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すこぶる貴重な60年以上前のプラモデルを贅沢にフィニッシュ!AMT製「1961年型ポンティアック・ボンネビル」【モデルカーズ】

WB123インチ・シャシーを持つ最上級車

ポンティアックのラインナップに「ボンネビル」という名が加わったのは、1957年型でのことである。それまでのポンティアックは、ネイティブアメリカンの族長(チーフ)に肖ったそのブランド名にちなんで、チーフ~、~チーフといったモデル名が多かったが、このボンネビルという名は、最高速チャレンジの行われるボンネビル・ソルトフラッツから採ったものであった。

【画像19枚】細部にちょっと手を加えたボンネビル、そのディテールを見る!

それまでのポンティアックは、GMのラインナップの中でもシボレーよりやや上級で地味な性格を持ち味としていたが、こうしたネーミングの採用はスポーツあるいはモータースポーツ・イメージの強調が目的であり、以後、「グランプリ」「GTO」などといった、分かりやすい車名が登場することになる。それはともかく、1957年型のボンネビルは、ロチェスター製フューエル・インジェクションを装備したハイパフォーマンスモデルであり、2ドア・コンバーチブルのみに用意された。価格は他のポンティアックの2倍以上で、最廉価なキャデラックを上回るほどであったという。

続く1958年型では、ボンネビルはコンバーチブルだけでなく2ドア・ハードトップにも設定され、ラインナップ全体におけるフラッグシップモデルへと移行。このハードトップは低く短いルーフを持った専用のグリーンハウス形状が特徴で、同年型シボレー・インパラと丁度同じようなモデルとなっている。そして、続く1959年型では4ドアやワゴンも加わり、最上級モデルとしての地位を安定させた。

ポンティアック全体を見ると、1959年型がテールフィンをあしらった最後のモデルであり、そのマイナーチェンジ版である1960年型では、かなりフラットなスタイリングとなる。そして1961年型のポンティアックは、GMの他のブランド同様に完全なリスタイリングを実施しており、フレーム形状もX型からペリメーター型へと変更された。この新しいボディは、前年まで続いたラップアラウンド・タイプのフロントウィンドウを廃したのが特徴だが、ポンティアックならではのポイントとしては、前々年型で注目を浴びた二分割フロントグリルを再び採り入れた点が特筆される。

1961年型における最大のトピックは、ホイールベース112インチ(2845mm)のコンパクトカー、テンペストが新たに加わったことだが、フルサイズのシリーズ構成は前年と大きく変わらない。デザインは共通ながらホイールベースは2種類あり、ショート・バージョンの119インチ(3023mm)を採用するのは下級モデルのカタリナとそれより若干豪華なベンチューラ、ロング・バージョンの123インチ(3124mm)はスターチーフとボンネビル。スターチーフとボンネビルは、外観でも円形三連テールを装着していることで区別されている。

この年のボンネビルのボディ形式は、4ドア・ハードトップ(”ビスタ”)と2ドアのハードトップおよびコンバーチブル、そしてワゴン(”カスタム・サファリ・ワゴン”)の、合計4種類。装備面ではスターチーフのものを基準に、パッドタイプのダッシュボード(他のモデルではオプション)や後席中央のクッション、カーテシーランプなどを加えたかたちで、コンバーチブルでは本革張りを選ぶことも可能だった。

フルサイズ車のエンジンは全て389-cid(6.4L)のV8が標準となるが、搭載モデルによって出力が少々異なり、ボンネビルでは235hp仕様をスタンダードとし、ほかに230、303、318、333、348hpの5種類を設定。また、シーズン途中からはレース用ユニットとして、405hpを発揮する421-cid(6.9L)“スーパーデューティ”(4バレルキャブ2連装)が登場している。この年の421は未だファクトリーオプションではなく、またその目的から、短いボディを持つカタリナにその大部分が搭載された。

当時のキットのシャープさに敬意を表しつつさらに完成度を高める
1960年代におけるフルサイズ・ポンティアックの1/25スケール・プラモデルは、当時モノの所謂アニュアル・キットとして、1965年型までをAMTがリリースしていた。1961年型のキットとしても勿論AMT製のボンネビルが存在する。近年、新興メーカーのメビウスモデルから、同年型ベンチューラとカタリナが新たにキット化されているが、これはもちろん前述の421搭載のレース仕様へアレンジすることを主眼とした製品と言えるだろう。メビウス自身も、NASCAR仕様のカタリナをバリエーションとしてリリースしている。ここでご覧いただいているのはこのメビウスのキットではなく、AMTのボンネビルを完成させたものだ。

1961年型アニュアルキットで、AMTは初めてエンジンをパーツ化した。これに伴い、エンジンフードを別パーツにして完成後も内部が覗けるという、現在の標準的なパーツ構成がこの年確立された訳である。ただし、プロモーションモデルとのパーツ(金型)共用という縛りがあったのか、エンジンフードの先端がメッキモールになるというディテールまでは再現できず、フードを開いた瞬間に不自然な顔つきとなることがある。特にボンネビルでは、バンパーからグリルがワンピースなので、グリルとバンパーの間のボディパネルが省略されているのが気になる。そこで作例では、ここを実車通りに再現してみた。

まずパーツのメッキを剥がし、グリルとバンパーを切り離す。実車のパーツ分割に沿って切り離し、フロント部分とエンジンフード先端を作り直した。ボディ側にはグリル下にプラ板でパネルを新設。バンパーとヘッドランプ/メッシュ部分は再メッキを施し、その他は塗装後にアルミ箔を貼った。この加工のため、2個のグリル/バンパーが必要となった。

ボディはルーフがやや平らだがプロポーションは申し分ない。キャビン部分の金型の差し替えでコンバーチブルと作り分けることができる仕組みのため、Aピラーの窓枠がコンバーチブル仕様の太いモールドになっている。ここをハードトップの細いモールに修正、ピラー中央部にボディカラーが入るようにした。フロント窓枠も全体に細く、ルーフ面との段差もほぼ削り落としている。合わせてリアも同様に修正、リアバンパーもメッキを剥離し、ボディとフィッティングを調整してから再メッキ。テールランプベゼルはメッキの別パーツだが、周辺の隙間が見苦しい。ここもメッキを剥がしてボディに接着、隙間を埋めて塗装後にアルミ箔を貼って仕上げている。

作例制作=畔蒜幸雄/フォト=服部佳洋 modelcars vol.245より再構成のうえ転載

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