コラム

【前2輪・後1輪】サイドカー登録で乗る「ZTR250」。リバース・トライクに見る「大人の趣味車」の楽しみ方【愛車群像】

渡辺ケイタさんの所有するスリーホイラー「ZTR250」

「スリーホイラー」は歴史の波間に消えた……?

第二次世界大戦直後の窮乏期、人々の移動手段が必要とされた欧州で生まれた簡便な乗り物が、カビネンローラー(=キャビンスクーター)、あるいはバブルカーなどと呼ばれた小さなクルマたちだ。その多くがスリーホイラー(3輪)で、乗用車が不足した戦後期には、雨風にさらされず移動できるミニマム・トランスポーターとして敗戦国を中心に発展したが、徐々に戦後モータリゼーションが復興してくると、その役目を終えて歴史の波間に静かに消えていった。一部の例外を除いて……。

【画像27枚】モーガン・スリーホイラーの再来? 渡辺ケイタさんの愛車「ZTR250」フォトギャラリー

「可愛い」だけがミニカーじゃない。ヒストリックカーの群れに現れた“カッコいい系”の正体

2025年12月7日に埼玉県上尾市の大型商業施設、アリオ上尾で開催された「オールジャパンミニカーミーティング2025」。これは1980年代に我が国でちょっとしたブームとなった一人乗り50cc級の原付カーが主役というユニークなイベントだ。タケオカ自動車工芸やミツオカといったこの世界でのメジャー級以外にも、欧州産カビネンローラーやスリーホイラーなどのエントラントも。

かつては戦後窮乏期のミニマム・トランスポーター、あるいは交通弱者の簡便な移動手段という存在だったバブルカーや原付カーも、いまや小さく可愛い趣味のヒストリックカーという立ち位置となっているようだ。そんなイベント会場内で、古いというよりは現代風、可愛いというよりはカッコいい系な姿で異彩を放っていたのがこちらの1台である。

モーガンにも通じる「リバース・トライク」。バイク乗りが選んだ250cc趣味車

「ZTR250というスリーホイラーです。もともとバイクが趣味だったのですが、8年くらい前たまたまネットで見かけて一目惚れ。すぐに手に入れました」というオーナーの渡辺ケイタさん。

通常スリーホイラーといえば多く見かけるのが前1輪、後2輪の“トライク”と呼ばれる形態だが、こちらは“リバース・トライク”と呼ばれる前2輪、後1輪。そう、イギリスのスポーツカー、モーガン・スリーホイラーなどと同様の形態だ。おなじ3輪でも、実用車・商用車ではなく趣味のスポーツカーというわけだ。もともとバイク乗りだった渡辺ケイタさんならではのチョイスである。

「エンジンは中国製の4ストローク単気筒250ccで、サイドカー登録の軽二輪です」。当日は奥様と二人で仲良くイベントに参加した渡辺さん。スリーホイラーは“実用”としての役目を終えても“趣味”のアイテムとしてはずっと生き続けるということを、この乗り物を通じて伝えてくれているようだ。

【画像27枚】モーガン・スリーホイラーの再来? 渡辺ケイタさんの愛車「ZTR250」フォトギャラリー

フォト=近藤浩之/H. Kondoh

注目の記事
注目の記事

RANKING