国内試乗

初代“R”の咆哮。20年の時を超え、今こそ乗りたいフォルクスワーゲン「ゴルフR32」試乗記

2003年型フォルクスワーゲン・ゴルフR32:大幅なカスタムを受けた車両が多い中、この個体の純正との違いといえば、前後ランプが北米仕様に変更、リアホイールにスペーサーが追加、そしてフロントにリップが追加されている程度。
2003年型フォルクスワーゲン・ゴルフR32:ゴルフGTIを上回るハイパフォーマンス・モデルとしてドイツ本国で2002年に登場したゴルフ4のR32(アール・サーティツー)は、日本では2003年に900台限定で販売された。
2003年型フォルクスワーゲン・ゴルフR32:大幅なカスタムを受けた車両が多い中、この個体の純正との違いといえば、前後ランプが北米仕様に変更、リアホイールにスペーサーが追加、そしてフロントにリップが追加されている程度。
2003年型フォルクスワーゲン・ゴルフR32:日本では2003年に900台限定で販売された。2ドア・左ハンドル仕様が500台、4ドア・右ハンドル仕様が400台という内訳で、取材車両は前者だ。
2003年型フォルクスワーゲン・ゴルフR32:R32専用に用意されたOZ製アルミホイールに装着しているのはトーヨータイヤの最新プレミアムスポーツモデル、プロクセス・スポーツ2で、サイズは純正と同じ225/40R18。
2003年型フォルクスワーゲン・ゴルフR32:大型エアロバンパーとサイドスカート、リアスポイラー、そして2本出しマフラーも目を引くポイントだ。
2003年型フォルクスワーゲン・ゴルフR32:搭載するエンジンは3.2LのV型6気筒SOHC 24バルブのNAで、最高出力241ps、最大トルク320Nmというスペック。後継のゴルフ5 R32でも3.2L V6は踏襲されつつ、DOHCとなっている。
2003年型フォルクスワーゲン・ゴルフR32:内装でも「R32」ロゴ入りのケーニッヒ製シートや専用形状のレザーステアリングホイール、シフトノブやアルミペダルなど、多くの専用装備が奢られている。
2003年型フォルクスワーゲン・ゴルフR32:内装でも「R32」ロゴ入りのケーニッヒ製シートや専用形状のレザーステアリングホイール、シフトノブやアルミペダルなど、多くの専用装備が奢られている。
2003年型フォルクスワーゲン・ゴルフR32:内装でも「R32」ロゴ入りのケーニッヒ製シートや専用形状のレザーステアリングホイール、シフトノブやアルミペダルなど、多くの専用装備が奢られている。
2003年型フォルクスワーゲン・ゴルフR32:内装でも「R32」ロゴ入りのケーニッヒ製シートや専用形状のレザーステアリングホイール、シフトノブやアルミペダルなど、多くの専用装備が奢られている。
2003年型フォルクスワーゲン・ゴルフR32:内装でも「R32」ロゴ入りのケーニッヒ製シートや専用形状のレザーステアリングホイール、シフトノブやアルミペダルなど、多くの専用装備が奢られている。
2003年型フォルクスワーゲン・ゴルフR32:内装でも「R32」ロゴ入りのケーニッヒ製シートや専用形状のレザーステアリングホイール、シフトノブやアルミペダルなど、多くの専用装備が奢られている。
2003年型フォルクスワーゲン・ゴルフR32:内装でも「R32」ロゴ入りのケーニッヒ製シートや専用形状のレザーステアリングホイール、シフトノブやアルミペダルなど、多くの専用装備が奢られている。
2003年型フォルクスワーゲン・ゴルフR32:大幅なカスタムを受けた車両が多い中、この個体の純正との違いといえば、前後ランプが北米仕様に変更、リアホイールにスペーサーが追加、そしてフロントにリップが追加されている程度。

今なお古びぬ動的質感の高さ! “最強”ホットハッチ「R」の原点を味わう

フォルクスワーゲン・ゴルフの一族の中で“最強”に位置づけられる「ゴルフR」は、最新モデルではついに最高出力333psものパワーを御するに至っている。その開祖であるゴルフ4の「R32」の走りを、今あらためて味わってみた。

【画像14枚】専用ケーニッヒ製シートにVR6エンジン。今なお特別な「ゴルフR32」の内外装を見る

VR6エンジンと4MOTIONで武装した最強のゴルフ4

半世紀を超える歴史を持つフォルクスワーゲン・ゴルフ。現在まで8世代を数えるが、中でもドイツやヨーロッパのファンの間で“歴代最高”と言われているのが、1997~2003年(ヴァリアントは1999~2006年)に生産されたゴルフ4だ。その4代目ゴルフに、GTIを超えるハイパフォマンス・バージョンとして2002年に登場したのが、ここで紹介するR32である。

2001年に登場したニュービートルRSiに続く、フォルクスワーゲンのプレミアム・パフォーマンス・サブブランド「R」の第2弾であるゴルフR32は、世界1万2000台の限定生産。日本では2003年1月に左ハンドルの2ドアが発売され、同年5月に右ハンドルの4ドアが追加された。販売台数は2ドアが500台、4ドアは400台で、ヨーロッパ仕様には6速DSGも用意されていたが、日本仕様は6速MTのみ。当時の価格は、2ドアが395万円、4ドアは405万円だった。

今回オーナーさんの協力で取材させていただいたR32は、2003年型の2ドア。ボディカラーはブラック、シルバー、ブルーの3色が用意されていた中のブラック(ブラックマジックパールエフェクト)で、走行距離は7万9000km弱という個体。前後ランプが北米仕様に変更されているほか、リアホイールにスペーサーが追加されているなど、若干のカスタマイズが施されているが、ほぼノーマルに近い状態の一台である。

久しぶりに見るゴルフR32は、20年以上が経った今でも、とても洗練されたスタイリングを纏っていた。専用の前後バンパーや18インチの専用アルミホイール&低扁平タイヤ、左右2本出しのエキゾーストエンド、小型のドアミラーなど、スポーティかつ絶妙に抑えの効いたルックスである。

インテリアも、一枚革で巻かれた専用形状のレザーステアリングホイールや、バックレストに「R」のロゴが刺繍されたケーニッヒ製のスポーツレザーシート、「R」と「4MOTION」のロゴがあしらわれたシフトノブ、「R」のロゴ入りペダル&フットレストなどが奢られ、スペシャルモデルに相応しい上質でエクスクルーシブな雰囲気に仕立てられている。

全方位でパフォーマンスが高められた、アルティメットな走り

その動的質感にも改めて驚かされた。取材日は生憎の雨模様で、横浜周辺の一般道での試乗となったが、20年以上前のモデルとは思えない実力(の片鱗)を体感することができたのだ。

まずは3.2L狭角V6エンジンであるVR6のサウンドが素晴らしい。バンク角がわずか15度と狭くすることで、非常にコンパクトな設計を実現したこの自然吸気24バルブSOHCユニットは、「1-5-3-6-2-4」という、一般的な直6エンジンと同じ点火順序を採用していることもあって、滑らかでありながら、若干の粒立ち感もあるサウンドと回転フィールが感じられた。一般的な直6とV6の中間的な感覚といえば分かってもらえるだろうか。スロットルペダルに対するレスポンスはとても良く、吹け上がりも軽快だ。

走りも極めて軽快でスポーティである。センターにハルデックスカップリングを備えた電子制御フルタイム4WDは、最高出力241ps/最大トルク320Nmを発揮するVR6の駆動力を余すことなく路面に伝え、1460kgのボディを気持ちよく加速させる。ハンドリングは驚くほど俊敏で正確。4WDによるアンダーステアなどほとんど感じない。ステアリングフィールも、まったくシブさがなく素晴らしい。

足回りは硬めにセットアップされているが、実用に耐えないほどではなく、十分にしなやか。まさに全方位的にパフォーマンスとクオリティが高められた、最新のゴルフRにも共通する、アルティメットなキャラクターを備えていることに、改めて感心させられた。

サーキットでは圧倒的なパフォーマンスを披露し、デイリーユースにも問題なく使える、最新のゴルフRは非常に魅力的な選択だが、そのオリジンであるゴルフ4 R32は、今も輝きを失っていない。

【Specification】フォルクスワーゲン・ゴルフR32(2003年型)

■車両本体価格(税込/当時)=3,950,000円
■全長×全幅×全高=4165×1735×1435mm
■ホイールベース=2525mm
■車両重量=1460kg
■エンジン種類/排気量=V6 SOHC 24V/3188cc
■最高出力=241ps(177kW)/6250rpm
■最大トルク=320Nm(32.6kg-m)/2800-3200rpm
■トランスミッション=6速MT
■サスペンション(F:R)=ストラット:マルチリンク
■ブレーキ(F:R)=Vディスク:Vディスク
■タイヤサイズ(F:R)=225/40R18:225/40R18

【画像14枚】専用ケーニッヒ製シートにVR6エンジン。今なお特別な「ゴルフR32」の内外装を見る

フォト=篠原晃一/K. Shinohara
竹花寿実

AUTHOR

1973年生まれ、自動車専門誌&自動車情報Webサイトの制作を経て、2010年に渡独。フランクフルトをベースに在独モータージャーナリストとして活動し、ドイツ車を中心に、ヨーロッパの自動車産業や交通社会、先進技術、モータースポーツなどを取材し、日本やドイツ語圏、中国などのメディアに寄稿する。2018年の帰国後は、ドイツでの経験に基づいたプロダクト評価のほか、ドイツの自動車メーカーの最新動向や、交通政策、道路環境、運転マナー、自動車文化などについて、雑誌やWEB媒体で発信している。

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