試乗記

新世代ロータス初の電動SUV「エレトレ」登場!

ロータス初のピュアエレクトリックSUV であるエレトレ。約75 年間にわたるスポーツカーの設計ノウハウ、エンジニアリングのコア技術、ロータスのDNAを採用し、史上もっとも先進的というハイパーSUV の実力はいかに!?

プレミアムBEV専売ブランドに方向転換

イギリスの名門スポーツカーブランドであるロータスは2017年に中国ジーリーの傘下となった。それまではエリーゼやエキシージなどプリミティブなスポーツカーを販売してきたが、一気に方針転換してプレミアムBEV専売ブランドを目指すことになり、その第一弾商品がエレトレだ。

試乗車はエレトレRで、最大出力918㎰を発生する2つの電気モーターは、4輪に高トルクのパワーを供給しあらゆる状況下で圧倒的な加速とコントロールを実現。最大航続距離は410-450㎞。

全長5103×全幅2019×全高1636㎜の大型SUVで今回の試乗車であるエレトレRは最高出力918㎰、最大トルク985Nm、0→100㎞/h加速2.95秒と驚異のパフォーマンスの持ち主。車両価格2324万3000円というのも旧来のロータスのイメージからするといきなり飛躍したように思える。とはいえ静的質感を見るだけでも、その価格が納得いくものだとわかる。ジャーマンスリー、あるいはもっとハイブランドのモデルと並べてもひけをとらない。デュアルチャンバーのエアサスペンション+電子制御ダンピングシステム、アクティブアンチコントロール、アクティブリアホイールステアリングなどシャシーには最新テクノロジーが目白おし。空力へのこだわりも半端ではなく、ボディ各部にエアインテークとエアアウトレットが設けられているほか、リアウイングは可変式となっている。

完全な自律走行に対応した装備としてLiDARや超HDカメラを搭載。前方に面した望遠カメラはエレトレの前方500mを見ることが可能。さらに広角レンズ、4つのサイドカメラ、リアセンサーにより360°をフルカバーする。

コクピットに収まると、眼前には横に細長いディスプレイがあり、必要最小限の情報が表示されるほか、センターのディスプレイにはセンサーの外部認識情報などが表示される。なんだかテスラに似ているが、もっと表現が豊かに感じられ、後発だけに徹底的にすべてで最高の性能を目指したことがわかる。高価なLiDARを4つ搭載して自動運転レベル3以上への備えが十分なのも意気込みの表れだ。現在のところはACC使用時の白線認識等に使用している。

フロント225kW、リア450kW、計675kW(918㎰)のモーターはパワフルなだけではなくスムーズさも見物だ。アクセルを強めに踏み込んでもジワッとトルクが立ち上がった後に力強さが増していくのでハイパフォーマンスBEV特有の気持ち悪さがなくて上品。アクセルオフの回生も同様でパドルで4段階調整できる強度を最大にしてもスムーズだ。

これまでのロータス車とはまったく異なるインテリジェントな「デジタルコクピット」を採用し、インフォテイメントシステムは最新の「ロータス・ハイパーOS」を搭載。標準の5座席仕様でもオプションの4座席レイアウトも選択可能だ。

ポルシェ・タイカンと同じく2速ギアを採用しているため、フル加速では120〜130㎞/hあたりでシフトアップして、モーターの図太いトルクの気持ち良さを2回味わえることになる。日本の公道では試せないのが残念だ。加速そのものも伸びやかさを狙ったもので、良く出来たエンジン車のようなフィーリングになっている。

背が高く、重量もあるSUVだが、サスペンションが突っ張ることがなく、豊かなストローク感があることにロータスらしさを感じた。エリーゼやエキシージもスポーツカーながらサスペンションはソフトタッチでしなやかに路面を捉えていくのが特徴だったが、エレトレにもその雰囲気があるのだ。

それでいてハイテクによってロールやピッチングは見事に制御されているからワインディングロードでは限界がどこにあるのかわからないくらいに、高いシャシー性能をみせる。SUVのスポーツカーとして文句のない仕上がりなのだ。

空力性能を高めるために各所にエアインテークとエアインレットが設けられる。さらにアクティブリアスポイラーも装着され、エアロダイナミクスに貢献。

乗り心地も23インチタイヤを履いているのが信じられないくらいに快適で静粛性もハイレベル。唯一気になるのは荒れた路面でサスペンションのゴトゴトッという作動音が聞こえてくることだが、後発のセダンタイプであるエメヤはそんなことはなかったので、早くも進化したか個体差かもしれない。
いずれにせよ、あのロータスがいきなりハイエンドなモデルを完成度高く仕上げてきたことは驚きだ。
ボルボの例から見ても、ジーリーは“金は出すが口は出さない”という理想的なパートナーなのだろう。

【SPECIFICATION】ロータス・エレトレR
■バッテリー電圧=800V

■全長×全幅×全高=5103×2019×1636mm
■ホイールベース=3019mm
■車両重量=2640kg
■モーター形式/種類=-/交流同期電動機
■モーター最高出力=918ps(675kW)
■モーター最大トルク=985Nm(100.4kg-m)
■バッテリー種類=リチウムイオン電池
■バッテリー容量=112kWh
■一充電航続可能距離(WLTP)=410-450km
■サスペンション形式=前後:マルチリンク/エア
■ブレーキ=前後:ディスク
■タイヤ(ホイール)=前:275/40R22、後:315/35R22
問い合わせ先=ロータス https://lotuscars.com/ja-jp

フォト=郡大二郎 ルボラン2025年4月号より転載
石井 昌道

AUTHOR

自動車専門誌の編集部員を経てモータージャーナリストへ。国産車、輸入車、それぞれをメインとする雑誌の編集に携わってきたため知識は幅広く、現在もジャンルを問わない執筆活動を展開。また、レース等への参戦も豊富。ドライビング・テクニックとともに、クルマの楽しさを学んできた。自動運転や電動化への造詣も深い。

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