
2024年10月末に発表された新型アウトランダーPHEVの評価がすこぶる高い。現行型のデビューから約3年というショートスパンでの改良版だが、実際に走らせてみると、その進化の幅はマイナーチェンジの域にとどまらないことが実感させられる。大幅に磨き上げられたパフォーマンスの真実を、モータージャーナリストの島下泰久が走行シーン別にコメント動画を交えて解き明かす。全3編のうち最終回は「ワインディングロード編」をお届けする。
まるでひと筆書きのようなコーナリング
これまで体感してきた気持ちのいい走りから想像できた通り、ワインディングロードでの新型アウトランダーPHEVは、胸躍る走りで楽しませてくれた。この走りを味わったら、きっと多くの人が「SUVがこれだけ走るのか」と目を瞠るに違いない。
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まず頬を緩ませるのが、そのパワーとトルク。急な上りでもグイグイと駆け上がっていく力強さは、約2割の出力向上の恩恵だろう。しかもその加速感はスムーズで、途切れ知らず。アクセルを戻しても、再度踏み直してもレスポンスは俊敏で、まさに電気モーター駆動の威力を実感できる。
コーナリングではS-AWCが効果を発揮する。コーナー進入時には軽やかに向きが変わり、旋回中には余計な姿勢変化を誘発しないよう安定した駆動力を発生。そしてコーナー出口でアクセルを踏み込むと、リアモーターが主体となってクルマを前に押し出し、ニュートラルな姿勢で立ち上がっていくことができる。
新型では、そうした一連の挙動のつながりがさらに滑らかになって、まるでひと筆書きのようなコーナリングを楽しませてくれるようになった。コーナーを抜けたそばから、次のコーナーが楽しみになる。SUVなのに、そんな風に走る気持ちを喚起するのである。
しかも、S-AWCのドライブモードは実に7パターンも用意されていて、ターマックからグラベル、スノー、マッド等々と、走るステージに応じて最適な制御を選択することができる。三菱自動車の4WDに対する知見がここには大いに活かされているのだ。

フロントのアッパーグリルや前後スキッドプレートのデザインを変更。リアコンビネーションランプもスモーク化することでより表情を精悍に。取材車のボディカラーは新色のムーンストーングレーメタリック。
世界観が明快で一貫したストーリーがある
市街地、高速道路、そしてワインディングロードという3つのステージで、三菱アウトランダーPHEVの走りを味わった。振り返って思うのは、その姿を眺め、クルマに乗り込み、走り出してというすべての瞬間に、一貫したストーリーがあるクルマだということだ。目指す世界観が明快で、デザインも作り込みもオーディオも走りも、すべてのトーンがそれに向けて整っている。そんな言い方でもいいかもしれない。
それは好評にあぐらをかくことなく、ユーザーと真摯に向き合いクルマを磨き上げてきた果実と言えるだろう。単に技術を進化させるのではなく、それをどんな風にユーザーの歓びへと結びつけるかを常に念頭に置く。新しい三菱アウトランダーPHEVで過ごす時間の上質さは、そんなクルマづくりの賜物というわけだ。
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【Specification】三菱アウトランダーP Executive Package
■車両本体価格(税込)=6,685,800円
■全長×全幅×全高=4720×1860×1750mm
■ホイールベース=2705mm
■トレッド=前:1590㎜、後:1595mm
■車両重量=2180kg
■エンジン型式/種類=4B12(MIVEC)/直4DOHC16V
■内径×行程=88.0×97.0mm
■総排気量=2359cc
■最高出力=133ps(98kW)/5000rpm
■最大トルク=195Nm(19.9kg-m)/4300rpm
■モーター形式/種類=前:S91/交流同期電動機、後:YA1/交流同期電動機
■モーター最高出力=前:85ps、後:100ps
■モーター最大トルク=前:255ps、後:195ps
■バッテリー種類=リチウムイオン電池
■燃料タンク容量=53L(レギュラー)
■燃費(WLTC)=17.2km/L
■サスペンション形式=前:マクファーソンストラット/コイル、後:マルチリンク/コイル
■ブレーキ=前後:Vディスク
■タイヤ(ホイール)=前後:255/45R20
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