全日本ラリー第2戦SAGA RALLYでプジョー106が2輪駆動最速に!
全日本ラリーに突如現れ、GR86など現行車を相手に2輪駆動最速タイムを叩き出して周囲を震撼させた「プジョー106 S16」。カタログ最高出力118psの旧世代ハッチバックが、なぜ格上の選手権クラスを喰う下剋上を果たせたのか。その痛快な快進撃の裏側と、型破りなセッティングの秘密を、自らもプジョー106を愛機とする山本佳吾カメラマンがレポートする。
【画像14枚】桜舞う佐賀で下剋上! 時代を超えて愛されるプジョー106 S16、そのホットな走りを見よ
知る人ぞ知る、全日本ラリー「オープンクラス」という伏魔殿
全日本ラリーに参戦している車種ってほぼ固定されていて、あまり変わり映えがしないイメージ。昔はいろんな車種が参戦していたんだけど、ホモロゲーションの絡みや競技に使える車種が減ってしまったことが大きな理由です。全日本ラリーは上からJN-1~JN-6の6クラスに分かれていて、さらにFIAやJAFの公認車両でないと参戦できません。

2026年の全日本ラリー開幕戦ラリー三河湾をスタートする高山・竹薮組のプジョー106。
しかし、全日本ラリーにはオープンクラスという非選手権クラスがあって、こちらには古いクルマやJAF登録が無い車両も参戦できるんです。またRF車両でも参戦できます。RF車両というのは、全日本選手権に参戦できるRRNやRJ車両と比べると改造範囲が広く、全日本には参戦できないけど地区戦より下のラリーには参戦が可能な車両規定。以前は全日本ラリーにもRF車両が参戦できるクラスがあったのだけど、今は消滅しました。
選手権クラスに割って入る快挙。SAGA RALLYで2WD最速を奪取
そんな全日本ラリー・オープンクラスに突然登場して話題をかっさらったのが「プジョー106 S16」。ドライバーの高山 仁は、かつてはランサーやWRX STIで当時の最上位クラスであるJN-6クラスでトップ争いをしていた選手。また、コ・ドライバーの竹藪英樹は数々のドライバーと組んできたベテラン。ちなみにこの高山・竹藪組は2015年のアジア・パシフィックラリー選手権(APRC)のアジアカップチャンピオンでもあります。
高山選手は2017年を最後にラリーへの参戦を休止していたのだけど、2025年の群馬ラリーシリーズ第3戦MSCC Rally in Mikaboにシングルカムのプジョー106ラリー(通称テンロクラリー)で突然復帰。非力な106にもかかわらず総合3位でフィニッシュするという快挙を見せますが、車両をツインカムのS16に変更して参戦した第5戦Team if山岳ラリーでは派手にクラッシュしてリタイア。突貫作業で復活を果たした106で参戦した2025年の全日本ラリー最終戦ラリー・ハイランドマスターズでは衝撃のタイムを叩き出しながらもまたまたクラッシュしてあっけなくリタイアに終わります。

ラリー三河湾:SS2でエンジンが吹けずデイ離脱。
そして2026年の開幕戦ラリー三河湾では期待されながらもSS2で車両トラブルでデイ離脱。速いのに結果が残せないラリーが続き、カムが少ない方が実は速いんじゃねーか? なんて言われたりしていたけれど、4月3日~5日に佐賀県で開催された第2戦SAGA RALLYでは雨模様のLEG1から驚異のタイムを連発して、選手権クラスの格上車両たちに割って入る速さを見せます。
雨を見越してリアスタビを外すという荒技が功を奏したのか、SS6で2輪駆動最速、総合でも11位というタイムを出し、周囲を驚かせます。打って変わって晴天となったLEG2も勢いは衰えず、オープンクラス優勝はもちろん、総合でも14位、2輪駆動最上位でフィニッシュしました。
9000回転許容に変貌した名機「TU5J4」と“超安上がり”なサス
オープンクラスの選手が選手権の上位クラスを喰うという、あってはならない下剋上を見せた高山・竹藪組のプジョー106はJAF登録がされておらず、前述したように改造範囲の広いRF車両であることが有利となったという見方もあるけれど、元は最高出力たった118psの106という30年前のクルマがGR86やスイフトといった現行車両に勝ってしまったことに周囲はざわつきました。

SAGA RALLY:まさかのリアスタビレスが奏功?
が、当の本人たちやチームの面々はさも当たり前のような表情。車両を製作したのは群馬のF-SPORT。長年競技車両を製作してきた経験をもとに106を立派なラリー車に仕立てました。