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これが伝説のハドソン、70年前のハンドリングマシーン!メビウスモデル製プラモ「1954年型ホーネット」【モデルカーズ】

独自のシャシー構造による低重心が強み

映画『カーズ』に登場することもあって、近年我が国での知名度も以前より増した感のあるハドソン。『カーズ』に登場するのは1951年型ホーネットをモデルにしたとおぼしきキャラクターだが、1951年型のボディは1948年型で登場したもので、1954年型まで使用された。

【画像25枚】最後のピュア・ハドソンとなる1954年型の詳細を見る!

ハドソンは、かつて米国に存在した、ビッグ3以外の独立系メーカーのひとつだ。1954年にはナッシュと合併しAMC(アメリカン・モータース)を形成、1955年型ハドソンはナッシュの兄弟車に切り替わってしまったため、今回採り上げる1954年型が、最後の純粋なハドソンとなる。ここに至ったハドソンの不振は、デザイン面での市場動向への対応が鈍かったことが原因と言われている。

1948年型で戦後型に切り替わったハドソン・コモドーレは、独自の車体構造である“ステップダウン・シャシー”(フロアパネルをフレームで上下から挟み込むレイアウト)を採用していたが、この構造は車体の重心を低くできるメリットがある反面、スキンチェンジが容易でなかった。1953年型で投入したコンパクトカー、ハドソン・ジェットの販売不振と開発コストも経営を圧迫したようだ。
1951年型でコモドーレのホットバージョンとして加わったのがホーネットであるが、コモドーレは1952年型を最後に消滅。ホーネットのショートホイールベース版(ホーネットの124インチ:3150mmに対して119インチ:3023mm)であるワスプ/スーパーワスプが1952年型から加わっており、これに前述のジェットを加えた3シリーズが、1954年型ハドソンの基本ラインナップであった。なお、ジェットのコンポーネンツを利用し、カロッツェリア・ツーリングがスペシャルボディを架装した“イタリア”というモデルも20数台生産されている。

前述の通りホーネットの車体構造はデザイン変更が難しかったものの、この1954年型では前年までのファストバック・スタイルをやめ、四角いトランクを具えたノッチバックへと改められたのが特徴だ。ボディ形式は4ドア・セダンのほか、2ドアのクラブセダンとクラブクーペ、2ドア・ハードトップ(“ハリウッド”の名称を持つ)、そして2ドア・コンバーチブル(“ブロアム”)があった。

エンジンは308-cid(5.1L)の直列6気筒Lヘッド(160hp)を搭載、170hp仕様もオプションで用意される。ステップダウン・シャシーがもたらす良好な走行性能は、1954年時点でも他社に対するアドバンテージとして変わりはなかった。ホーネットは1951年からストックカー・レースで目覚ましい活躍を見せており、1954年でもそれは同様である。

訳あるキットながら、ストックで制作!
1950年代前半は、アメリカの自動車にもプラモ化ラッシュは未だ押し寄せておらず、ハドソンも長いこと1/25スケール・キットは存在しない状態であった。21世紀となり、この状況を変化させたのが新興メーカーのメビウスモデルである。同社は1953年型を皮切りに1952、1954各年のホーネットを緻密な再現ぶりでキット化してきた。

今回取り上げる1954年型のキットは2017年頃にリリースされたものだが、メビウスモデルの同年型ホーネット自体はその2年前のホーネット・クラブクーペが最初のものである(No.1213)。次いでホーネット・スペシャルのクラブセダンがキットとなり(No.1214)、最後にこのスペシャルをベースとしたレース仕様も発売され(No.1219)、全部で3種類となった。

レース仕様とはストックカーレースの”ファビュラス・ハドソン・ホーネット”であるが、1954という地味な年式がキット化されたのは、これをこそ製品化したかったためであろう。このホーネットのドライバーこそ、メビウスモデル創業社長(当時)フランク・ウィンスパー氏の父、マッティ・ウィンスパー氏なのだ。非常に胸が熱くなるエピソードである。

しかし、ここでお目にかけているのは、このキットをストック(ノーマル)状態に組んだものだ。キット内容はレース仕様にしか組めないものではなく、ストックとしても充分制作可能。と言うより、レース仕様を正確に再現するには色々と手を加えないといけないだろう。以下、作者・周東氏による解説をお読みいただこう。

「キットにはホイールが3種類、タイヤが2種類入っているが、ストック用のタイヤにホワイトウォールのプリントはされていない。バンパーはパッケージイラストと違って、オーバーライダーが付くタイプである(作例の通り)。

キットのパーツは油っぽいので、事前に洗剤で洗っておくとよい。また、押しピン跡が多く残っているので、これも除去しておく。ボディは形も良く厚みもあり、しっかりしている。一部パーティングラインが目立つ箇所があるので、丁寧に表面を整えてあげたい。特にリアピラー付け根からフェンダーに至る所は若干の段差状となっているので注意。燃料給油口のフタが別パーツとなっており、隙間が目立つので、閉じて作る場合は対処が必要だ。作例ではプラ板で作り直している。

パネルラインは一部弱い所があるので、ラインを深くしてあげた方がいいだろう。右テールライト下にはヒケが見られるので、ここも修正が必要だ。バンパーなどの取り付けピンにはキツい所があるので、ボディ側の穴を若干大きくして調整しておく。フェンダースカートをカットする場合は、カッターで切断するのではなく、筋彫りの要領でカットした方がいいだろう。グリルにつくパーキングライトは取り付けピンが目立つので、ピンをカットして裏面をシルバーでペイントし、エポキシ等で接着する。

インテリアはディテールの表現も良く、なかなかの出来だ。シートはソファのような感じがよく表現されているが、このシートのままでレースに出ていたのだろうか? キットにはシートベルトのパーツも入っているが、説明書には取り付け指示がない。ダッシュボードの中央にパーティングラインがあり、一部モールドに重なるところがあるので慎重に修正する。エンジン、シャシーなどは問題なく組め、車高やトレッドもそのままでOKだ」

作例制作=周東光広/フォト=服部佳洋 modelcars vol.256より再構成のうえ転載

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