国内試乗

20psをプラスされて歴代最強へ進化した「フォルクスワーゲン・ゴルフGTI」

ゴルフGTI といえば、並みいる大排気量車を相手にひけを取らない走りでホットハッチというジャンルを作った特別な存在。ゴルフが新しくなるたびに注目を集める1 台であり、マイナーチェンジを受けて登場した新型GTI も期待を裏切らない走りをみせてくれた。

走りの洗練度は過去最高レベルに

初代デビューから50周年を迎えた2024年に「8.5」へと進化したフォルクスワーゲン・ゴルフ。そのスポーティバージョンであるGTIは、果たしてどんな進化を遂げたのか。今回はファーストインプレッションをお届けする。

新型ゴルフGTIは、専用デザインの前後バンパーやブラックルーフ、ルーフエンドスポイラー、左右2本出しのクロームツインエキゾーストパイプ、専用LEDフォグランプなどを装着。標準で18インチアルミホイールやとレッド塗装のブレーキキャリパーも付く。オプションではダイナミックターンインジケーター付きのLEDテールランプや19インチアルミホイールも選択可能だ。

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インテリアにも、伝統のタータンチェック柄の専用ファブリックシートや、レッドのステッチ入り専用レザーステアリング、センターに回転計が表示できる専用メーターディスプレイのデジタル・コクピット・プロなどを装備。12.9インチの大型タッチスクリーンを備えた、最新のMIB4搭載インフォテインメントシステムである“Discover”、総出力480W、12チャンネル9スピーカーのハーマン・カードン製プレミアムサウンドシステムなどもオプションで用意されている。

各種機能をコントロールする12.9インチのセンターディスプレイは、GTIでも使い勝手抜群。ステアリングホイールの赤いステッチやGTIエンブレム、赤い加飾パーツなど、控えめながら運転時に目に入るところの特別感が嬉しい。

搭載エンジンは、265psの最高出力と370Nmの最大トルクを発揮する専用チューンの2L直4ターボ、2.0TSIを搭載。このエンジンは従来モデルと同じくEA888型だが、最大トルクを発生する回転域が従来より200rpm高回転側に拡大したことで、20psのパワーアップを果たしている。組み合わされるトランスミッションは7速DSGが標準で、新型ゴルフGTIは、ヨーロッパ仕様にもMTの設定はない。

マイナーチェンジ前の仕様から20psのパワーアップを実現し、GTIグレードでは歴代最強の265psを叩きだす2ℓ直4ターボエンジン。元祖ホットハッチの名に恥じない動的性能を味わえる。

シャシー面は、プログレッシブステアリングやGTI専用スポーツサスペンション、電子制御油圧式フロントディファレンシャルロックを搭載。アダプティブシャシーコントロールの“DCC”はオプションとなっている。ちなみに標準搭載となるRアドバンスを除き、DCCはGTIのみオプションで装着可能となっている。

今回は東京ベイエリアの一般道を中心に試乗したのだが、走り出して最初に感じたのは上質感だ。ステアリングやシートから伝わってくる感触が、従来モデルよりワンランク洗練されているのだ。

その感覚は車速を上げても、コーナーを通過しても、ブレーキを踏んでも変わらない。もちろん0→100km/h加速は5.9秒と、従来モデルから0.3秒短縮されているので、動力性能は申し分ない。ステアリングの正確性やアジリティもスポーティバージョンとして文句ない出来栄えである。

だが、その余裕あふれる動力性能と上質な乗り心地、優れた静粛性などが、スポーティなキャラクターよりも上質感を際立たせているのだ。車両価格が税込みで約550万円もするのだから、当然と言えばそうなのだが、新型GTIは素晴らしく動的質感の高いクルマに仕上がっている。

専用のエクステリアとスポーツサスペンションを装備し、歴代最強のエンジンを得た新型GTI。ゴルフRの存在でGTIがゴルフ最速とはいいづらくなったが、4WDのRグレードとは異なるFFホットハッチとしての走りを極めたモデルには間違いない。

加減速やステアリング操作に対するクルマの動きには、全くといっていいほど隙がなく、シャシーとパワートレインのバランスも見事。19インチの大径タイヤもしっかり履きこなしている。

新型は性能的に、もはや一般道で楽しめるレベルを超えているたため、できればサーキット、せめてヨーロッパのワインディングロードでなければ、そのスポーティネスを堪能できないだろう。そういう意味では新型は、歴代GTIとは異なる領域に入ったといえる。

試乗車はオプション設定の19インチホイールを装着していた。ゴルフ5時代のGTI用ホイールデザインを復刻したとのこと。

新型は、まさに「GTI(グラン・ツーリスモ・インジェクション)」の名に相応しい、「GT」へ、大きく近づいたのかもしれない。それほどの完成度の高さなのだ。

【SPECIFICATION】フォルクスワーゲン・ゴルフGTI
■車両本体価格=5,498,000円
■全長×全幅×全高=4295×1790×1465mm
■ホイールベース=2620mm
■トレッド=前:1535、後:1515mm
■車両重量=1430kg
■エンジン形式/種類=DNP/直4DOHC16V+ターボ
■総排気量=1984cc
■最高出力=265ps(1195kW)/5250-6500rpm
■最大トルク=370Nm(37.7kg-m)/1600-4500rpm
■燃料タンク容量=51L(プレミアム)
■トランスミッション形式=7速DSG
■サスペンション形式=前:ストラット/コイル、後:4リンク/コイル
■ブレーキ=前:Vディスク、後:Vディスク
■タイヤ(ホイール)=前後235/35R19
問い合わせ先=フォルクスワーゲンジャパン TEL0120-993-199

フォト=郡 大二郎
竹花寿実

AUTHOR

1973年生まれ、自動車専門誌&自動車情報Webサイトの制作を経て、2010年に渡独。フランクフルトをベースに在独モータージャーナリストとして活動し、ドイツ車を中心に、ヨーロッパの自動車産業や交通社会、先進技術、モータースポーツなどを取材し、日本やドイツ語圏、中国などのメディアに寄稿する。2018年の帰国後は、ドイツでの経験に基づいたプロダクト評価のほか、ドイツの自動車メーカーの最新動向や、交通政策、道路環境、運転マナー、自動車文化などについて、雑誌やWEB媒体で発信している。

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