コラム

ついにチーム悲願の初優勝を獲得!【BMW Team Studie監督「鈴木BOB康昭」のSUPER-GT参戦記】第3戦鈴鹿ラウンド編

シリーズランキングも2位に浮上!

こんにちは。BMW Team StudieのBOB鈴木でございます。
今シーズンのスーパーGTは、ニューマシンのBMW M4GT3が投入されることもあり、1年振りに監督に復帰することとなりました。どうぞ温かく見守ってください(笑)。
というわけで復活したこちらの連載。今回は第3戦鈴鹿ラウンドの模様をお届けしたいと思います。

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プロローグ
2022年5月29日遂にその時はやってきた!
AUTOBACS SUPER GT Round3 たかのこのホテル SUZUKA GT 300km RACEは、一生忘れる事の出来ない素晴らしいレースとなった。

5/27練習走行
BMWワークスドライバーであるアウガスト・ファルフス選手は今回ニュルブルクリンク24時間レースとスケジュールが重なってしまったので欠場し、その代わり第3ドライバーである近藤翼選手が満を持して今シーズン初登場の舞台となった。

事前に二日間みっちりと、ここ鈴鹿でテストを重ねていたので持ち込みのセットアップはほぼ完璧で、わずかな微調整のみで走行を重ねた。

今回ミシュランタイヤが持ち込んだタイヤはこれまでレースでもテストでも使った事のない新しいコンパウンドのモノで、これが非常にグリップもコントロール性も高く、それでいて摩耗にも強い事がこの練習走行でわかり、とても大きな手応えを掴みこの練習走行をノートラブルで終えた。

5/28予選
午前の練習走行時から一気に気温も路面温度も上昇し、全チームに緊張が走る。路面の温度が15度も上がると午前のデータがあまり参考にならないケースが多いためである。クラス全27台をTOP16に絞るQ1はエース荒聖治選手が担当した。

いつもの彼のスタイルである非常にゆっくりとしたところからじわじわとタイヤを前後同じ様に丁寧に暖めていき、4周目にタイムアタック開始。一周のコースを4セクターに分けたタイムボードにセクター1,セクター2そしてセクター3とベストタイムが表示されていき、フィニッシュラインを超えた瞬間に表示されたタイムは1分57秒179。27台を2グループに分けたA組でのトップタイムを刻んだ。

ちなみに昨年のポールシッターのタイムが1分57秒322なので、これは恐ろしく速いタイムである。BMW M4GT3が本領を発揮してきた! そしてTOP16台で明日のレースの上位グリッドを決めるQ2に近藤翼選手が挑む。近藤選手も荒と全く同じ手法でタイヤを暖め同じく4周目にタイムアタックに入り、やはりすべてのセクターで自己ベストを刻み、荒選手のQ1のタイムを上回る1分56秒743を叩き出すも、この時点では3番手で予選を終えた。

その後、二番手のランボルギーニのタイムがコース外走行で無効となり、さらにTOPタイムを叩き出したGTRが予選後の車検で車高がひっかかり最後尾に順位を落とし、我々は棚ぼた的にポールシッターとなった。あまりにラッキーな結果に喜びはそこそこも、貴重な1ポイントも獲得出来た。ここまで流れは非常に良い!

5/29決勝レース
翌日のレース決勝日は、昨日にも増して気温も路面温度も高く完全な真夏日。路面温度は50度を超えこれは各タイヤメーカーの想定範囲を超える領域なため、いかにタイヤを守りながら良いタイムを安定して連続していくかの技量がドライバーに問われるレースとなる。

しかし、我々の最新機であるBMW M4GT3のトラクションコントロールやブレーキ系の電子デバイスは、まさに最新のテクノロジーが搭載されており、これは前記した様な過酷な環境で最も強力な武器になるので、それの使い方等も両ドライバーと念入りに確認しあってSTARTの時を迎えた。

スタートを担当した荒聖治選手は絶妙なスタートダッシュを決める。一周ごとに2位以下を引き離す激走を見せ、途中他車のトラブルでセーフティカーの導入等もあったが予定通りの20周目にトップのまま近藤翼選手にバトンを渡した。

変わった近藤翼選手がピットアウトしたすぐ真後ろに2位を走行中のマッハ号が張り付く。こちらはまだ冷えたコールドタイヤ、向こうはタイヤ無交換作戦であったので温まりきっている良コンディションのタイヤとかなり不利な展開ながら、近藤翼選手はアウガストを思わせる絶妙なライン取りでなんとかこの猛攻を交わし、タイヤが温まってきてからは徐々にその差を開いていった。

ここからは後続を5秒6秒と引き離すとセーフティカーが入り、その差がリセットされ再開後また引き離すもまたセーフティカーという、我々としては非常に歯がゆい展開が続いたが、とうとう一度もトップを渡す事なくチェッカーフラッグを迎える事ができ、チーム悲願の初優勝を決めた。荒聖治選手にとってもGT500では幾度も経験しているが、GT300クラスに来てからは念願の初優勝となった。

あとがき

BMW M4GT3のアジア初優勝を決められたのは本当に嬉しい、と言うよりもホッとした安堵の方が大きかった。最大の勝因は今回持ち込まれたミシュランタイヤだが、ドライバーもメカニックも一つもミスする事なく、BMW M4GT3のトラブルもなかった事が大きかった。

 

これでシリーズランキングも2位に浮上。今回の高熱な環境での強さは、この後の真夏のフジ、鈴鹿と続く450kmのロングレースにおいてとても自信を持って挑む事が出来、11年ぶりとなるシリーズチャンピオンに向けてチーム全員が非常に高いモチベーションを保てており、自分達が日本のM50周年の主役になるべく引き続き闘っていくと誓って、ここで筆をおきます。たくさんの応援有難うございました!

 

フォト=田村 弥/W.Tamura

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