2台を乗り比べて分かった“本物”へのアプローチの差
ディフェンダーは直4の2Lガソリンターボを積むが、その動力性能には舌を巻くしかなかった。2.2トンの車重をものともせず、どんな急坂でも楽々と登っていくさまは圧巻。しかもターボラグを感じさせないうえにパワーのリニリティが高いので実に扱い易い。高速燃費がおよそ10km/Lだったことを含め、まったく不満を覚えなかった。
LAND ROVER DEFENDER110 SE
ただし、動力性能ではラングラーがディフェンダーを凌ぐ。ラングラーに積まれるV6の3.6Lガソリンエンジンの最大トルクは347Nmで、ディフェンダーの400Nmには一歩及ばないのに、ディフェンダーよりも200kg近く軽い車重が効いているのか、スロットルペダルを踏んだ瞬間にグイと背中を押されるような加速感を味わえる。しかも高速燃費は12~13km/Lをマーク。ディフェンダーを完全に突き放してみせたのである。
LAND ROVER DEFENDER110 SE/オフロードからストリートまで乗りこなす。装着タイヤはグッドイヤー・ラングラー・オールテレインアドベンチャー(255/60R20)。オフロードを得意としながら舗装路の乗り心地も上質だ。ロードクリアランスは29.1cm。
さて、ここまで細々と2台を比較してきたが、率直にいってディフェンダーとラングラーのどちらを買うかで迷う向きはいないだろう。ラングラーはいかにもアメリカ的で大らか。操作系もずいぶん現代風になったとはいえ、まだまだマニュアル式のよさを残している。デザインもアメリカ風にワイルド。基本的にはロールケージで組んだ上屋のうえにルーフを被せた構造なので、雨の日はドアを開けた瞬間、水が車内に流れ込んでくることもあるので要注意。もっとも、そんなところを楽しめるくらいの気概がなければジープに惹かれることもないだろう。たとえていえば、ラングラーは分厚いデニムで作ったジーンズのようだ。
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いっぽうのディフェンダーはデザイン面でワイルドなテイストもあるが、クォリティや機械としての洗練さはオンロード主体の最新SUVとまったく互角。ファッションでいえば、最新の機能素材で作られたハイブランドのスポーツカジュアルにも似ている。
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今回の試乗はオンロードを中心に行ったが、2台のオフロード性能は一般的な使い方をする人にとってはとても使えこなせないほど圧倒的。その意味でいえば、どちらを選んでも間違いはないはず。最後はアメリカンとブリティッシュのどちらが好みかで勝負が決まりそうな気がする。
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多様なオプション装着が可能なのも魅力
インパネにはワイド画面を備える最新インフォテインメントシステム「Pivi Pro」が搭載される。試乗車はオプションのエクスプローラーパックを装着し、ボディーカラーはタスマンブルー。荷室容量は5シーターの場合、通常時で857Lとなる。