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【写真180枚】ルノー、新型EV「トゥインゴ E-TECH」正式発表。2万ユーロ未満、航続263km、Bセグメント級の「広さ」を実現

ルノーの新型EV「トゥインゴ E-TECH」がついに本国で正式発表

ルノーは、1992年にデビューしAセグメントに革命をもたらした初代「トゥインゴ」の精神を現代に受け継ぐ、新型コンパクトEV「トゥインゴ E-TECH electric」を2025年11月6日、正式に発表した。これは、欧州の都市型モビリティにおける「ゲームチェンジャー」として、手頃な価格と高い価値を両立させることを目指した意欲作である。価格は20,000ユーロ(約353万円)未満に設定され、スロベニアのノヴォ・メスト工場で生産、2026年初頭の発売が予定されている。

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多くのメーカーが撤退した「Aセグメント」にあえて挑むルノーの勝算

新型ルノー・トゥインゴE-TECH electricの開発の背景には、現在のAセグメント市場の特異な状況がある。欧州市場におけるAセグメントのシェアは5%未満に縮小しているが、これは需要の低下ではなく、厳しい規制やコスト、顧客の期待との両立に苦慮した多くのメーカーが撤退したことによる「供給の問題」であるとルノーは分析している。ルノーはこれを主要な成長機会と捉え、小型車に関する歴史と専門知識を活かして、この難題に挑戦することを決定した。

新型トゥインゴ E-TECH electricの開発は、3つの主要な目標を掲げて進められた。第一に、20,000ユーロ未満という手頃な価格で、持続可能なeモビリティを欧州の家庭に提供すること。第二に、ルノー史上初となる「2年間」という記録的な車両開発期間の達成。そして第三に、スロベニアのノヴォ・メスト工場という欧州の生産拠点の競争力を維持することである。

ルノー史上初、「100週(2年)」で開発を達成した新プロセス「Leap 100

特に開発期間の短縮は「Leap 100」プログラム(100週=約2年)と呼ばれるパイロットプロジェクトとして実行された。これは、ルノーグループのEV・ソフトウェア子会社である「Ampere(アンペア)」が主導し、フランスのテクノセンターでの設計、上海のR&Dセンター「ACDC」での迅速な開発、そしてノヴォ・メスト工場での生産準備という、国際的な組織体制によって実現された。このアプローチにより、従来の開発プロセスと比較して投資を半減させつつ、開発期間を1年間短縮することに成功したという。

手頃な価格を実現するための技術的な核となるのが、ルノーグループとして初めて採用されたLFP(リチウム・アイアン・フォスフェート)バッテリーである。コバルトやニッケルといった希少金属への依存を減らし、豊富に存在する鉄やリン酸塩を利用するLFPは、持続可能性の観点からも優れている。さらに、より多くのセルを高密度に実装できる「セル・トゥ・パック」アーキテクチャを採用することで、バッテリーコストを約20%削減している。

「笑顔」のフロントフェイスと、ジャン=ミッシェル・ジャールが手掛けたサウンドが乗るたびに迎える

デザインは、初代トゥインゴが持っていた「陽気な雰囲気(cheerful vibe)」を現代の感覚で再解釈している。遊び心のある表情豊かなワンボックスシルエットは健在でありながら、よりクリーンなラインと先進的なヘッドライトなどで現代性が与えられている。ボンネット左上のエアベントや象徴的なハザードランプボタンなど、初代へのオマージュと受け取れるディテールも散りばめられている。

全長3.79mというコンパクトなサイズを維持しつつ、ホイールベースは2.49mまで延長された。これにより、最大18インチの大径ホイールをボディの四隅に配置することが可能となり、路上での存在感を高めている。フロントフェイスは、半月型にアーチを描くデイタイムランニングライトが「陽気な表情」を演出し、グリルは初代を彷彿とさせる「笑顔」を形作っている。

インテリアもまた、エクステリアの陽気な雰囲気を反映している。円筒形でカラフルなダッシュボードは宙に浮いているかのように配置され、開放感を演出。全バージョンに、ドライバー用の7インチデジタルメーターと10インチのセンターマルチメディアスクリーンからなるデュアル水平OpenRスクリーンが標準装備される。このスクリーンには、ミュージシャンのジャン=ミッシェル・ジャールと共同開発したオリジナルのサウンドと遊び心のあるアニメーションが表示され、乗るたびに楽しさを提供する。

後席ニールーム最大160mm、荷室1,000L超。クラスの常識を破る驚異のパッケージング

新型トゥインゴ E-TECH electricの最大の特長は、その驚くべき実用性にある。「外は小さく、中は大きく」というコンセプトを追求し、Aセグメントの車体ながらBセグメント級の室内空間を実現した。特に後席のニールームは最大160mmに達し、クラスの新たな標準を打ち立てている。

この広大な空間の秘密は、初代の革新的なアイデアを受け継ぎ、さらに最適化された「スライディングリアシート」である。全バージョンに標準装備されるこの機構は、左右独立した2つの後席がそれぞれ17cmも前後にスライドすることを可能にする。これにより、乗員スペースと荷室容量を自在に調整できる。さらに、助手席の背もたれも前方に折りたたむことができ、最大積載長は2mにも達する。荷室容量は通常時で最大360L、後席を倒せば1,000Lを超える広大なスペースが出現する。

航続263km0-50km/h加速3.85秒。都市ユースに最適化された俊敏なEV性能

パワートレインは、都市ユースに最適化された60kW(82ps)のコンパクトな電気モーターを搭載。車両重量を1,200kg(Evolutionバージョン)に抑えたこともあり、0-50km/h加速は3.85秒という俊敏さを見せる。前述のLFPバッテリーは27.5kWh(ユーザブル容量)で、航続距離はWLTPサイクルで最大263kmを達成しており、都市近郊の移動には十分な性能である。

充電は、家庭での夜間充電を想定したAC 6.6kWが標準装備され、10%から100%まで約4時間15分で充電が完了する(推定値)。さらにオプションの「アドバンスド・チャージ」パックを選択すれば、AC 11kW(2時間35分/推定値)とDC 50kW(10-80% 30分/推定値)の急速充電に対応。加えて、このパックには双方向充電機能も含まれ、最大3,700Wの電力を外部に供給できるV2L(Vehicle-to-Load)や、電力網に電気を戻すV2G(Vehicle-to-Grid)にも対応する。

アシスタント「Reno」や「One Pedal」機能など、クラスを超えた先進技術を満載

先進技術も惜しみなく投入されている。上位グレードの「Techno」には、Aセグメントの車両として初めてGoogleビルトインの「OpenR Link」マルチメディアシステムが搭載される。これにより、EVルートプランナーを備えたGoogle Mapsや、100を超えるアプリが利用可能なGoogle Playなどがシームレスに利用できる。また、EVに関する専門知識を持つバーチャルアシスタント「Reno(ルノー)」アバターも搭載され、「Hey Reno, 明日の朝8時に充電をスケジュールして」といった音声操作が可能だ。

運転支援システム(ADAS)も24種類と豊富で、Technoグレードには回生ブレーキを最大化し、ブレーキペダル操作なしで停止まで可能な「One Pedal」機能が搭載される。安全性においても「Human First Programme」に基づき、Fireman Access(バッテリー火災時に迅速に消火剤を注入する機構)や、ドライバーの疲労や注意散漫を検知する先進的ドライバー監視システムなどが採用されている。

新型トゥインゴ E-TECH electricは、初代がAセグメントにもたらした革新と楽しさの精神を、現代の電動化技術と驚異的なパッケージングで見事に蘇らせた。手頃な価格、Bセグメントを超える実用性、そしてクラスを超えた先進技術。欧州の都市型EV市場において、再び「ゲームチェンジャー」となる可能性を秘めた一台の登場である。日本市場への導入に向けても期待が高まるところであり、ル・ボランでは今後も続報をお届けしていく予定だ。

【画像180枚】これが2万ユーロ未満の革命児。驚きの「広さ」とカラフルなディテール。「新型トゥインゴ E-TECH」の全画像を公開

※この記事は、一部でAI(人工知能)を資料の翻訳・整理、および作文の補助として活用し、当編集部が独自の視点と経験に基づき加筆・修正したものです。最終的な編集責任は当編集部にあります。
LE VOLANT web編集部

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