「BEVの陳腐化」を真っ向から否定する、グッドウッドからの回答
ロールス・ロイス・モーター・カーズは2026年2月、、同社初の電気自動車(BEV)である「スペクター」が、世界中のコレクターから次世代のクラシックカーとして熱狂的な支持を受けていることを明らかにした。グッドウッド時代を象徴するこのモデルは、単なる移動手段を超え、芸術的な資産としての地位を確立しつつある。発売以来、レイスやドーンを上回る受注を記録し、2025年にはブランド内で2番目に需要の高いモデルへと成長したスペクター。最新のテスト結果で証明された圧倒的な耐久性と、ブランドの歴史的転換点となるその真価に迫る。
【画像7枚】往年の名車「シルバー・クラウド」と並んでも遜色なし。未来のクラシック、スペクターの普遍的な美しさを見る
現代に蘇る「ファントム・クーペ」の再来。時を超えて愛される理由
スペクターが「未来のクラシック」として認識される理由は、そのデザインと精神性にある。流れるようなファストバックのシルエットや、ドラマチックなヘッドランプは、かつての名車「ファントム・クーペ」を彷彿とさせつつ、現代的な解釈が加えられている。その佇まいは、ロンドンの閑静な街並みで1965年製シルバー・クラウド・クーペと並んでも、何ら遜色のない普遍的なエレガンスを放っている。

特筆すべきは、顧客がこのクルマに寄せる深い想いだ。2025年には、愛犬への愛情を表現した「スペクター・ベイリー」や、夫婦の人生の歩みを称える「スペクター・ソウルメイト」など、高度にパーソナライズされたビスポーク・モデルが数多く誕生した。これらは、オーナーがスペクターを短期的な所有物ではなく、長く愛し続け、次世代へ受け継ぐべき資産として捉えていることの証左である。
創業者の「予言」を完遂した、電動化による“魔法の絨毯“の極致
スペクターの登場は、1900年にチャールズ・スチュワート・ロールズ卿が残した「電気自動車は完璧なまでに静かでクリーンであり、匂いや振動もない」という予言の完全な成就を意味する。その走りは、ロールス・ロイスの代名詞である「魔法の絨毯のような乗り心地」を、電動化によって極限まで洗練させたものだ。

スペクターは最高出力584ps(430kW)、最大トルク900Nmという強大なパワーを誇り、全長約5.5m、車両重量約2.9トンの巨体をわずか4.5秒で時速100km/hまで加速させる。しかし、その真骨頂は数字上のスペックではない。職人が一つ一つ穴をあけ、何百本もの光ファイバーを通した「スターライト・ヘッドライナー」が広がる静寂のキャビンや、不快な微振動を一切排除した走行フィールこそが、内燃機関モデルをも凌駕するラグジュアリー体験を提供しているのである。一充電航続可能距離も530km(WLTP)を確保しており、実用性においても妥協はない。
10万km走行で「残量99%」の衝撃。15年保証が約束する“永遠“
そして今回、スペクターの資産価値を決定づける驚くべきデータが公表された。ロールス・ロイスが実施した長期テストにおいて、多様な気候条件下で10万km以上を走行したプロトタイプのバッテリー性能が、依然として新品時の99%を維持していることが確認されたのだ。
この結果を受け、同社はスペクターに対し、新車および既存車を含めて「15年間・走行距離無制限」という前例のないバッテリー保証を適用する。さらに、今世紀半ばを大幅に超える長期間にわたり交換用セルの供給を確約した。これは、BEVの懸念点である「バッテリー寿命による陳腐化」を根本から否定するものであり、数十年先を見据えたコレクターズアイテムとしての信頼性を盤石なものにしている。

クリス・ブラウンリッジCEOが「すべてのロールス・ロイスを象徴する伝統を受け継いでつくりだされた」と語る通り、スペクターは一過性の流行ではなく、永遠の価値を持つ存在として設計された。その「永続性」へのコミットメントは、自動車史における新たな伝説の始まりを告げている。
【ル・ボラン編集部より】
創業者の予言を具現化したスペクター。その走りは、かつて本誌『ル・ボラン』の国内試乗でも「スーパーラグジュアリーの新たなる最適解」と評された通り、無音と無振動が織りなす極上の移動体験である。今回発表された15年保証とセルの永続供給確約は、BEV最大の懸念である「経年劣化」すらも過去のものとし、このクルマを真の資産へと昇華させる英断だ。内燃機関の情緒を色濃く残すゴーストなどの選択肢も魅力的だが、スペクターが提示する「永遠の静寂」は、新たな名車の系譜を決定づけるものと言えるだろう。
【画像7枚】往年の名車「シルバー・クラウド」と並んでも遜色なし。未来のクラシック、スペクターの普遍的な美しさを見る
※この記事は、一部でAI(人工知能)を資料の翻訳・整理、および作文の補助として活用し、当編集部が独自の視点と経験に基づき加筆・修正したものです。最終的な編集責任は当編集部にあります。