速さの定義を変えるカスタマーレーシングカー
レーシングカーの世界では、速さの定義が静かに変わり始めている。かつてはより大きなエンジン、より高い出力が速さの象徴だった。だが近年、開発の焦点は少しずつ別の場所へ移りつつある。扱いやすさ、効率、そしてドライバーとの調和。その思想を象徴する一台が、BMWのカスタマーレーシングカー「M2レーシング」であろう。このマシンはBMWのモータースポーツ部門であるMモータースポーツが開発したコンプリートカーで、世界各地でワンメイクレースの開催が予定されている。日本でも「BMW & MINI Racing」への参戦が可能だ。
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販売を担当するのはMモータースポーツディーラーのToto BMW。つまり、このクルマは限られたワークスチームだけの特別な兵器ではない。情熱と覚悟を持ったプライベートチームやジェントルマンドライバーにも、そのステアリングは開かれているのだ。
M2レーシングは、国内耐久レースの代表格であるスーパー耐久シリーズにも参戦可能とされる。カテゴリーはST3クラス。ワンメイクレースの舞台だけでなく、長い時間と距離を走り抜く耐久レースにも挑めるポテンシャルを備えている。
直6から直4へ。ダウンサイジングの真意
今回のモデルで注目されているのはエンジンの変更だ。従来の「M2 CS Racing」は直列6気筒3Lターボエンジンを搭載していた。BMWの伝統とも言える直列6気筒は、滑らかな回転と独特のサウンドで多くのファンを魅了してきた。
しかし新型M2レーシングでは、その構成が大きく変わった。搭載されるのは直列4気筒2Lターボエンジン。いわゆるダウンサイジングである。最高出力は313ps、最大トルクは426Nm。数字だけを見れば、現代のレーシングカーとしては決して派手な数値ではない。だがこのクルマの狙いは、単純なパワー競争にはない。