最大航続距離630kmを実現。ID.ファミリーの中核を担うコンパクトEVが車名も新たにアップデート
フォルクスワーゲンは2026年4月15日、コンパクト電気自動車(EV)であるID.3の大幅なフェイスリフトを行い、新型「ID.3 ネオ」として世界初公開した。新しい車名を与えられた本モデルは、内外装のデザインを刷新し、最新のテクノロジーを搭載するなど大幅な改良が施されている。ドイツおよび欧州の多くの市場では、翌4月16日より先行販売が開始される。
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「ピュア・ポジティブ」を体現する新意匠と、使い勝手を磨き上げた直感的なインテリア
新型ID.3 ネオのエクステリアは、VWブランドおよびグループのチーフデザイナーを務めるアンドレアス・ミントが定義した「ピュア・ポジティブ」というデザイン言語に基づいている。フロントエンドは新設計され、連続したライトストリップと光るロゴが、特徴的な新しいID.ファミリーの顔つきを作り出している。また、ルーフやリアスポイラー、トランクリッドがボディと同色に塗装されたことで、より長く、フラットでダイナミックな印象を与える外観へと進化を遂げた。
インテリアに目を向けると、より高い快適性と直感的な操作性を追求し、完全に再設計されたコクピットが広がる。ワンランク上のクラスに匹敵する高品質で手触りの良い素材が採用され、水平基調の明確なレイアウトが施されている。
人間工学に基づいた新しい操作系や、上下が平らになった新形状のマルチファンクションステアリングホイールにより、日常的な運転がより容易で便利なものになるよう配慮されている。さらに、10.25インチのデジタルコックピットと12.9インチの中央ディスプレイを備えた新しいインフォテインメントシステム「Innovision」が搭載されており、滑らかなグラフィックと簡単な操作性を実現している。
EVの航続不安を払拭する大容量バッテリーと、力強さを増した新パワーユニット
パワーユニットには、従来モデルよりも高いトルクと低い消費電力を誇る新開発の高効率ドライブシステムが採用された。これにより、搭載されるバッテリーのうち最も容量の大きいものを選択した場合、最大630km(WLTPモード)という長大な航続距離が可能となる。
導入時のグレード構成は、「トレンド」「ライフ」「スタイル」の3種類が用意される。駆動用モーターの出力は125kW(170ps)、140kW(190ps)、170kW(231ps)の3段階が設定されている。基本グレードとなる「トレンド」には、正味エネルギー容量50kWhのバッテリーと125kWのモーターが標準で組み合わされる。「ライフ」および「スタイル」グレードでは、140kWのモーターと58kWhのバッテリー、あるいは170kWのモーターと79kWhのバッテリーをオプションで選択することが可能だ。
充電性能に関しても、50kWhおよび58kWhのバッテリーはDC急速充電ステーションで最大105kWでの充電に対応し、79kWhのバージョンでは最大183kWでの急速充電が可能となっている。
V2L給電機能やARヘッドアップディスプレイなど、EVライフを豊かにする先進装備
先進運転支援システムも最新のソフトウェアによって大幅に機能が拡張されている。レーンアシストやフロントアシストといった標準装備の機能に加えて、自動信号認識機能を備えたコネクテッド・トラベル・アシストがオプションで用意されている。また、車両が停止するまで回生ブレーキを効かせるワンペダルドライブ機能も搭載された。さらに、最大3.6kWの出力で高電圧バッテリーから外部機器へ直接電力を供給できる「Vehicle-to-Load(V2L)」機能が採用されており、電動自転車への給電や電気バーベキューなど幅広い用途に活用できる。
車内のインフォテインメントシステムには新しいアプリストアが統合されており、スマートフォンと同じようにオーディオやビデオストリーミング、駐車場、ゲームなどの人気アプリをダウンロードして、機能をデジタルで柔軟に拡張することが可能だ。その他のオプション装備も非常に充実しており、拡張現実(AR)ヘッドアップディスプレイや大型のパノラマサンルーフ、360度エリアビューなどが選択可能である。快適性を高める前席のメモリー機能付きマッサージシートや、ハーマンカードン製のプレミアムサウンドシステム、最大75kgの荷重に対応する自転車キャリアマウント用の取り外し可能なブラケットなど、多様なニーズに応える豊富な選択肢が用意されている。
販売やマーケティングを担当する取締役のマーティン・サンダーは、この新モデルが「真のフォルクスワーゲン」というモットーの下に開発されたと述べている。時代を超越したデザインと高品質な運転体験を提供する新型ID.3 ネオは、電動コンパクトカーの魅力をさらに高める存在と言えるだろう。
【ル・ボラン編集部より】
「真のフォルクスワーゲン」という開発モットーは、裏を返せば従来のID.3が陥ったデジタル偏重への反省と軌道修正の宣言である。かつてのゴルフがそうであったように、新世代のピープルズカーたるもの、誰もが直感的に扱える道具でなければならない。先進性を急ぐあまり見失っていたその美点が、直感的な操作性を追求し再設計されたコクピットに息づいている。最新のEV技術を日常の道具として落とし込む、この姿勢こそが、大衆車の歴史を牽引してきた名門の実直さだ。
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