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ベントレー本社キャンパスを完全封鎖。英国の至宝が仕掛けた“前代未聞のドリフト映像”の舞台裏

極限のドリフト映像『Supersports: FULL SEND』撮影の裏側

ベントレーモーターズは、トラビス・パストラーナを起用したかつてなくダイナミックな映像作品『Supersports: FULL SEND』の制作背景を明らかにした。イギリス・クルーにある本社キャンパスを史上初めて完全封鎖し、100名以上のスタッフを動員して撮影された本作。約193km/hでの走行や過激なドリフトが展開される本編はいかにして作られたのか。その野心的なプロジェクトの全貌が公開された。

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本社工場を舞台にした前代未聞のプロジェクト

この画期的な映像企画は、新型「スーパースポーツ」の登場を機に2025年4月に構想がスタートした。工場の所在地である「ピムス・レーン」とジムカーナを掛け合わせ、社内では「ピムカーナ」の愛称で呼ばれたこのプロジェクトは、社内の主要部署との協議を経て、十分な準備があれば実現可能だと判断された。経営委員会の承認を得たのち、研究開発部門は開発車両を極限まで過激に仕上げるミッションに取り掛かった。

実際の撮影は2025年9月下旬の3日間にわたって行われた。稼働中の工場を舞台とするため、ベントレー本社キャンパス全体を史上初めて完全封鎖するという異例の措置がとられた。制作クルーやベントレー各部門からのサポートチームなど総勢100名以上が集結し、最高時速120マイル(約193km/h)での走行や限界を超えたドライビングが繰り広げられた。これほど過酷な撮影であったにもかかわらず、最終的な被害はサイドミラーが一つ割れただけで済んだという。

ドリフトのために作り込まれた特別なスーパースポーツ

主役となるスーパースポーツは、市販モデルに求められる安全機能をすべて取り除き、工場の狭い路地を自在に走り回れるよう徹底的な改造が施された。電子制御リミテッドスリップディファレンシャルは早期にロックするよう調整され、横滑り防止装置は完全に無効化された。さらに、停車状態や走行中でのバーンアウトを可能にする専用ソフトウェアも導入されている。なかでも成功の鍵を握ったのが、8速デュアルクラッチトランスミッションと連動する油圧式ハンドブレーキの搭載だ。これにより、パワーオーバーステアに頼ることなく狭いコーナーへ横向きに進入することが可能となった。

撮影にあたっては、グラフィックアーティストによる特注デザインのラッピングとカスタムペイントされた22インチホイールを装着したメイン車両に加え、万が一に備えたバックアップ車両も用意された。さらに、映像のクライマックスで激しい火花を散らすため、車体の下部にはチタン製のスキッドブロックが取り付けられている。激しいスタントをこなしたこのメイン車両は、現在ベントレーのヘリテージ・コレクションとして保管されている。

緻密なリスク管理とファンを喜ばせる隠し要素

工場内でのダイナミックな走行は、ガス管や光ファイバーケーブル、工場全体の電源設備などからわずか数cmの距離で行われる場面もあり、無数のリスクが伴うものだった。そのため、撮影前には車や工場への被害を最小限に抑えるべく、各シーンの綿密な計画と振り付けが行われた。撮影用の特殊車両にも妥協はなく、初代ベンテイガW12をベースに専用のクレーンアームを備えたトラッキングカーが製作され、ドローンや小型カメラと共に迫力ある映像を記録した。パイクスピーク仕様の車両などによるチェイスシーンでは、トラビスと共にプレシジョンドライバーたちも息の合った連携を見せている。

3ヶ月の編集期間を経て1月に公開された本編には、鋭い観察眼を持たなければ気づかない12個の「イースターエッグ」が隠されている。トラビスが工場に入る際の社員番号が自身のレースナンバーである199になっているのをはじめ、ル・マン優勝車や情報解禁前の新型コンチネンタルGT S、さらには開発中のバッテリーEVの姿も忍ばせてある。極めつけは、エンドクレジットでトラビスが走り去った後に清掃を行っている人物が、ベントレーの会長兼CEOであるフランク=シュテファン・ヴァリザーその人であることだ。遊び心と本気が融合した、ベントレーならではの映像作品に仕上がっている。

【ル・ボラン編集部より】

静謐と上質を極めた英国の至宝たるベントレーが、由緒ある本社工場を封鎖して過激なドリフト映像を制作した点に、彼らの本質が垣間見える。コンチネンタルGTなどを走らせた際、巨躯が嘘のように、だんだんクルマが小さくなっていくような錯覚に襲われるが、あの俊敏なハンドリングこそ彼らの真骨頂だ。最高級のウッドやレザーの奥底には、ル・マンを制した「ベントレーボーイズ」の野蛮なレーシングスピリットが脈々と流れている。優雅さと狂気。その二律背反の昇華こそが同ブランドの引力である。

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※この記事は、一部でAI(人工知能)を資料の翻訳・整理、および作文の補助として活用し、当編集部が独自の視点と経験に基づき加筆・修正したものです。最終的な編集責任は当編集部にあります。

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