コラム

交通事故&交通違反が増加中! 電動キックボードはどうすれば安全に乗ることができるのか?

電動キックボードに関する法改正の施行から半年以上が経過し、電動キックボードの交通違反や交通事故の実態が少しずつ明らかになってきました。今回は、電動キックボードの法改正以降に検挙された交通違反や交通事故を分析し、どのようにすれば他の交通に迷惑をかけずに安全に乗ることができるのか解説します。

毎月平均1500件以上の交通違反と15件以上の交通事故が発生している電動キックボード

警察庁が公表しているデータによると、電動キックボードに関する改正道路交通法が施行された2023年(令和5年)7月から2024年(令和6年)1月までに発生した交通違反件数と交通事故件数は次のとおりとなっています。

【交通違反件数】
2023年(令和5年)7月:405件
2023年(令和5年)8月:689件
2023年(令和5年)9月:923件
2023年(令和5年)10月:1,384件
2023年(令和5年)11月:1,850件
2023年(令和5年)12月:1,879件
2024年(令和6年)1月:1,918件

【交通違反の内訳】
通行区分違反:49%(4,444件)
信号無視:37%(3,301件)
一時不停止:6%(565件)
歩行者妨害:2%(216件)
その他:6%(522件)

【交通事故件数】
2023年(令和5年)7月:8件
2023年(令和5年)8月:11件
2023年(令和5年)9月:22件
2023年(令和5年)10月:19件
2023年(令和5年)11月:11件
2023年(令和5年)12月:14件
2024年(令和6年)1月:16件

【交通事故(相手当事者)の内訳】
単独事故:41件
四輪車:30件
歩行者:19件
自転車:10件
二輪車:0件

電動キックボードの交通違反件数や交通事故件数からわかること

警察庁が公表している電動キックボード関連の交通違反や交通事故からわかることは次のとおりです。

・運転者が法令遵守していない(通行区分違反や信号無視が多い)
・車両の特性や取り扱い方を理解した運転をしていない(単独事故や四輪車との事故が多い)
など

電動キックボードの運転者は、交通ルールに関する知識が不足していたり、車両の特性を理解していなかったりする傾向があるといえるでしょう。交通違反や交通事故、他の交通に迷惑をかけたり妨げたりする電動キックボードの運転者を減らすためには、基本的なルールの周知徹底と車両の特性を理解した運転をすることが重要だと言えます。

電動キックボードに関する基本ルール

電動キックボードの交通違反や交通事故の統計データから、電動キックボードを運転する際に覚えておきたい基本的な交通ルールや車両特性をピックアップして紹介します。電動キックボードを運転するときの参考にしてみてください。なお、ここでは基本的なルールを簡潔に解説しているため、詳しくは警察庁や各都道府県警察のホームページなどをご覧ください。

電動キックボードが通行すべき場所とは

まず、電動キックボードが通行すべき場所、つまり道路のどこを走行すればよいのか解説します。

・原則:車道または自転車専用通行帯
・例外:特例特定小型原動機付自転車は歩道を走行することができる(歩行者用路側帯を除く)

通行位置

次に電動キックボードの通行位置についてです。

・原則:道路の左端に寄って通行する
※道路の右側や中央寄りの通行帯を走行することはできません
・例外(特例特定小型原動機付自転車):歩道の中央より車道側または普通自転車通行指定部分

従うべき信号

電動キックボードを運転する際に従うべき信号は次のとおりです。

・原則:車道の信号機。ただし、歩行者用信号機に「歩行者・自転車専用」の標示がある場合は歩行者用信号機に従う
・例外(特例特定小型原動機付自転車):横断歩道を進行して道路を横断する場合は歩行者用信号機に従う

電動キックボードや二輪車の車両特性

電動キックボード、原動機付自転車(原付)、自転車、バイクなどの二輪車はバランスを取りながら乗る乗り物です。そのため、横風の影響を受けたり、クルマに追い越されるときの風圧によってバランスを崩したりすることがあります。

また、二輪車はクルマの死角に入りやすく、クルマの内側に巻き込まれる事故(いわゆる巻き込み事故)に遭いやすいのも二輪車の特性です。電動キックボードを運転するときは、クルマの死角に入らない走行位置がどこなのか把握しておきましょう。

参考映像:警察庁「巻き込み事故(動画)」

さらに、見通しが悪い交差点、建物や駐車車両の影など、周囲の安全が確認できない場所では、出会い頭の事故が発生する可能性が高いです。先の状況を把握しにくい場所や交差している道路の状況が見えない場所などを通行するときは、速度を落としたり電動キックボードから降りて車両を引いて状況確認したりしましょう。

自分の身を守るためにも違反・事故の統計から学び実践することが大切

電動キックボードに関する法改正の施行から半年以上が経過し、交通違反や交通事故の傾向が少しずつ明らかになってきました。自分の身を守るためにも、交通違反や交通事故の統計で明らかとなった特徴や傾向を理解し、必要な知識と車両特性を学び、運転するときに実践することが重要です。また、自己防衛運転をするとともに、他の交通に迷惑をかけたり妨害したりしないよう、周囲の安全確認をしっかりすることも安全で快適な交通社会を実現するために大切なことだといえるでしょう。

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