
バギーのカタチになってきた!
「【デューンバギー恍惚日記】第3回」に続き、「メイヤーズ・マンクス」のレストア作業についてお伝えしていこう。前回までの作業でシャシー、足廻り、ボディ塗装の作業がおおむね完了、今回はタイヤ/ホイール、エンジン、その他のディテールに関する作業の記憶を辿る。
【画像16枚】細部パーツが装着されていく「デューンバギー」レストア作業の様子を見る!
ホイールの話
神奈川県大和市の「K’s Collection(ケーズコレクション/以下「ケーズ」と略)」での「メイヤーズ・マンクス」デューンバギーのレストア作業。このプロジェクトでは、当初から自分は「ストリート(公道走行)」寄りのスポーツカー的なスタイルを志向していた。
今ならもう少しオフロード寄りに振ったかもしれないが、当時は自分のクルマ趣味の総決算として意気込んでいたこともあり、それまでに様々なクルマに抱いていた憧憬の要素を、このバギー1台に可能な限り集約したかった。そのコンセプトを最も象徴するのが「アメリカン・レーシング」製「トルクスラストD」ホイールを履くということ。
自分は1960年代のスロット・レーシングに郷愁と憧れがあり、その代表的車種である「ビル・トーマス・チータ(Bill Thomas’ Cheetah)」の実車がトルクスラストのマグホイールを履いていたことから、それを真似したかったのだ。幸いトルクスラスト・ホイールは現在も入手可能であり、もちろんマグではなくアルミだが、クロームのリム部分はポリッシュ仕上げを奢って良い雰囲気となった。
タイヤの話
上述のトルクスラスト・ホイールは、1960年代後半〜’70年代初頭の「アメリカン・マッスルカー」の隆盛とも関わりが深いことから、タイヤのチョイスにおいては、一時期真剣に憧れていたプリムスやダッジなどのモパー系マッスルカーと切り離せないアイコン、「グッドイヤー・ポリグラスGT」をリアに履こうと決めていた。
もっともポリグラスGTはとっくに廃番であり、ショーカー用として当時ものが高値で取引されていたりもしたが、自分は実際の走行に使用するので、オリジナルではなく、こうした古いタイヤの復刻版を製造・販売しているアメリカのメーカーであるKelsey社製のものを入手。
こうしてリアはホイール7J/タイヤ「F70-15」、フロントはこれとバランスを合わせてホイール4.5J/タイヤはFirestone復刻型「5.60-15」というサイズの足廻りが組み上がった。
無論、タイヤは前後ともにラジアルではなくバイアス(クロスプライ)である。車体に仮合わせしてみたところ、イメージ通り「ストリート・バギー」のアピアランスに近づいているようでとても嬉しかった。
エンジンとエグゾースト・システム
当初このマンクスを輸入することになった折、1300ccと聞かされていたのだが、日本についてから1600ccかも知れないという話になり、本格的にオーバーホールを始めてみたら、なんと1800cc! 腰下まで作業が進んだ段階で、ちょっと使用に耐えないという事態となり、代替として1970年代後半のインジェクション時代のAJ型ブロックを使った1600ccエンジンに積み換えることになった。
キャブレターはソレックス34 PICTのシングル、コイルはボッシュのブルーコイル。ファン・シュラウドは黒に塗装。マフラーはクルマとしてのまとまりを考慮して、マンクス純正の「サイドワインダー」タイプを装着した。
ライト・ステアリング・シフターなど
ヘッドライトは当初から着いていたシルバニア製ハロゲンをクリーンナップ。直径もちょうど良い感じだ。しかし実はカットが逆なのでショーでしか使えない。車検時までにはコイト製を準備予定。フロント・サイドウインカーはフェンダー上に設置する形式のビートル用を流用、テールライト・ハウジングはブルーに塗装されていたので、剥離してメッキ処理。
アルミ製ウィンド・シールドは当初から着いていたものをクリーンナップ、ワイパーは6V時代のタイプ2用の復刻パーツを使用。ステアリングは1960年代のドラッグレーシング・シーンで人気を呼んだスーペリア製、シフターはレバーもノブもハースト製である(ノブは当時もの)。シートは前席がFRP製バケット+ビニールカバー、後席はスポンジとビニールレザーで仕立ててもらった(4人乗り登録のため)。
こうして2017年10月頃には少しずつペースを上げて完成が見えてきた。目標は2017年12月初旬のムーンアイズのショー出展であった。次回もお楽しみに!
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