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シトロエンは2025年10月20日、ABB FIAフォーミュラE世界選手権への公式参戦を発表、同時に、トリコロールカラーのシングルシーター「GEN3 Evo」を初公開した。
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11年にわたる知見の集大成
シトロエンでは、このGEN3 EvoはフォーミュラE史上最速の電動マシンであり、持続可能なモータースポーツの象徴であるとしている。最高出力は350kW(約470hp)、0-100km/h加速は1.86秒、最高速度は約320km/hに達する。前後2基のモーターを搭載し、最大600kWのエネルギー回生を実現。これによりレース中に消費するエネルギーの約半分を再利用できるとのこと。また、シャシーは軽量かつ強度の高いカーボンモノコックシャシーを採用している。
このマシンの開発は、パリ近郊サトリーのステランティス・モータースポーツの拠点において、ディレクターのジャン=マルク・フィノ氏の指揮のもと行われた。これには、ステランティス・モータースポーツの11年にわたるフォーミュラEでの知見と技術がフルに活かされたものであるという。フィノ氏は次のように語っている。
「私たちは単にシングルシーターを設計しているのではありません。世界で最も先進的な選手権のひとつにおいて、シトロエンの情熱を再び呼び覚ましているのです。フォーミュラEで培った11年の経験と、数十名のエンジニアや技術者の高い専門性と情熱を結集し、パワーマネジメント、高い効率性、そして信頼性という、フォーミュラEで勝つために不可欠なバランスを完全に掌握して、シトロエンのフォーミュラEプログラムのために日々取り組んでいます」
マシンには、フランスの誇りを象徴するトリコロールカラーが大胆にあしらわれている。フロントには情熱を象徴する鮮烈なレッド、続いてホワイトとエレクトリックブルーが配され、スピード感とエネルギーを表現。
シトロエンCEOのザビエ・シャルドン氏は以下の通りコメントした。
「シトロエンがフォーミュラEに公式参戦できることを心から誇りに思います。私たちは、ラリーレイドやWRC、WTCCといった新しい舞台に挑戦するたびに勝利を収めてきました。モータースポーツは60年以上にわたりシトロエンの歴史と伝説を築いてきた存在であり、ブランドの情熱そのものです」
「今回、100%電動で大いなる意義を持つ競技に参加することで、未来を見据えた価値を共有し、都市の中心で開催されるフォーミュラEを通じて、若い世代やデジタルに親しんだ層とつながることを期待します。フォーミュラEは、技術革新の実験場であり、ブランドにとって国際的な発表の舞台です。この新しい挑戦を通じて、シトロエンのビジョンを世界に示していきます」
強力な布陣のもと公式テスト、実戦デビューへ
チームを率いるのは経験豊富なシリル・ブレ、ドライバーはジャン=エリック・ベルニュ(フランス)とニック・キャシディ(ニュージーランド)という、実績と実力を兼ね備えた2人。ベルニュはフォーミュラE初の2連覇王者であり、F1やWECでも活躍する実力者だ。彼は「シトロエンとともに新たな歴史を築けることを誇りに思います」と述べている。
一方キャシディは、日本でF3、Super GT、Super Formulaの三冠を達成し、フォーミュラEでは11勝・25回の表彰台を獲得したトップドライバーである。「ジャン=エリックとともに、強力なチームを築くことが楽しみです」と意気込みを語った。
チーム代表のシリル・ブレは、フォーミュラEでの豊富な経験を持ち、エンジニアからチーム代表までキャリアを積み上げたリーダーであり、戦略的視点と、チーム全員が力を発揮できる環境作りでチームを率いていくという。
フォーミュラE参戦は、シトロエンにとって単なる競技への挑戦ではないとされる。60年以上にわたるモータースポーツの歴史を背景に、再びサーキットに戻ることでブランドのDNAを改めて示し、バッテリー制御やエネルギー回生、ソフトウェア戦略といった電動化技術の進化を加速させたい考えだ。
さらに、フォーミュラEはISO 20121認証を取得しカーボンニュートラルを目指す持続可能な選手権であり、シトロエンの電動化に対する構想とも深く結びつくものだという。都市の中心で開催されるレースは、若い世代やデジタルに親しんだ層とつながる絶好の機会でもあり、世界でのブランドの存在感を一層高める舞台として捉えているとのことである。
GEN3 Evoの公式テストは10月27日にスペインのバレンシアで行われ、12月6日、ブラジルのサンパウロeプリでデビューを飾る予定となる。

