マツダ

【国内試乗】11年ぶりの復活を果たした新生ロータリーエンジン「マツダ・MX-30ロータリーEV」

マツダを象徴するロータリーエンジンが11年ぶりに帰ってきた。電動化時代の流れを受け、新たにPHEVとなった新生ロータリー搭載車を、公道にて試乗した第一印象をお届けしよう。

11年ぶりに帰ってきたマツダの“魂”

2020年秋に、まずはマイルドハイブリッドを先行発売したマツダMX‐30。翌年1月にはBEVを追加し、翌2022年にロータリーエンジン(以下RE)をその発電機として復活させるという話は、当時から明言されていた。そこから遅れること約1年以上。2023年初頭のブリュッセル・ショーでようやく『MX‐30ロータリーEV』がデビュー。日本国内でも9月14日に発売となった。2012年に生産終了したRX‐8の13B以来、実に11年ぶりのREの復活だ。

バッテリー容量は17.8kWhで、EVモードでの航続距離は107km(WLTC)。ロータリーエンジンでの発電を加えれば合計700km以上を走行可能で、ファーストカーとして十分実用に足りうる。

生産終了に伴いRE研究チームは解散したものの、補修部品の需要もありRE生産自体は続いていて、研究も継続された。その成果が生かされたのが新型RE、『8C』だ。具体的には、ローター幅と創成半径を13Bからそれぞれ80→76mm、105→120mmと変更。低燃費、低エミッション化のため燃料を直噴に変更した。またサイドハウジングをアルミ化して、15kg以上の軽量化を実現。RE作動室の気密を保持するアペックスシールは2→2.5mmと拡大し、ローターハウジング表面のメッキ変更で摩耗、摩擦低減を図っている。

充電は200Vの普通充電とCHAdeMOに対応。新型ロータリーエンジン「8C」のハウジングは以前の13B型より大型化されているが、素材にアルミを用いることで従来型より軽量化されている。

実際に乗ってみると、BEVよりも130kg増の物理的な重さを感じたのが第一印象。車輪を駆動こそしないが、アクセル開度と回転数がリンクしているREのサウンドが、時に遠くから聞こえてくるだけで嬉しくなってくる。街中では『とても静かなマツダ車』という印象で、REが必要以上に主張しないのは好感が持てた。

センターコンソール下とラゲッジルームには最大1500Wに対応したコンセント出力を備える。

各国のEV事情が異なりマルチソリューションが求められる中、選択肢のひとつとして用意された発電機としてのRE。コンパクトさなどレシプロエンジンに対して優位な点もある。そしてマツダの歴史を振り返ると、その魂とも言えるREがフロントフード内に収まっているだけで、このクルマを選ぶ理由となりそうだ。

タイヤサイズ前後215/55R18だ。

【Specification】マツダ・MX-30 ロータリーEV
■車両本体価格(税込)=4,235,000円
■全長×全幅×全高=4395×1795×1595mm
■ホイールベース=2655mm
■トレッド=前:1565、後:1565mm
■車両重量=1780mm
■エンジン型式/種類=8C-PH/水冷1ローター
■総排気量=830cc
■最高出力=72ps(53)/4500rpm
■最大トルク=112Nm(11.4kg-m)/4500rpm
■モーター形式/種類=MV/交流同期電動機
■モーター最高出力=125ps(170kW)/9000rpm
■モーター最大トルク=260Nm(26.5kg-m)/0-4481rpm
■燃料タンク容量=50L(レギュラー)
■燃費(JC08)=15.4km/L
■サスペンション形式=前:マクファーソンストラット/コイル、後:トーションビーム/コイル
■ブレーキ=前:Vディスク、後:ディスク
■タイヤ(ホイール)=前後:215/55R18

問い合わせ先=マツダ TEL0120-386-919

リポート=平井大介 フォト=篠原晃一 ル・ボラン2024年2月号より転載

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