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ステランティスジャパンは、フィアットの電気自動車「FIAT 600e(フィアット・セイチェント イー)」を、京都府京都市の公用車として寄納した。これに伴い2026年4月24日、京都市役所(京都市中京区)にて寄納式が執り行われた。
【画像36枚】特別デザイン「都白地波」がオシャレすぎるフィアット600eを確認!
車両寄納の背景とは?
この寄納式には、京都市長の松井孝治氏、在大阪イタリア総領事館総領事のフィリッポ・マナーラ氏、株式会社大黒商会代表取締役の井上雅文氏、そしてステランティスジャパン株式会社代表取締役社長の成田仁氏が出席。式典は日伊両国の国旗の掲げられた正庁の間にて行われ、成田氏から目録が松井市長へ渡され、松井市長からは感謝状の贈呈がなされた。
京都市はイタリア・フィレンツェ市と姉妹都市提携を結んでおり、文化・芸術・学術など多岐にわたる分野において交流を重ね、2025年で60周年の節目を迎えている。さらに2026年は日本とイタリアの外交関係樹立160周年にあたる年でもあり、両国の関係は一層の深化を続けていると言えるだろう。今回の寄納は、こうした関係性を記念したものである。
専用特別デザイン「都白地波(みやこしらぢになみ)」
この寄納車には、京都市のための特別デザインが施されている。「ボディカラーのホワイトは、“清浄” や “はじまり”を象徴する色であり、千年を超える歴史の中で文化と革新を重ねてきた京都の美意識を表現し」たものだという。
そのホワイトのボディ上にあしらわれたモチーフは「波」である。これについては、「形を変えながらも絶え間なく続く波のデザインには、伝統を守りながら変化を受け入れ、新たな時代を切り拓いてきた京都の精神性への敬意が込められています。不変と革新という相反する価値を併せ持つその姿は、京都という都市の在り方を静かに映し出します」と、ステランティスジャパンでは説明している。
さらにリアには、京都市地球温暖化対策条例の愛称である「2050京(きょう)からCO2ゼロ条例」のロゴを配置。環境先進都市として未来を見据える京都市の意志を示したとのこと。電気自動車という選択とデザインコンセプトがまさに一体となっており、次の時代へ向かう京都市の姿を内外に発信するものと言ってよいだろう。
世界に1台となる特別なこの600eは、京都市の公用車として日常的に使用されることで、「市の脱炭素社会に向けた取り組みを市民の皆さまに身近に伝える存在」になるのだとされている。ステランティスジャパン株式会社代表取締役社長の成田仁氏は次のように述べている。
「ステランティスジャパンは、日本の皆さまの日常に寄り添いながら、環境負荷の低減と実用性を両立する多様なモビリティの選択肢を提供することを大切にしています。環境政策の先進都市である京都市の公用車としてフィアット600eをお選びいただきましたことを、心より光栄に思います。本車両が、市民の皆さまにとって脱炭素社会への取り組みをより身近に感じていただく存在となるとともに、未来へ力強く歩みを進める京都市の一助となることを願っています」
環境先進都市である京都市の姿勢に共鳴
京都市は、2004年に全国で初めて地球温暖化対策に特化した条例を制定し、2019年には「2050年までに二酸化炭素(CO₂)排出量正味ゼロ」を目指すことを表明するなど、日本を代表する環境先進都市として、長年にわたり持続可能な都市づくりを推進してきたとされる。
ステランティスジャパンは京都市のこうした取り組みや歴史的な歩みに深い敬意を表するとともに、環境先進都市として持続可能な社会の実現を目指して、市民の生活に寄り添う京都市とその価値観を共有しているという。そのため今後も、電動化を含む幅広いパワートレインの選択肢を通じて、持続可能な社会の実現に貢献するとともに、都市と人、文化と未来をつなぐモビリティを日本市場に届けていきたいとしている。
【ル・ボラン編集部より】
かつて戦後復興期のさなかにあったイタリアで大衆の足となった「600」の名を継承する最新EVが、古都・京都の公用車として走る事実は興味深い。本誌の過去試乗記でも触れた通り、600eは「普通の人々の暮らし」を明るく彩るために生まれたナゴミ系の存在だ。堅苦しく無機質になりがちな公務の風景に、あえてイタリア的な「甘い生活」の気配を忍ばせる采配は、単なる脱炭素社会へのアピールを超えた文化的なウィットを感じさせる。伝統と革新という相反する価値の共存は、まさにフィアットが体現し続けてきたクルマ作りの哲学そのものだ。


