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【デザインの秘密】新型フィアット「グランデパンダ」は、なぜ世界を魅了するのか? 鍵は初代への“深すぎるリスペクト”

80年代の魂を現代に。トリノのチェントロ・スティーレが目指したこと

フィアットの新型コンパクトカー「グランデパンダ」が、そのデザインで世界的な評価を獲得している。権威あるデザイン賞である「レッド・ドット・アワード2025(Red Dot Award 2025)」のプロダクトデザイン部門を受賞したというニュースは、このクルマが単なる移動手段ではなく、デザインという付加価値を強く意識したモデルであることの証左といえる。なぜグランデパンダのデザインは高く評価されているのだろうか。

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デザインの原点は初代「パンダ」へのリスペクト

新型グランデパンダのデザインを理解する上で最も重要な鍵は、そのコンセプトがフィアットの豊かな歴史、特に1980年代に一世を風靡した初代「パンダ」への深いリスペクトに基づいていることだ。トリノのデザインセンター「チェントロ・スティーレ」で生み出されたこのクルマは、過去のアイコンを現代的な解釈で再構築し、未来へとつなぐ架け橋となることを目指している。そのアプローチは、単なるノスタルジーに浸るのではなく、初代パンダが持っていた「シンプルさ」「機能性」「驚き」といった本質的な価値を抽出し、現代の技術と美意識をもって昇華させることにあるという。

具体的にデザインを見ていくと、その独創性は細部にまで宿っていることがわかる。まず目を引くのは、その力強くも親しみやすい全体的なフォルムである。全長3.99mというコンパクトなBセグメントのサイズでありながら、明確なウェッジシェイプと大胆な面構成、そして力強く張り出したホイールアーチが、構造的な堅牢さと安心感を視覚的に表現している。これは、都市の喧騒から家族を守るシェルターとしての役割を担うファミリーカーとしての性格を巧みに表現したものだ。

レトロフューチャーな表情と、誇りを込めたサイドビュー

フロントフェイスは、グランデパンダのデザイン言語を最も象徴する部分だろう。ヘッドライトに組み込まれたピクセル状の「PXL LEDライト」は、初代パンダが生きた1980年代のビデオゲームカルチャーや、フィアットの歴史的建造物であるリンゴット工場の窓の形状からインスピレーションを得ている。このレトロフューチャーなモチーフは、グリル上部からヘッドライトへと一体的に広がり、一度見たら忘れられないほどの強い個性を放っている。単に明るさを確保するという機能を超え、クルマに表情と物語を与えているのだ。

サイドビューに目を移すと、ドアに大胆に刻印された立体的な「PANDA」の文字が目に飛び込んでくる。これは初代パンダへの直接的なオマージュであり、自らのルーツに対する誇りを隠すことなく宣言している。さらにCピラーには、見る角度によってフィアットのモダンなロゴと4本のスラッシュが現れるレンチキュラープリントが施されており、遊び心あふれるディテールが所有する喜びを増幅させる。これらの要素は、イタリアンデザインならではの「楽しさは機能につながる」という哲学、すなわち、人々を笑顔にし、ポジティブな感情を呼び起こすこと自体が重要な機能であるという考え方を体現している。

リサイクル素材を積極採用。レッド・ドット・アワードが評価した先進性

インテリアに目を向けても、そのデザイン哲学は一貫している。最大5人が乗れる広々とした空間と、ダッシュボードだけで13Lという豊富な収納スペースは、ファミリーカーとしての実用性を十分に満たしている。その上で、ダッシュボードやシートのステッチなど随所に配されたイエローのアクセントが、車内に明るく楽しい雰囲気をもたらしている。メータークラスターやインフォテインメントシステムのスクリーンは、リンゴット工場のテストコースの形状を模しており、エクステリアとのデザイン的な連続性を持たせている。

そして、レッド・ドット・アワードの審査員が特に高く評価した点として、サステナビリティへの配慮が挙げられる。インテリアには、リサイクルされた飲料容器由来の素材や、竹を原料とした素材が積極的に採用されている。これは、優れたデザインが社会的責任と両立しうることを示す先進的な取り組みであり、現代のクルマに求められる価値観を的確に捉えている。

* * *

フィアット新型グランデパンダのデザインが高い評価を受けている理由は、過去の偉大な遺産を尊重しながらも、それに囚われることなく、現代的な技術とイタリアならではの遊び心、そして未来を見据えたサステナビリティという価値を大胆に融合させたからに他ならない。そのデザインは、構造的な力強さと独創的なキャラクターを見事に両立させ、機能性と感情的な喜びを結びつけている。一つ一つのディテールに物語が込められており、クルマとの対話を促すような深みを持っているのだ。

この魅力的なコンパクトカーは、日本市場にも2026年初春に導入が予定されているとのことであり、日本の街並みでこの独創的なデザインに出会える日が今から楽しみである。

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※この記事は、一部でAI(人工知能)を資料の翻訳・整理、および作文の補助として活用し、当編集部が独自の視点と経験に基づき加筆・修正したものです。最終的な編集責任は当編集部にあります。
LE VOLANT web編集部

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