9.56秒)はスピードが高まっても衰えることはなく、体感的にもディーゼルよりも全域で静かでトルクフルだ。ブレーキは何気なく踏むと、スッーと止まって精度の高いブレーキで、強く踏んだ際のABS制御にも感心する。しかし、ストッピングパワーはもう少し欲しい印象だった(100→0km/hは39.56m)。

PEUGEOT 308 GT Line BlueHDi

加速:0.32G(★★★☆☆)減速:1.06G(★★★★☆)

いつ乗っても感じることは、ディーゼルの低速トルクの力強さだ。1.5ディーゼルターボは300Nmのトルクを絞り出しており、組み合わされる8速トルコンATも良い仕事をしている。エンジンの振動もよく抑えられている。だが、4000rpmに達すると、パワー感が物足りなくなってくる(0→100km/h加速は11.37秒)。0→60km/h加速ならば308だが、60→100km/h加速はインサイトだ。4000rpmを超えない領域ならば扱いやすい。ブレーキはABSが作動すると、タイヤがホッピングするほど大きな減速Gを発生。強く踏むほどストッピングパワーが得られる(100→0km/hは35.97m)。骨太のブレーキ性能を誇る。

フォト:篠原晃一 ル・ボラン 2019年10月号より転載
清水和夫

AUTHOR

1954年生まれ東京出身。1972年にモータースポーツを始め、卒業後プロのレースドライバーとなる。その後、モータージャーナリストとして活動を始め、自動車の運動理論や安全技術を中心に多方面のメディアで執筆・講演活動を行う。ITS、燃料電池車、環境問題に留まらず各専門分野に整合した総合的に国際産業自動車産業論を論じるようになる。雑誌『ル・ボラン』では長年にわたり「清水和夫のダイナミック・セイフティ・テスト【DST】」を連載中。
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https://www.startyourengines.net

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