フォード「F-150」が先導走行
「えっ、本当ですか!?」 トヨタ関係者から話を聞いてかなり驚いた。なんと、トヨタが音頭を取って最新NASCARマシンのデモランを富士スピードウェイで行うというのだ。しかも、舞台はスーパー耐久シリーズ2025の最終戦(2025年11月15日~16日)だという。
【画像10枚】富士スピードウェイでデモランしたNASCARマシンの大迫力!
NASCAR最新マシン6台が全開で富士を走った
スーパー耐久シリーズでは、トヨタ、スバル、マツダ、ホンダ、日産が本社直轄のワークスチームとして、次世代の環境技術を磨くための「ST-Q」クラスに出場することでメディアの注目が集まっている。そこに、ドロドロ音のV8エンジンで、ピット給油ではガソリンが垂れ流すことも珍しくなく、スーパースピードウェイでは数十台がまとめてクラッシュする“ビッグワン”が起こったり、時にはエキサイトしたドライバーが乱闘騒ぎを起こすといったワイルドなイメージがあるNASCARがやって来るとは……。
筆者は1990年代からアメリカでNASCARに関わり、2025年はABEMAでNASCARカップシリーズ配信番組の解説者を務めているからこそ、S耐とNASCARのミスマッチに戸惑った。
NASCARとは、ナショナル・アソシエーション・フォー・ストックカー・オートレーシングのこと。年間来場者数やテレビ視聴率、SNSへの影響力などはインディカーやドラッグレースなどを大きく凌ぐ全米最大規模のモータースポーツだ。マシンは共通シャシーにトヨタ、フォード、GMシボレーがエンジンを開発しプライベートチームに供給する。カップシリーズのレギュラーシーズンは2月中旬から11月までほぼ毎週の年間36戦。デイトナやタラデガなどスーパースピードウェイ、1周800mほどのショートオーバル、また市街地レースやロードコースなど多彩な場所で開催されるのが特長だ。
そんなNASCAR最新マシン6台が、”モリゾウ”ことトヨタの豊田章男会長とジョージ・グラス駐日大使が乗るフルサイズピックアップトラック・フォード「F-150」が先導してコースイン。その後、6台が全開走行に移った。
2025年を振り返れば、”トランプ関税”について日米通商交渉が難航したが最終的に自動車関税15%で決着。その代わり、日本はアメリカへ5500億ドル(約85兆2500億円)の投資を確約した。
また、トヨタは単独でアメリカに100億ドル(約1兆5500円)追加投資するとともに、アメリカ製日本車の日本への輸出を検討中だ。今回のNASCARデモラン、日米通商交渉のネクストステージに向けた号砲なのかもしれない。









